中国遠征2023(3日目/おろち号撮影)

4泊5日で実施した中国遠征の3日目です。
なお、1日目2日目をご覧になっていない方はそちらから先にご覧になることをおすすめします。

本日の行程

ということで3日目の行程の説明ですが、昨晩宿泊した松江より山陰本線で出雲市へ向かい、出雲市から「奥出雲おろち」に乗車します。
タイトルには”撮影”とあるのに、早速乗ってしまっていますが、実はこの日は延長運転(詳細は後述します)の区間となる出雲市駅から木次駅の間のみしか指定席券を取ることができず、木次までの乗車となりまして、それだけだと半日で終わってしまうので木次から先は普通列車で「奥出雲おろち」を追いかける形で撮影もこなそうというわけです。
具体的には木次で一旦「奥出雲おろち」を見送って、後続の普通列車で出雲坂根へ向かったらそこで折り返してきた「奥出雲おろち」を撮影し、あとは八川・備後落合と2駅を巡りつつ一旦木次線を全区間乗り通しつつ宍道へ戻ったら山陰本線で出雲市へ言って宿泊してゴールとなります。

出雲市から「奥出雲おろち」に乗る

というわけで本編開始ということで3日目の朝が始まります。


朝の松江駅から3日目の朝がスタートします。
写真を見れば既に十分に日が登っている時間帯であることが分かると思いますが、「奥出雲おろち」の出雲市発が8時45分であり、松江から出雲市へ移動しなければならないことを考えても8時台の出発で済むためご覧のようにゆったりとした出発でした。
昨晩も夕方に活動終了しており、2日目から3日目はかなりゆとりのあるスケジュールとなりました。


一畑バスがいました。


地下通路を通って駅へ向かいます。


既に閉店が決まっている一畑百貨店の看板を撮ってきました。


改札を入ります。


乗車するのはキハ40系でした。
昨日の記事をご覧になっていれば分かるでしょうが、松江に泊まったのは出雲市のホテルが高かったからという理由でした。
しかし、昨日の松江への移動もキハ40系でしたし、今度もキハ40系とくれば、往復ともキハ40系に乗れたわけで、これなら松江に泊まってかえってよかったと思いましたw


ちなみに、西出雲行きです。


↑出雲市に着いたら乗ってきたキハ40系の発車を撮影です。


後追いで写真も撮りましたが、ポイントをウネウネと通過していくのがいいですね。


それでは「奥出雲おろち」です。
「奥出雲おろち」が出雲市駅にやってくるのは延長運転がある日だけですし、出雲市駅から木次線へ直通する列車は「奥出雲おろち」だけなので、出雲市駅の発車標に「奥出雲おろち」という表示が出るのも「備後落合」という行先が出るのも結構レアなことです。

ここで「奥出雲おろち」の解説といきたいところですが、明日も「奥出雲おろち」に乗車することもあり、詳しくはそちらで解説することとし、この記事では出雲市延長運転についてに絞って解説しておこうと思います。

「奥出雲おろち」は木次線を走る観光列車であり、木次~備後落合間を1往復走り、冬季を除く土日祝日を中心に割と多くの日程で運行されています。
しかし、連休など特に需要が多い日に限って備後落合行きの列車が出雲市駅始発となり、出雲市→備後落合として運行されます。
私としてはこの延長運転に乗りたくて、延長運転がある日を狙って指定席券の予約をしていたんですが、廃止が発表されてからというもの、延長運転がない日ですら指定席券は争奪戦となっていて、延長運転日は私同様に延長運転だからこそ乗りたいという人もいますし、そもそも延長運転がある日は観光客が多い日でもあるということで、余計に指定席券は争奪戦であり、何度も事前申し込みに挑戦しては「お席をご用意できませんでした」というお祈りメールを受け取ることを繰り返していたのでした。
もちろん事前申し込みだけで諦めることはせず、キャンセルが出ることを期待して暇さえあれば”えきねっと”で「奥出雲おろち」の空席情報を確認するということを繰り返していたのですが、流石に出雲市→備後落合の全区間で空きが出ることはなかったものの、延長運転区間となる出雲市→木次間だけならちらほら空いていることがあったことから仮でそれを押さえて、別の席でも木次→備後落合で空席が出るのを期待していたのでした。
結論としては同日に木次→備後落合で空席が出ることはなかったのですが、奇遇にもその翌日(延長運転がない日)に木次~備後落合間の往復分の指定席券がとれたため、この日は撮影、翌日は乗車を楽しむことにしたのでした。


いました!
実は乗るのはこれが初めてというわけではなくて昔家族旅行の一環でしたが乗ったことがありました。
しかし、もう15年は前の話ですし、当時は今ほど熱心に撮影するようなこともしていなかったため、ちゃんと撮影するのは初めてに近いですかね。


客車側です。
ちなみに、「奥出雲おろち」では機回しはせず、進行方向によっては客車が先頭で機関車が最後尾になることもあります。


「奥出雲おろち」の名前の由来である「八岐の大蛇」をモチーフにしたであろうトレインマーク


方向幕部分は列車名のみでした。


車内です。
座席は木製であり、トロッコ列車ということで窓がないのも特徴的で、いかにも観光列車という雰囲気です。


照明はランタン風です。


座席です。
ボックスシートのスタイルになっており、4名未満だと相席になるのが欠点といえば欠点ですかね。


ちなみに、車端部は窓側を向いた座席となっています。
同行者との語らいなど不要でひたすら景色を見たいんじゃ!というお一人様にはぴったりな席ですが、残念ながら今回の私の席はボックスシートでした。
ただ、この席も構造上片側からしか出入り出来ないため、見ず知らずの人と相席だと多少は気を使うこともありますね。


