1泊2日で実施した五能線方面への遠征の2日目です。なお、1日目をご覧になっていない方はそちらから先にご覧になることをおすすめします。
今回の行程
昨日宿泊した弘前から五能線に乗車するわけですが、その列車が普通列車ではありません。かといって「リゾートしらかみ」でもなく、では一体何の列車に乗るのかといえば、「快速列車」です。詳しくはレポート本編で解説しますが、1日1本、片道だけ運転されている五能線快速列車で東能代へ抜けたら、「つがる」で秋田へ、再び「つがる」で一旦青森まで行き、新青森へ引き返したら東北新幹線で帰路に就きます。
途中下車もなくひたすら乗っているだけということで、記事のボリュームとしては1日目よりは少なくなりそうです。
朝の弘前から「快速」で東能代へ
朝の6時過ぎ、私はホテルをチェックアウトして弘前駅へ向かいました。
まずは発車標です。東能代行きですが、五能線経由と明記されています。
そして、待っていたのがこいつです。
快速といえば「リゾートしらかみ」しかないと思ったら大間違いで、キハ40系による純然たる快速列車です。
もちろん指定席などありませんし、津軽三味線の演奏も、金多豆蔵の劇もありません。
というわけで、この快速列車についての解説ですが、鰺ヶ沢までは各駅に停車して、その先は北金ヶ沢、千畳敷、深浦、ウェスパ椿山、十二湖、岩館、あきた白神、能代、東能代と停車していきます。実質的な快速運転区間となる鰺ヶ沢~東能代間のみに限れば、「リゾートしらかみ」との差は北金ヶ沢に停車するかどうかだけということになり、指定席券すらいらずに乗れると考えれば乗り得列車といえますね。
実はこの列車、最近のダイヤ改正で新設された新参者の列車のようですが、それ以前は弘前発鰺ヶ沢行きの普通列車だったようで、鰺ヶ沢まで各駅停車なのはその流れを引き継いでいるからであり、鰺ヶ沢~東能代間を延伸の上快速運転しているという形ですね。
一見すると、五能線を乗り通せる列車の選択肢を増やそうという計らいなのかなとも思いますが、弘前か、あるいは沿線の何処かにでも宿泊しない限り利用が困難な時間帯なのは如何なものか・・・
実際のところ、メインターゲットは沿線の観光地に宿泊した人が秋田方面へ抜けるのに、「リゾートしらかみ」の始発便より早い時間帯に快速列車を設定することで観光の行程のバリエーションを増やそうという狙いがあるようです。
例えば、深浦駅基準では「リゾートしらかみ2号」が11時02分発なのに対して、この快速列車は9時21分発ですから1時間40分ほど早く移動開始できます。
ウェスパ椿山や十二湖も10時前なので、一般的にホテルや旅館のチェックアウト時間ぐらいですし、たしかにその目的にはピッタリですね。
とはいえ、鰺ヶ沢までは従来から運転されているローカル列車ですし、客層は主に高校生でした。時期的には夏休みに入っているのでは?とも思いましたが地域によって期間が違うようですし、まだだったのかもしれません。
五所川原駅にて小休止
ほぼすべての座席が埋まり若干の立ち席も出るというローカル線なりのラッシュアワーを迎えつつあった車中ですが、五所川原でほとんどが降りていき再びゆったりとしたローカル線の雰囲気に戻ってまいりました。
その五所川原にて20分以上停車するというので気分転換がてらにホームへ出てみることにしました。
何より気になったのが津軽鉄道の乗り場です。
津軽鉄道は「津軽五所川原駅」と別の駅名を付けていますが実際はJR五所川原駅と構内を共有しており改札を出ることなく行き来することができます。
前回津軽鉄道に乗車した際にはあいにくホームの工事があっていてすべてを見ることはできなかったのが、今回は工事も終わっているようですし、リベンジがてら行ってみることにしました。
そうそう、大事なことですが、津軽鉄道の乗り場へはたとえJRのきっぷを持っていても、別途津軽鉄道の入場券ないし乗車券を買わないと入っちゃいけません。
というわけで、入場券もバッチリ準備して津軽鉄道乗り場へ降りていきます。
古い気動車もいました。
これを前回で見られていたらよかったのになぁ・・・w
まあ、入場券も大した値段ではないし津軽鉄道へのささやかながらのお布施ということでw
と言ったところで列車に戻ります。
いよいよ快速運転区間へ
五所川原から先も僅かに残っていた高校生たちも鰺ヶ沢まででほとんど降りてしまい車内はすっからかんになりました。
また、ここまで乗務していた車掌さんもここまでのようで、ここから先はワンマン列車となるようです。
車内はごく普通のキハ40系なのに、ほとんど駅に止まらず通過していくのは変な気分ですが、驚くほど利用者が少なく録音環境はばっちりでした。