トロッコ列車ということで窓ガラスがないため、こんな注意書きがありました。


「八岐の大蛇」は日本神話に出てくる存在ですが、他の神話に関するイラストが掲げられています。


左上は車番であり、「スハフ13-801」となっています。
形式としては12系客車となり、国鉄時代生まれの急行型客車です。
元々は1970年の大阪万博の輸送を念頭に投入された車両であり、長らく波動輸送や臨時夜行急行に使用されていましたが、急行列車そのものの廃止が進んだことや波動輸送においてもバブル崩壊以降は団体列車の運行頻度も減ったことから余剰となり、姿を消していきます。
しかし、客車としては登場から比較的新しい車両が多かったこともあり、ジョイフルトレインや観光列車に改造されるなどした車両も多く、この「奥出雲おろち」の客車もその1つです。
かつてはJRの旅客各社で活躍していた12系客車も2023年現在ではJR東日本とJR西日本のみの在籍となっていて、今では希少車種となっています。
この「奥出雲おろち」も車両の老朽化を理由に廃止されることが決まっているため、ますます12系客車の活躍の幅は狭まる一方です。

右下は「しまね景観賞」のプレートですが、こちらは島根県が独自に認定しているもので、「奥出雲おろち」も木次線の活性化に留まらず、今や島根県を代表する観光資源の1つと言ってもいい存在ですから認定されるのは必然と言ってもいいでしょう。


列車ということで非常弁もありました。
車掌さんが列車を緊急停止させるときに使うやつですが、イタズラで触ったりしちゃダメなやつです。


ラストランまでの残り日数のカウントダウンもありました。
この活動の時点でも残り60日だったんですが、記事を書いている時点では残り1ヶ月を切ってしまいました・・・
でも、公開がラストランに間に合ってよかったというのはありますね。


隣はこんなごく普通な構造の客車となっていますが、こちらは「控車」といいまして、雨天時などにこちらの車両に移動してもらおうという趣旨で連結されています。
面白いのが自由席扱いというわけでもなく、ではラウンジのようなフリースペース扱いというわけでもなくて、ここも指定席扱いなんです。
しかも、控車の座席そのものは発売されず、発売されるのはトロッコ車両の1両だけであり、控車を利用する場合はトロッコ車両の座席と同じ座席を利用する決まりになっています。
もちろん雨天時しか利用できないなんてことはなく、天気がよくてもあえてこちらを利用しても問題ありませんから、比較的空いている控車でゆったりと乗車を楽しむのもありかもしれません。


ちなみに、この座席は急行「だいせん」に使用されていた頃のままだそうなので、かつての客車急行の旅を追体験したいという理由で乗車するのもアリでしょう。
あと、トロッコ車両はクッション性のない木製の座席なのに対して、こちらは古いとは言え急行列車に使われていたものですからクッションも効いていて簡易リクライニングも着いていますから快適性ではこちらの方が上かもしれません。
とはいえ、窓ガラスのないオープンエアで車窓を楽しむというトロッコ列車の醍醐味は捨ててしまうことになるので悩ましいところではありますがw


この折戸式ドアも国鉄時代の車両っぽい感じがします。
個人的には14系客車のブルートレインの思い出が蘇りますね。


あと、Withコロナ対応ということで消毒液もありました。
ある意味では昭和の車両が令和まで生きながらえた証拠といえる光景かもしれませんね。

それではそろそろ発車です。


↑出雲市から1区間だけですかが車窓を撮ってみました。
窓ガラスがないことによる空気感や通常より大きく響く走行音もお楽しみ下さい。
ただ、その分車内放送が聞き取りにくいというのはありますがw


出雲市駅から1駅目の直江駅では10分間の停車時間があるとのことで、早くも撮影タイムとなりましたw


ただ、機関車側はこんな感じで柵が邪魔してあまりいい構図にはなりません・・・


でも、客車側ならば普通に撮れます。


駅名標です。
ちなみに、新潟県に直江津駅というのがありますが、離れた場所なのに似た駅名というのも面白いですね。


構造は2面3線でいわゆる国鉄型配線です。


↑そして、長い停車時間の理由はこの「スーパーまつかぜ」との交換待ちです。
これは下り列車ですが、同時に上り列車の待避も行うため、列車交換と待避を同時にやっていることになります。
かつての国鉄の地方線区ではよく見られた光景だったんでしょうけど、単線区間が多く残る割に特急がそこそこ走っているという山陰本線ならではの光景ですかね。


写真でも撮ります。

ちなみに、上りの「スーパーまつかぜ」については発車ギリギリになってしまい乗り遅れるリスクが高いので今回は撮影しませんでした。

そして、直江を発車すると次は荘原駅ですが、ここも停車駅ではあるものの乗り降りが終わればすぐの発車となりますから車外での撮影はできません。
直江と荘原に停まるということは山陰本線内は各駅停車ということになりますが、この手の観光列車ならば直江や荘原は運転停車扱いでもよさそうなもの、停車駅にしているのが意外ですね。
とはいえ、運転停車ではなくて正式な停車であるおかげで、荘原はともかくとしても、直江では撮影を楽しめるわけでそういう意味ではありがたいですねw


続いて宍道駅にて11分間の停車です。
これは出雲市方面から木次線に入るには進行方向を変える必要があるためでもあるでしょうが、時刻表を確認するとこの停車時間の間に米子方面からの普通列車が到着するので、米子や松江から「奥出雲おろち」に乗り継ぐ人に便宜を図っている意味もありそうです。


もちろんここでも撮影タイムです。


客車側


この普通列車が米子方面からの列車であり、始発は倉吉なので倉吉までなら前泊なしで「奥出雲おろち」の延長運転に乗れることになりますし、特急を使えば鳥取からも利用可能です。

ちなみに、現在は延長運転は出雲市始発で実施されていますが、かつては県庁所在地の松江を起点に運行されていたこともあったようです。

それでは車内に戻りましていよいよ木次線に入っていきます。
ここからは機関車を最後尾にした逆行運転となりますが、客車側にも運転台が設置されており、通常と同様の運転が可能になっています。

また、ここから先は加茂中・出雲大東・木次と停車していくのですが、南宍道・幡屋・南大東の3駅は通過していきます。
山陰本線内は各駅停車なのは既述の通りですし、通常運転区間である木次~備後落合間はどんな小さな駅でも全ての駅に停車する形になっている中、唯一宍道~木次間だけ通過駅が設定されているんですよね。
ここだけ通過駅がある理由はよく分かりませんが、「奥出雲おろち」で駅通過を体験するならば延長運転区間に乗る必要がありますね。


木次線に入ると鬱蒼とした林を抜ける箇所もあるのですが、ランタンからの光が幻想的でした。


南宍道の1駅を通過して最初の停車駅の加茂中です。
ここは雲南市となり、早くも宍道駅が位置する松江市を出ています。
鬱蒼とした林を抜ける間に市境を越えていたわけですね。


幡屋を通過して出雲大東です。
ここも加茂中と同じく雲南市ですが、加茂中駅周辺は旧加茂町、出雲大東駅周辺は旧大東町となっていて、停車駅ごとに自治体が異なっていた時代もありました。
この次の木次駅も現在は雲南市ですが、かつては木次町でしたから、宍道~木次間では合併前の市町村ごとに1駅ずつ停車しているという見方も出来ますね。


そして、木次駅に到着です。
ここから先は通常運転区間となり、延長運転区間との境界とも言えるわけですが、意外にも停車時間は少なく2分しか停車しません。
なので、ここで降りる人以外は車外での撮影は難しいでしょうね。

前述の通り、私は今日のところはここで降りて見送りますから、逆に言えばここで撮影するチャンスを得たということになります。


↑それでは発車シーンです。
今回の活動では最初の「奥出雲おろち」の動画となりましたが、結構いい感じで撮れたと思います。

というわけでここで「奥出雲おろち」を見送ったのですが、ここからは後続の普通列車で「奥出雲おろち」を追いかけて撮影していきます。
が、次の普通列車が出るのは1時間40分ほど後なので、それまで木次駅周辺を散策しつつ、昼食をとってから次の活動に進んでいきます。

木次駅にて

それでは木次線の列車を待つ間に木次駅周辺の散策と行きましょう。


まずは駅名標ですね。
「木次」という名前もなかなかの難読地名ですが、「きすき」と読みます。


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いかにもインスタ映えを狙ったような駅名標もありました。
ハートマークを「すき」と読ませるセンスは面白いですね。


ご丁寧に撮影スポットまで用意されていました。


ホームには木次線のキハ120系がいました。
この列車は宍道行きであり、「奥出雲おろち」と入れ替わりで発車するダイヤなのですぐの発車です。


↑というわけで発車シーンをどうぞ


ホームは相対式2面2線となっていて、交換が可能な構造です。
木次線単独の駅では唯一の直営駅となっている他、木次線の車両基地も併設されるなど、木次線の運行拠点と言える駅なんですが、それでも1日あたりの利用者数は100名前後となっていて、しかもこれでも木次線で2番目に利用者が多い駅とのことなので、ローカル線を取り巻く状況の厳しさが窺えます。


1番線と2番線を結ぶ構内踏切です。
右側には「ご縁の鐘」なるものが設置されており、先程のピンクの駅名標と並んで映えスポットにしているようですね。


奥にはヤマタノオロチの伝説の石碑がありました。
そりゃあ「奥出雲おろち」の列車名の由来ですしね。


改札口はただの通路ですが、その脇に窓口があってそこで集改札業務をするという昔ながらのスタイルです。
ただ、面白いのが駅員配置駅でありながら、「みどりの窓口」は閉鎖されていて、その代わりに「みどりの券売機プラス」が設置されており、きっぷを買う人はそちらを利用する必要があります。
地方だと普段は列車を利用しない人も多いためか、買い方が分からず戸惑って駅員さんに尋ねるという光景もよく見られていて、駅員さんが手取り足取り教えていましたが、それなら「みどりの窓口」を維持しておいても変わらない気がw


駅舎内はベンチが並んでいて待合室としての機能も持っています。


ベンチにはこんな手作りポスターがありました。
木次線の存続を訴える内容のようですが、「奥出雲おろち」の廃止がそのまま木次線の廃線という議論に繋がりかねないという危機感は大きいでしょうね。

一応「奥出雲おろち」廃止後は山陰本線の観光列車「あめつち」が木次線の宍道~出雲横田間に乗り入れることが決定しており、観光列車が完全に消滅するわけではないんですが、出雲横田までの乗り入れとなるとスイッチバックがある出雲坂根駅やおろちループ橋が見える出雲坂根駅~三井野原駅間には乗り入れないことになり、いわば木次線の目玉を体験できないわけですから、どこまで集客できるかという疑問はあります。
JR西日本としては木次線を廃止したいのが本音でしょうし、「奥出雲おろち」の正式な後継車を用意しないのはそういう意図もありそうです。
まあ、「奥出雲おろち」が島根県の観光振興に多大な貢献をしてきたというのは事実でしょうし、島根県が車両を用意するくらいのことをすれば「奥出雲おろち2世」の登場も無理筋ではないかなとは思いますし、悲観的なことばかり考えず存続に向けた議論が進むことを期待しましょう。


鉄道の日となる10月14日にはこんな事もやっていたようです。
地元の方に少しでも鉄道を身近に感じてもらおうということなんでしょうが、こういう草の根レベルの活動も大事ですよね。


“WESTER”というJR西日本の公式サービスのポスターがありますが、まさかの手作りw
こちらはJR西日本本体が絡んでいる話なので、ちゃんとしたポスターもあるはずですが、あえて手作りで作ったんですかね。

右側は「奥出雲おろち」のポスターですが、正式なやつと手作りのやつを並べているのが面白いです。
それにしても、構図といい文字の配置といい、公式ポスターをそのまま手書きに落とし込んでいるのがいいですね。


駅前にはバス停がありますが、乗り入れているのは「雲南市民バス」のみとなっていて、純民営のバスはないようです。
雲南市全体で考えても松江自動車道経由の高速バスが市内の「道の駅 たたらば壱番地」に立ち寄るのと、一畑バスの松江と大東を結ぶ路線が存在するくらいで、民営バスは壊滅状態のようです。


駅前にある自販機も「奥出雲おろち」のデザインでした。


駅前には大きな駅前広場がありました。


駅舎です。
素朴な見た目ですが、「奥出雲おろち」のPRもしっかりしていました。
ところで、「奥出雲おろち」の引退後は「あめつち」のPRに差し替えるんですかね。


駅前にある大きな建物は「マルシェリーズ」という商業施設で、スーパーマーケット「ホック」も入居しています。
地方の駅前というと精々小さな個人商店があるくらいというのがお約束ですが、ここはちゃんとした商業施設が駅前にあるというのはいいですね。