メインターゲットであろうウェスパ椿山や十二湖でもほとんど乗ってこなかったのが気がかりでしたが、わずかに乗ってきた数組の観光客はそのまま秋田方面へ抜けるような会話をしていたのでJRの意図通り(?)の利用形態も見られました。
ただ、いくら平日でもここまで乗車率が低いと、内房線の特別快速同様に次の改正を乗り切れずに廃止されるのでは?なんて心配もしてしまいます。
一般的な観光客では「リゾートしらかみ」しか頭にないということもありそうですから、もう少し周知されてくれば利用が伸びるかもしれません。今後に期待ということでw
途中の長時間停車もなく気づけばあっという間に東能代まで来てしまったのでレポートは思ったより尺を使いませんでしたが、快速のレポートは以上になりますw
思ったのが、「リゾートしらかみ」だと車内販売があったり、出し物があったりと観光客を楽しませる工夫があるのですが、この快速列車はそういったものはないので、逆にローカル線の雰囲気が好きという人は「リゾートしらかみ」よりこっちの方が楽しいかもしれませんね。
と、同時に今日の18きっぷもここまでです。なにせこれ以降は東京まで特急と新幹線しか乗りませんからねw
ただ、それでもちゃんと元が取れているあたり、五能線も結構な長大ローカル線ですよね。
↑引き上げシーンを動画で撮ったら撤収して「つがる」へ乗り換えです。
特急「つがる」
ここから秋田までは特急「つがる」で移動し、かつ秋田からも折り返して青森まで「つがる」に乗車するわけですが、記事では一纏めにしてしまいます。
跨線橋でもデカデカと乗り場案内が出ていました。
今や東能代駅にやってくる唯一の特急列車となりましたからね。当然の扱いと言えるでしょう。
先ほどのキハ40系が入換作業をしていたので遠目ながら撮影しました。
そして、いよいよ「つがる」が入線してきます。
↑「つがる」入線シーン
というわけで早速乗車しますが、ここで「つがる」という列車、及びE751系という車両について解説していきます。
まず、「つがる」ですが、2002年に東北新幹線が八戸まで延伸された際、八戸~弘前間の特急列車の愛称として使用されたのが最初であり、漢字表記での「津軽」も含めると1954年に上野~青森を東北本線・奥羽本線経由で運行していた夜行急行列車の愛称から始まっており由緒正しい列車名の1つと言えます。(この「津軽」の流れを汲んでいたのが寝台特急「あけぼの」でしたが残念ながら事実上廃止されてしまいました・・・)
そして、2010年に東北新幹線が新青森まで延伸されると、「つがる」の運転区間は青森~秋田間と改められました。従来はこの区間には「かもしか」「いなほ」と2つの特急列車が走っていましたが、全て「つがる」に統合の上、秋田以南への直通を廃止したという形になります。その後しばらくは1日5往復の運行体制でしたが、2016年春のダイヤ改正により3往復に減便されてしまい、かの日本海縦貫線を走る特急ながらローカル特急という色が濃くなってきています。
すべての列車が秋田~青森間を結んでおり臨時運転を除けば区間列車の設定もなく、停車駅は秋田から行くと八郎潟・森岳・東能代・二ツ井・鷹ノ巣・大館・碇ヶ関・大鰐温泉・弘前・浪岡・新青森・青森となっています。所要時間面では秋田~青森を2時間40分程度で結んでおり、この区間には高速バスなど有力な競合相手もいないため、都市間輸送ではほぼ寡占状態といえますが、そもそもの旅客流動が少ないんでしょうね。
そして、E751系という車両についてですが、当時青森~盛岡間を結んでいた特急「はつかり」に使用されていた485系を代替する目的で製造された特急型車両であり、JR東日本で同様に485系置換えを意識して導入された形式にE653系がありますが、E653系は交流電化と直流電化の混在する常磐線での運用がメインとされたため485系同様に交直流電車となっていましたが、E751系では走行区間が交流電化区間のみとなることからコストカットの意味で交流専用形式となりました。しかしながら、外観はもちろん走行性能の面でもE653系を踏襲した仕様となっており、寒冷地対策などの差異はあるものの、E653系の交流専用バージョンと言ってもいいような形式です。
当初の活躍の場だった「はつかり」が東北新幹線の延伸で廃止されると活躍の場を「つがる」に移し、運行区間が八戸~弘前から青森~秋田に変わっても一時期運用離脱した時期はあったものの「つがる」を中心に使用され続けています。
2010年までは6両編成でしたが、運行区間が青森~秋田間となった2010年以降は4両に短縮されて現在に至ります。