駅前の道路は「県道215号木次停車場線」という停車場線シリーズでした。


駅から少し歩くと斐伊川沿いの道に出ました。
遊歩道的な道のようですし、散策にはうってつけですね。


鳥の姿もありました。
種類は分かりませんが、駅を出て数分でこんな景色を見られるなんて、自然が豊かなところなんですね。


気になったこちらですが、今時珍しい歩行者専用の橋のようです。
自転車・オートバイも「乗って」渡れないとあるので、押し歩くならば通っていいようですが・・・


その橋というのがこれなんですが、狭い上に欄干すらないというスリリングな体験ができること請け合いのものでした。
歩いて渡る分には真ん中を歩くようにすればそんなに怖くないですが、自転車やバイクを押して通るのはちょっと怖そう・・・そんな時に限って向こうからも通行人が来たら更にスリリングです。

ところで、このような欄干がない橋というのは「沈下橋」と呼ばれ、平常時には問題なく通行できるものの、増水時には水面下に沈んでしまう橋という意味で、増水時には沈む前提であるため、流木などにぶつかって壊れてしまわないようにあえて欄干を設けないことがあるようです。
増水時は橋として使えない上に、欄干がないため安全性にも劣る欠点はありますが、低コストで掛けられることから山間部や過疎地での生活の足になるような橋として掛けられることが多かったようです。

しかし、流石に安全性に劣る点が現代では問題視されるようになると一般的な橋に掛け替えられることが多くなり、現在では数を減らしつつあるようです。


奥に見える高架は松江自動車道のものです。
暫定2車線の道路ではありますが、この地域の高速交通を担っています。
宍道と三次を結ぶ道路ですから、広域的に見れば木次線と並行する道路でもあり、木次線もかつては急行「ちどり」など広島と山陰を結ぶ列車があったものの、今や高速バスにとって代わられてしまいました。
木次線も抜本的な高規格化改良がされていれば今でも都市間輸送でも活躍できたでしょうが、そうなっていたらスイッチバックもおろちループ橋の車窓も失われていたでしょうし、どっちがよかったのか難しいところではあります。


こちらは「八俣大蛇公園」という公園でして、「奥出雲おろち」の由来である八俣の大蛇(ヤマタノオロチ)伝説に出てくるスサノオノミコトがこの場所で樋井川を流れる箸を拾い、このことで川上に人が住んでいることを知ったという伝承があるんだそうです。


その碑が建立されていました。
それにしても、ただ箸を拾っただけの場所に碑が立つなんて、流石はスサノオノミコトですね。


公園全体はこのようになっています。
あまり広くはないですが、子どもたちが遊んだりする目的ではなくて、記念碑を見学するための場所ということなんでしょうね。


八俣の大蛇伝説とも関係があるということで「ヤマタノオロチ」の石像も鎮座していました。
本来は頭が8本あるからヤマタノオロチなんですが、スペースや予算の都合か1本の頭だけになっていますw
でも、大きさは迫力のあるサイズ感です。


そのヤマタノオロチを倒したスサノオノミコトも鎮座していました。

それでは駅の方へ戻ることにします。
もう少し行けば木次バスセンターもあるのでそれを見に行こうかなとも思ったんですが、思ったより遠いみたいだったので断念しました。


駅付近の「チェリヴァホール」という施設内にはレストランがあったのでそこでお昼ごはんです。
地方の駅周辺では飲食店も期待できないなと思っていて、さっきの「マルシェリーズ」の中のスーパーで弁当でも買おうかと思っていたんですが、意外にもレストランがあって驚きました。
注文したのは出雲そばでして、昨日のお昼とかぶってしまいましたが、今回は「三式そば」といううずら卵・大根おろし・長芋とそれぞれに違うトッピングをして違う味を楽しめる一品となっています。


積み重ねられた割子を並べるとこんな感じ
これに薬味やつゆを掛けて頂きます。


レストランの近くにはこんな場所がありました。
「奥出雲おろち」のポスターがびっしりでした。


あと、ジオラマ展示もありました。


スイッチバックのある出雲坂根駅を再現しているようです。
あとで実物の駅にも訪れますから、実物との比較も楽しみです。


「奥出雲おろち」の牽引機のオブジェもありました。
こうしてみると雲南市にとっては「奥出雲おろち」は特別な存在だったんですね。


それでは駅に戻ってきました。
2時間弱の待ち時間も散策や食事をする間にいい感じに潰れましたね。


乗車するのはこちらです。
キハ120形ですが、キハ40系などの「首都圏色」を再現した塗装ですね。
この「首都圏色」はかつて国鉄の気動車に使用されていた「朱色5号」を指す通称であり、単一塗装とすることで塗装工程の簡略化を図ったという裏事情もあったようです。
元々は首都圏の線区で使われていたため「首都圏色」と呼ばれていますが、その後は全国に波及し、一時期は国鉄のローカル線の気動車の代名詞的存在でもあったようです。
往時は洗浄が不十分だったりして色褪せることも多く「タラコ色」などと揶揄されたりもしたものの、ローカル線のイメージアップのために地方ごとに異なるオリジナル塗装を採用するようになるとこの首都圏色も徐々に姿を消し、かえって希少価値が増したことから、今ではリバイバル塗装として採用されることも増えているようです。
キハ120形については国鉄時代には存在しなかった車種なので、首都圏色を使うことへの賛否もあるでしょうが、私はいいと思いますね。

また、JR西日本では塗装コストの削減を目的に単色塗装を施すようになってきていて、気動車ではこの「朱色5号」を使っているため、JR西日本管内のローカル線ではよく見られる存在になっていて、まるで国鉄時代に戻ったみたいですw


ちなみに、もう1両は木次線のオリジナル塗装でした。


車内でも木次線のPRは欠かしませんw
路線の活性化は存続への布石となり得ますし、こういう取り組みはどんどんやってほしいものです。

あとはこの列車に乗って出雲坂根を目指すのですが・・・

出雲横田にて

その途中の出雲横田駅では20分ほど停車時間があるとのことで、運転士さんの了承を得てホームへ出て軽く撮影しました。


駅名標です。
現在は仁多郡奥出雲町に所在しますが、合併前は仁多郡横田町という町であり、当駅は旧横田町の中心に位置しています。
そのため当駅で折返しとなる列車が多く、平日ダイヤでは当駅より宍道方面への列車は1日あたり10本ありますが、備後落合方面へはわずか3本であり、「奥出雲おろち」が運転される日でも4本しかないことになります。
ここから先は広島県との県境の峠へ向かう区間であり、県境付近の本数が少ないのはローカル線あるあるですが、木次線においてもそれは当てはまるわけですね。


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ホームは相対式2面2線となっています。
また、副駅名として「奇稲田姫」というのがあります。
奇稲田姫(クシナダヒメ)というのはヤマタノオロチ伝説においてはヤマタノオロチの生贄にされそうになったところをスサノオノミコトによって櫛に姿を変えて助けられた娘の名前であり、日本神話での女神となっています。
その後はスサノオノミコトの妻となったと語られているそうで、「奥出雲おろち」とも関係が深いといえます。


編成写真も撮れました。
非電化の駅は線路の周りもスッキリしていていいですよね。


構内踏切より眺める構内


列車と駅名標を絡めて


ここで2両編成のうち1両を切り離すようです。
ここから先は木次線でも最閑散区間といえる区間ですし、1両になるのも納得です。


こちらはトイレでしたw


改札口はこちらです。
全体的に神社っぽいデザインになっています。
流れ的にはこのまま駅前に出て駅舎の全景をご紹介するところなんですが、出雲横田駅は意外にも簡易委託扱いではあるものの有人駅となっていてこの時間帯は駅員さんがいらっしゃったので断念しました。
18きっぷだったら普通にきっぷを見せて出ればいいんですが、今回は普通乗車券であり、それも100km以下の乗車券ですから途中下車は出来ず、この改札は私にとっては越えることを許さぬ関門として立ちはだかったわけです。
実際問題としては、駅員さんに駅前が見たいといえばOKしてくれる可能性は高そうですがねw


せめてホームから見えるネタは回収しておこうということでこんなものを発見しました。
「どーもくん」はNHKのマスコットキャラクターですが、昔「
BS列車・どーも君号が行く」という番組が放送されていて、列車で地方を巡る地域再発見番組だったんですが、そのヘッドマークが保存されていたようです。
過去に見た記憶もあるんですが、出雲横田駅が登場していたかどうかはちょっと判然としません。

それでは列車に戻って出雲坂根駅を目指していきます。
ここまで来ればあと2駅ですが、1駅1駅が長いので20分ちょっとかかります。

出雲坂根駅で「奥出雲おろち」を撮る!

いよいよ今日の目的の1つとなる「奥出雲おろち」の撮影をすべく、出雲坂根駅にやってきました。
また、スイッチバックを始め、駅そのものにも見どころがありますから、それも合わせて紹介していきます。


まずは駅名標です。
スイッチバック駅なので、実際には列車は一方向にのみ出発していきますが、駅名標での隣駅の表現は普通でした。


縦型です。


副駅名は「天真名井」となっています。
「天真名井」というのは高天原にあるとされる汲めども尽きぬ清らかな井戸のことなんだそうで、当駅付近にある延命水と呼ばれる湧き水になぞらえてのネーミングですかね。


列車ですが、私と同じように「奥出雲おろち」を撮影しようというのか人が集まっていました。


そして、出雲坂根駅を語る上で避けて通れないのがこの「3段式スイッチバック」の存在ですね。
そもそもスイッチバックって何なのかという話からすると、スイッチバックというのはレールをジグザグに敷設することで勾配を緩和する方法のことで、ここを通る時、列車は向きを変えて進むことになります。
かつては峠越えの駅にはよくある施設でしたが、向きを変えるということは全ての列車が停車しなければならないこととなり、高速輸送の妨げになりますし、運行上のネックともなりますから主要路線では改良により姿を消していき、今ではすっかり貴重な存在になりました。
その中でも3段式スイッチバックと呼ばれる1つの駅で2回進行方向を変える形はJR西日本では当駅のみとなっていて、3段式となると全国を探しても珍しく、他にはJR九州の豊肥本線立野駅や肥薩線の大畑駅・真幸駅にある程度となっています。
その中でも肥薩線の2駅は2020年7月の豪雨災害で不通が続いており、2023年現在列車が通過するものとしては出雲坂根駅と立野駅の2箇所しか無いことになります。


駅からはスイッチバックの全貌を見ることは出来ませんが、1段目と2段目の境界となる地点は見えます。
左側へ進む線路は宍道方面へ、右側へ進む線路は坂を登って終端部へと至り、更にスイッチバックして備後落合を目指します。
全体像を見られる場所もあるみたいなんですが、駅からは遠くクルマやバイクがないと厳しいみたいなので、今回は見送りですね。


あと、観光客の多い駅ということでか待合室はかなり綺麗でした。


向かいのホームから撮った列車です。
背景には国道314号の三井野大橋が見えています。


駅構内の全景です。
今でこそ1両編成のワンマンカーの他は3両編成の「奥出雲おろち」が来る程度ですが、往時は広島と山陰を結ぶ優等列車が走っていたこともありますし、有効長は長めですね。


駅舎です。
古風な見た目ですが、意外と新しくて2009年に建て替えられているようです。
以前に「奥出雲おろち」に乗った時はそれよりは前だったと思いますから建て替え前の駅舎を見ているはずなんですが、記憶もあまりないですし、残念ながら写真も撮っていないようでした。


それでは「延命水」を見に行くとしましょう。


ここがその「延命水」の在り処です。
天然の湧き水なので基本的には無料で利用できますが、「奥出雲おろち」の乗客を当て込んだであろう商店が「容器」を売っていました。
確かに、その場で飲むならばともかく、持って帰りたいとなると容器が必要ですし、そう都合よく空いている容器を持ち歩いているなんてこともそうそうないですから、これはよく考えた商売ですねw


駅前を通るのは国道314号です。
木次~備後落合間ではほぼ木次線と並行する国道ですが、西側に松江自動車道があり、しかも多くの区間で通行料無料の「新直轄方式」となっているためか、交通量はそれほどではありませんでした。