このように顔もE653系そっくりで、制御装置もIGBT素子のVVVFインバータとごく普通の電車といえるE751系なんですが定期運用があるのは「つがる」のみであり、「つがる」に乗らないと乗れない形式となっていることから今まで乗る機会に恵まれなかったのを、五能線遠征で青森・秋田両県を訪問する機会を生かして乗車することにしたわけです。
なお、東能代からわざわざ1度秋田まで行っているのは秋田→青森で全区間乗車したいという趣味的な都合ですw
ここまで長々と解説となりましたが、いよいよ乗車レポートへと入ります。
車両については初めて乗る車両という意味での新鮮さはありますが、ごく標準的なJRの特急電車の車内だなという印象しかなく特筆すべきことはなしw
車内の様子とかですが、予想通りガラガラで録音環境も問題なし、特に印象に残らない割には18きっぷが使えない特急列車なのでお金はかかった「つがる」ですが、特急らしい俊足であっという間に秋田でした。
秋田駅では1時間ほど開くのでホーム上での撮影をこなして昼飯を食べたら折返しとなります。
どのみち、車内清掃があるのでそのまま車内で過ごすことはできませんしね。
発車標も撮っておきましょう。
ちょうど「いなほ」も来ているようです。
数年前まで485系だった「いなほ」も今やE653系です。
それにしても、E751系のベースがE653系なのは既述の通りですが、やっぱり似てますねw
男鹿線のキハ40系も撮ったら駅周辺でお昼ご飯を頂いて折り返し乗車です。
あ、お昼は特に名物とかじゃないので写真は貼りませんw
旅のお供にと買い込んだのは秋田名物「バター餅」
前回秋田を訪れた際にも食べたのですが、結構気に入りました。
開封するとこんな感じ
名前の通りバターを練り込んだ餅でして、ほんのりと甘い素朴なお菓子ですね。
↑興味のある方は通販もありますのでどうぞ
今回もやっぱりガラガラでした。乗っている側としてはいいことですが、この調子じゃそのうち臨時運転化・・・最悪廃止なんてことにもなりかねないのではという危惧を覚えました。
前述の通り秋田~青森を直通する高速バスはありませんし、その他主要区間でも秋田~能代間に高速バスがある以外は鉄道の独占状態のはずなんですが、逆に弘前や大館から盛岡へはバスが出ているため、新幹線と乗り継いでの需要がそっちに流れてしまっているのはありそうですね。
東能代を出て五能線と分岐して、大館を経て青森県へと入っていきます。
碇ヶ関・大鰐温泉と来て弘前ですが、ここはまとまった乗車があって座席の7~8割は埋まったかというくらいの乗車率になりました。
弘前~青森間は県内の主要都市同士を結ぶ区間にも関わらず優等列車が少ないため、「つがる」においても貴重なドル箱区間になっているんでしょうね。
この区間なら特急料金も自由席なら510円で、「リゾートしらかみ」に指定席券を買って乗る場合よりかえって安いという逆転現象が発生していますし、東北新幹線と新青森で乗り継ぐならば乗継割引が適用されて半額の260円となるなど、特急がお得に利用できる区間なのもあるでしょうね。
この区間は普通列車も結構混んでいますし、どうせ青森でお昼寝させるような運用ならば間合い運用的に青森~弘前間の区間便を設定したらどうかと思いましたが、この区間のためだけに走らせても流石に採算合わないですかね~
快速「リゾートしらかみ」が通過する浪岡にも停車して東北新幹線接続駅の新青森です。私もこのあとは新幹線で帰路に就きますから新青森で下車した方がいいのですが、せっかくならば終点まで行きたいのでこのまま乗車しますw
それにしても、快速より停車駅が多くて、かつ快速より実質安価に利用できる特急って一体w
その新青森に到着です。予想通りここで大勢が降りていきましたが、一方で乗ってくる人も大勢いました。
1区間だけの特急利用なんてブルジョワだなぁなんて思いたくなりますが、実は新青森~青森間のみを利用する場合は特急券不要の特例があり、東北新幹線を利用して青森駅へ向かう場合のアクセス列車という役割も担っているわけです。
元々新青森駅から青森駅を経て函館駅まで結んでいた特急「白鳥」「スーパー白鳥」が東北新幹線と接続するダイヤを組んでいたこともあってこの特例のメインの適用列車となっていましたが、北海道新幹線開業でいずれも廃止され、現在特急列車としてこの特例が当てはまるのは「つがる」のみとなりました。
折返しは普通列車です。東北を旅すると嫌という程見かける701系ですが、東京へ戻る前の名残として撮影したら1区間だけ乗車して新青森へ向かいます。
新青森からは「はやぶさ」でたった3時間で東京へ戻ってしまいます。
往路なんてバスに10時間も乗っていたのに・・・本当に早いものです。
新幹線は特に書くこともないのでレポートはここまで!
この後ですが、18きっぷで首都圏近郊の活動がありますのでそのレポートとなる予定です。
それでは、また