道路の標識でも駅が大きく案内されていました。
それも単に駅を案内しているというだけでなくて、ある種の観光地扱いをしている感じですね。
実際、「奥出雲おろち」を撮りに来た撮り鉄も混じってはいるでしょうが、自動車やバイクで訪れている人も多いようでした。

ちなみに、当駅の乗降客数は1日あたり1~2名といったところみたいなので、列車の停車時間中に見学している人か、クルマやバイクで訪れている人がほとんどということなんでしょう。
思うのは、「奥出雲おろち」が来る時間帯だけでも駅員を配置して入場券を売れば多少は収益化できませんかねw


先程も名前が出た「延命水」ですが、駅構内だけでなく道路の向かい側にもありました。
調べてみると元々の水源は駅構内にあるものだったようですが、水を汲みに訪れる人が多くなったことから道を挟んだ向かい側にも同じ水源から水を引いて水汲み場が整備され、更には駅から北へ80mほどの地点にある奥出雲舞茸の敷地内にも水汲み場があるようです。


水汲み場はこの下にあるようですね。


階段を下っていきます。
ちなみに、駅構内の方の水汲み場は階段無しで行けるので、階段が嫌な方は駅構内の方を利用するといいでしょう。


ありました!
ここでこの「延命水」の由来に触れておくと、寿命100年を超えたと思われる古狸がこの水を好んで飲んでいたことから里人も長寿の霊水として飲むようになり、それが「延命の水」と呼ばれるようになったと言い伝えられているそうです。
また、島根県の名水百選にも選ばれています。

私もちょうど飲み終わって空になったペットボトルがカバンに入っていたのでそれをさっと洗って延命水を詰めて帰りました。


お地蔵様が鎮座していました。
浄財箱もありますが、湧き水の維持管理の協力金といったところでしょうか。


駅前にはバス停があります。


運行しているのは「奥出雲交通」というバス会社ですが、奥出雲町がほとんどの株式を持つ第三セクター方式のバス会社となっていて、元々は一畑バスや日ノ丸自動車が運行していた路線を引き継いで設立されたんだとか。
当駅に乗り入れているのは旧横田町内の横田車庫から三井野原を結ぶ路線ですが、本数は6往復で木次線よりは多いものの、便利に使えるダイヤとはいいかねます。
でも、横田までほぼ木次線と並行する路線なので、木次線の補完を担うとも言えそうですね。


と思ったらちょうどバスが来ました。
バスと言うよりジャンボタクシーという感じの車体ですが、地域の実情にあった輸送形態とも言えるかもしれません。
あと、仮に木次線が廃線ということになれば代替交通機関としての役割も担うことになりそうですが、それでもジャンボタクシーサイズで足りてしまうんですかね・・・


それから駅舎内ですが、「奥出雲延命水の館」という札が掲げられていました。


内部は簡単な待合室程度でした。


駅ノートもありました。


時刻表です。
1日に4往復しかないのは前述の通りですが、本当にスッカスカですねw


あと、構内には「奥出雲おろち」の歴代のヘッドマークが展示されていました。
窓ガラス越しなのが残念ですが、盗難のリスクとか考えると仕方ないですかね。

それではそろそろ「奥出雲おろち」の到着時間なので撮影場所を探すとしましょう。
最初は駅付近の踏切も良さげだと思いましたが、既に先客がいらしていて、残ったスペースでは良い構図で撮れそうもないので結局駅に戻りまして・・・


↑ホームより入線シーンを撮影です。


無論写真でも撮ります。


客車ですが、ここは12系客車の面影がよく残っていると思います。


↑入れ替わりでキハ120形の備後落合行きが発車です。


「奥出雲おろち」の発車は別の場所で撮ろうということで先程も試した踏切へ移動です。


その踏切というのがこちらです。


ここから「奥出雲おろち」がいる構内の方を見てみます。


ズームしてみました。

でも、結局はここではいい構図にならないと判断して駅構内に戻ります。
無駄に2往復もしてしまいましたw


↑結局、発車も駅構内で撮影しました。が・・・!?

なんと発車直後に急停車!
これは向こう側のホームで撮っていた人の中で線路側に乗り出している人がいたとかで急停車したのかなと思いつつ様子を見守っていました。
廃止の発表が出てからというもの撮影者も増えているでしょうし、中にはルールやマナーが守れない人も出てきてしまうのは残念だななんて考えていると、なんと原因は別だったことが判明しました。
急停車した列車から車掌さんが降りていて「ご乗車の方はいますか?」と呼びかけ始めたのです。
発車前ならばともかく、発車後にこの呼びかけは謎ですが、すると1人のある女性が手を上げて車掌さんに連れられて乗り込んでいきました。
普通だったら乗り遅れたからといって既に動き出した列車を止めてまで待つなんて対応はしないはずですが、木次線の場合は本数も少ないですし、観光客を置き去りにしたなんて騒ぎになってもいけないということでこの対応だったんですかね。
それにしても、その女性が乗り遅れたことが判明したのは車掌さんの呼びかけ後のことであり、となると車掌さんはどうして乗り遅れに気付いたのかという疑問が生じますが、車内に同行者が乗っていて、発車しても戻ってこないと車掌さんに訴えて、とっさの判断で急停車させたというところでしょうかね。


↑ということで気を取り直して再出発です。
遅れとしては5分程度ですが、大勢の人に迷惑をかけてしまったことに変わりはないので、乗り遅れには気をつけたいものですね。

「奥出雲おろち」が去ると蜘蛛の子を散らすように人はいなくなりすっかり静かになりましたが、次の列車までは1時間強あります。
周辺には国道の「おろちループ橋」や道の駅なんかがありますが、とても歩いていける距離ではないため後の時間は駅周辺でぼんやりと過ごすことになりました。


小腹も空いたので駅構内で売っていた焼き鳥を買いました。
「奥出雲おろち」の乗客に向けて販売しているようですが、列車が走り去った後も営業していたので思わず買ってしまいましたw

あとは延命水のところにあった東屋で休んで時間を潰しました。


↑そして、次に乗る宍道行きがやってきました。


写真でも撮ります。
そして、この列車で1駅進んで八川へ向かいます。
既に「奥出雲おろち」の撮影という目的は果たしたのでこのまま宍道まで乗って宿がある出雲市へ戻ってしまってもいいのですが、出来るだけ駅巡りをしたいのと、木次線の普通列車は宍道→備後落合の方向では乗ったことがあったものの、逆の備後落合→宍道では乗っていなかったので、一度備後落合まで行って折り返し乗車をすることでこれを達成しようという意図でこのような行程にしました。

八川駅にて

というわけでここからは「奥出雲おろち」は関係ない行程となりますが、駅巡りとして八川駅に立ち寄ります。
この次の出雲横田で上下列車が交換するため、八川駅で待っていればちょうどいい滞在時間で駅を見学できる上、出雲坂根駅で備後落合行きを待っているよりは有効に時間を使えるというわけです。


八川駅にやってきました。


↑発車は動画でどうぞ


駅名標です。


縦型


副駅名は「脚摩乳(あしなづち)」となっています。
アシナヅチとはクシナダヒメの親として登場する人物で、テナヅチと呼ばれる人物と夫婦関係なんだとか。


ホームは単式1面1線の棒線駅ですが、かつては相対式2面2線だったようです。
また、1934年~1937年までは木次線の終着駅だったようです。
線路の右側の草むらの部分にもかつて線路があったんでしょうが、既に痕跡は分からないほど失われています。


反対側から


ホーム上には簡易的ですが待合所がありました。


改札口です。
昔ながらのものが残っているわけですが、現在は無人駅のようです。


ここには随分と古風な駅名標がありました。


駅舎内にはベンチだけでなくテーブルまでありました。
地元の学生がたまり場にするにはうってつけな場所ですが、当駅の利用者数は統計上ではあるものの1日あたり0人と出ていて、定期的な利用者はほぼいないという状況なんですかね。
青春18きっぷなどのフリーきっぷの利用者なんかはカウントされていない可能性が高いですが、それにしても利用はほとんどないといってもいい駅ですよね。
別に秘境駅というわけではなくて、駅周辺に集落もあるのにこんな状況なんですね。


「みどりの窓口」とかじゃなくて「出札所」というのも時代を感じますね。
若い世代では意味が分からないかもしれませんが、ようするにきっぷ売り場のことです。


天井も年季の入ったもので、古民家みたいです。


そして、駅舎です。
内部があの年季の入りようだったので当然ですが、外観も渋いですね。
建て替えられたといった話は見つけられなかったので開業時の駅舎が残っているんだと思いますが、そうだとすると1934年開業なので89年目の駅舎ということになります。


入口部分です。
上の看板は右から左へ読んだり、駅が旧字体だったりと時代を感じさせますが、それにしては妙に新しくも見えるのでこれは雰囲気作りのために後年になって付けられた可能性が高そうです。


脇は空き地みたいになっていましたが、昔は貨物扱いをするための場所だったとかありそうです。


駅前にあるこちらは「八川そば」という蕎麦屋さんです。
貴重な駅周辺の飲食店ですし、「奥出雲おろち」がやってくる日には予約制ですが「そば弁当」を発売しており、その際はホームに売りに行きトロッコの窓越しに手渡すという国鉄時代の駅弁売りのようなスタイルで販売するようです。


駅前を通るのは国道314号です。
出雲坂根でも見た国道の続きとなっています。


東城や西城といった広島県内の地名が青看(案内標識)に出ていますね。
となると、ここが既に島根県の端っこだということが分かります。


ところで、この国道へ通じる道路も実は独立した県道に指定されており、その名を「島根県道218号八川停車場線」といいます。
駅前と国道を結ぶだけの県道であり、全長について正確な数字は見つけられなかったものの30m程度と思われます。
反対側から撮ればヘキサ(県道標識)も撮れたんですが、現地ではそこまで思い至らずこれしか撮っていませんでした・・・
でも、1枚の写真で道路の全線を見渡せてしまうなんてすごいですよね。


↑それでは今度は備後落合行きの列車に乗って備後落合を目指します。
この八川15時58分発の備後落合行きは出雲横田から備後落合方面へ行ける最終列車となっています。
15時台に最終なんて都会の電車しか知らない人からしたらカルチャーショックものだと思いますが、これがローカル線の現実です。


写真でも撮ったら乗り込みます。
余談ですが、以前の旅で木次線に乗ったときと全く同じ列車だったりしますw

おろちループ橋を見つつ広島県へ

ここからは備後落合まで乗車していくのですが、この区間には「おろちループ橋」という見どころがありますね。
翌日も「奥出雲おろち」に乗って通るのでここでは軽く紹介するにとどめますが、せっかく通るので写真くらいは貼っておきます。


スイッチバックの2段目と3段目の分岐部です。
このあたりも冬季はかなり積雪する豪雪地帯なのでポイント不転換を防止するためのシェルターが着いています。


この赤くよく目立つアーチ橋は三井野大橋といい、出雲坂根駅からも見ることが出来ます。


その近くにあるこのループ橋が「奥出雲おろちループ」です。
「奥出雲おろち」に乗車するとしてもやはりここがハイライトとなるでしょうが、普通列車でも同じ景色が楽しめる上にそれほど混み合っておらず落ち着いて楽しめるのも魅力です。


JR西日本で最高地点にある駅の三井野原駅を過ぎて列車は広島県に入っていきます。
ここからは西城川に沿って進みますが、まだまだ上流の方なので川幅も狭いです。


そして、備後落合に到着です。
木次線としては終点ですが、芸備線に乗り換えが可能です。


駅名標も忘れずに
木次線の駅としては唯一”備後”を冠する駅ともなっています。


車内からですがホームです。
点字ブロックすらもない昔ながらの雰囲気です。


構内は意外と広く、かつて陰陽連絡の優等列車が行き交った時代の名残を残しています。
更に昔は広島発新見経由姫路行きなんていう長距離列車もあったみたいですし、今よりずっと栄えていたんでしょうね。


ホーム同士が構内踏切で連絡なのも今となってはレトロです。
それも、構内踏切自体は地方の駅では今でも残っていたりしますが、ホームから直接階段で繋がっているというのはそうそうないと思います。


あと、転車台も残っています。
SL時代の名残ですが、逆に今は構内の側線がほとんど使われていないことで撤去を免れたともいえそうです。


隣りにあったこの遺構も気になりましたが、SLに石炭を積み込むためのものとかでしょうか?


芸備線の列車もいました。
こちらは三次行きとなっており、木次線からだと10分の連絡で乗り換えが可能なので、木次線と芸備線を乗り継いで乗り鉄を楽しむならばこの接続パターンは有力ですね。

なお、反対の新見方面だと3時間ほど待ちぼうけを食らうので、要注意です。
以前の旅ではその3時間待ちをやったんですが、結局駅の待合室でほとんど過ごしましたね。
ただ、その時に食べた”ドライブインおちあい”の「おでんうどん」は忘れられず、また備後落合を訪れるからには食べようと思っていたのですが、調べてみるとこの日は定休日ということで残念ながらお預けでした。
前回訪問したときもご高齢のご夫婦で切り盛りしていらしたので、健康の問題とかで突然閉店なんてことも考えられますし、出来るだけ早く再訪したいと思っています。


↑発車は動画でどうぞ

そして、あとは木次線の列車で宍道へ折り返すのですが、まだ30分ほどあります。
なので、駅をぶらつくことにしました。


こんな顔出しパネルがありました。
前回訪れた時はまだ芸備線や木次線の具体的な存廃問題は浮上していなかったのに対して、今はJR西日本が協議会の設置を求めているところで、すぐに廃止という訳では無いにせよ、廃止がかなり現実味を帯びてきているということで、盛り上げようと必死でこういうものを設置しているんでしょうね。


トイレですが、工事現場にありそうな仮設トイレまでありました。
普段は利用者が少ないため最低限しか設置していないが、「奥出雲おろち」が発着する時は混み合うということで追加で設置したとかですかね。


待合室ですが、おびただしい量の掲示物に圧倒されました。
前はここまで多くなかった気もしますが、これも地元有志の方などが一生懸命芸備線や木次線を盛り上げようと頑張ってくれているのでしょうね。


時刻表や単行本もありました。
これも有志によって設置されたんでしょうか?


駅スタンプもありました。


サボも展示されていました。


「落ち合う駅」とはいいキャッチコピーですね。


時刻表がまとめてありました。
実は14時台は三次方面・新見方面・木次方面の3方向の列車が同時に発着する時間帯でして、「奥出雲おろち」を別にすれば最も備後落合駅が賑わう時間帯となるのです。


駅舎です。
構内の大きさからすると小ぢんまりとした駅舎ですよね。
でも、味があって好きです。


入口には張り出すように屋根がありますが、積雪を考慮してなんでしょうか?


駅前には小さいながらも広場があります。
路線バスは西城交通というバスが乗り入れていますが、駅前広場には入って来ず、駅前の国道上にバス停があるみたいです。


こんな掲示がありました。
JR側もクルマで訪れる人がいることを想定しているようですが、駐めるなじゃなくて枠内に駐めてねという内容でした。

それではあとは木次線の列車で引き返しますが、まだ時間があるので誰もいない駅の待合室で弁当を頬張りました。
実は木次駅滞在中に駅前にあったスーパーで弁当を買い込んでいたのでした。
最初は「おでんうどん」を食べに行くつもりだったんですが、定休日では無理ですし、他に飲食店もなさそうだったので弁当を確保しておきました。
備後落合駅周辺にはコンビニの1軒もなく、ドライブインおちあいが唯一の食料調達ポイントなので、訪れる際は食事には注意したほうがいいでしょうね。

食べ終わったら列車に乗り込んであとは宿泊地の出雲市までひたすら移動です。

出雲市へ引き返す

これにて活動としては終わったも同然ですが、木次線の列車で宍道へ向かい、山陰本線に乗り継いで出雲市へ行ったらホテルにチェックインしてゴールです。
木次線はさっきの列車の折返しですが、備後落合行きでは十数名程度乗っていたのが、ほとんどが芸備線に乗り継いで三次方面へ向かったようで、折返しの宍道行きでは私の他は乗り鉄風の男性が1名だけで、乗客2名での運行となりました。
すっかり暗くなってしまい、「おろちループ」もスイッチバックも見えませんので書くことはないかと思えば・・・


出雲横田では停車時間があるとのことで、気分転換も兼ねてホームへ降りることにしました。
しかも、運転士さんの方から「発車までホームに出られても構いませんが発車時刻までにお戻り下さい」という形で、間接的ながら車外に出ることを了承する旨の発言を頂いたのでこれは出ない手はありませんw


夜の小駅に佇むディーゼルカーというのもいいですね。


この時間では駅員さんもいらっしゃらないので駅舎の方も見てみることにしました。
ここも昔ながらの雰囲気ですね。


すっかり暗いですが外観です。
やっぱり神社っぽいですね。


しめ縄までありました。


丸型ポストもありました。

それでは車内に戻ります。
暗いのでそんなにじっくり撮影しようという気分にはなりませんでしたw

あとは宍道まで大人しく乗っていくのですが、木次辺りからは一般の利用者もちらほらと乗ってきました。
遅い時間帯のローカル線なんて乗り鉄くらいしか乗らないかと思えばそんなこともなかったですね。


宍道に到着です。


ここからは山陰本線に乗り換えです。


そこへやってきたのは「やくも」でした。
これに乗れば早く出雲市へ行けますが、あとはホテルへ向かうだけで急ぐ必要もないのでこれは見送ります。


↑発車は動画で


そして、キハ126形の普通列車で出雲市へ行きます。


出雲大社を模した出雲市駅の駅舎を撮ったらホテルへ向かってゴールです。


ホテルに入ると出雲市駅のコンビニで買ったプリンを食べて1日のシメとしました。
もちろん味も美味しかったんですが、このパッケージは鉄道ファンとしては手に取らざるを得ませんでしたw

というわけで3日目は以上となります。
4日目以降は別記事として追ってレポートしますので、公開までしばらくお待ち下さい。

つづく

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つばめ501号(管理人) について

関東を拠点に鉄道旅行を楽しんでいます。また、写真撮影や走行音の録音もしています。 サイトの方ではそれら写真や録音も公開していますのでぜひご覧ください。
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