【乗車記】大宮駅西口循環線(与野本町先回り)

今回は2024年1月30日をもって運行終了となった丸建つばさ交通が運行する大宮駅西口循環線(与野本町先回り)に乗車してきましたのでそのレポートです。
結局、記事の公開が運行終了には間に合いませんでしたが、廃止前の姿をこのレポートで確かめて頂ければと思います。

丸建つばさ交通大宮西口循環線(与野本町先回り)とは

まずはこの記事の主題となる路線の紹介ですが、そもそも「丸建つばさ交通」というバス会社自体が初耳という方も多いかもしれません。
この「丸建つばさ交通」というのは埼玉県伊奈町に本社を置くバス事業者で、2020年に設立されたばかりの若い会社なのですが、その背景として同年に経営破綻した丸建自動車の事業を引き継ぐために設立されたということがあり、この丸建自動車から考えると1988年と、そこそこ歴史がある会社となります。
最初は貸切バスのみでしたが、2001年に上尾市のコミュニティバス「ぐるっとくん」の一部の運行を受託するようになり乗合バスにも参入し、更には2003年から「けんちゃんバス」の通称で自社運行の路線バスも運行するようになりました。

路線網は本社があった上尾市を中心に桶川市・北本市・蓮田市・白岡市・伊奈町、更にはさいたま市にも及んでいましたが、コロナ禍が吹き荒れていた2020年、元々厳しかった経営状況がコロナ禍でとどめを刺される形でついに経営破綻となりました。
コロナ禍による乗合バス事業者の経営破綻としては国内初の事例でもあり、当時はニュースにもなりました。
なんとか路線を維持しようとスポンサーを募った上で経営再建を図る方針だったようですが、民事再生法の手続きの関係もあって、丸建自動車は消滅し、スポンサー企業が設立した新会社「丸建つばさ交通」が事業を引き継ぐという形になったようです。
このようにして路線はなんとか守られることとなりましたが、コロナ禍が交通業界に与えた影響を物語る一件でしたね。

続いて路線についてですが、「けんちゃんバス」の中で唯一さいたま市内を走る路線となっており、その路線開設は遅く、2018年に大宮駅西口循環線の運行が始まりますが、当時は大成先回りと呼ばれる系統のみで、今回乗車した与野本町先回りは翌2019年からとなりました。
ところで、この「大成先回り」と「与野本町先回り」は同じ路線で微妙に経路が違う系統が共存しているとか、循環路線で回る方向が違うとかではなくて、実質的には全く別路線と言えます。
なにせ、この2系統で重複するバス停は起点の大宮駅西口の他は西上小町の1箇所だけですからね。

運行本数としては大成先回りが概ね1時間に1本程度はあるのに対して、与野本町先回りは1日3本しかないというマイナー路線であり、廃止もやむ無しかなという気もしますが、他社が手を出さないような地域に路線を展開するのが「けんちゃんバス」のアイデンティティのような気もしているので、廃止は残念に思う部分もあります。
と言ったところで解説はこれくらいにして本編に入っていくとしましょう。

乗車レポート

それでは本題の乗車レポートに入っていくとしましょう。


というわけで大宮駅の西口にやってきました。
埼玉県最大のターミナル駅ですし、訪れたことがある方も多いとは思いますが、テレビ番組とかで街頭インタビューをする場合、大体この西口ですよね。
まあ、西口の方が商業施設も充実していて、明らかに栄えていますからねw


駅近くにある商業施設「DOM」の前にはこんなオブジェがありますが、実はこれの右下部分にあるのは新幹線の車輪だったりします。
東北新幹線が大宮~盛岡間で部分開業した際の下り1番列車の車輪だそうですが、当時の東北新幹線は200系しか走っていなかったはずですから200系の車輪ということになりますね。


西口のシンボル的存在と言ってもいい商業施設「アルシェ」です。
その手前にはペデストリアンデッキが張り巡らされていますが、この下に西口のバスターミナルがあります。
では、「けんちゃんバス」もそこから出ているのかというとそんなことはなくて、この「アルシェ」の右側の路地にひっそりとバス停があります。
後発のバス会社ってバス停も隅に追いやられていることが多いですが、「けんちゃんバス」もその例に漏れないようです。


こちらが「けんちゃんバス」のバス停です。
トラックの手前辺りにポールが立っているのが見えるでしょうか?


バス停にやってくると同時にバスがやってきました。
コミュニティバスで使われることが多いポンチョですね。
まだ発車までは15分ほどありますが、ここでしばらく停車するダイヤのようです。
循環路線なので大宮駅西口が待機場所という感じなんでしょう。


側面の幕も撮っておきます。


そして、バス停です。

後発バス事業者の宿命としてSuicaやPASMOは使えませんが、イオン系の電子マネー「WAON」が使えたりします。
WAONでバスというのは意外な組み合わせな気もしますが、実は最近、地方のバスを中心にキャッシュレス化の手段としてWAONを導入するケースが増えてきているんだとか。
「けんちゃんバス」の場合は大宮に乗り入れる西武バス・東武バス・国際興業といった大手バス会社はSuica・PASMOが使えるので、同じ地域を走っていながら唯一除外されている感じもしますが、一定以上の運行実績がないと導入できないなどの制約があるらしく、大手以外には導入が難しいという裏事情もあるみたいですね。

あと、乗り方ですが、「けんちゃんバス」は全路線が均一運賃制となっているものの、支払いは降車時となっており、乗車時は何もしないで乗車し、降車時にWAONをタッチするか運賃を運賃箱に入れます。


時刻表です。
ここから出るのは大宮駅西口循環線の大成先回りと与野本町先回りの2系統だけですが、時刻表を見ると与野本町先回りが走る時間帯は大成先回りがないという法則が見えてくるので、同じ車両で2つの路線を回しているんでしょう。
ちなみに、与野本町先回り廃止後は大成先回りが増発されるとのことなので、今までは与野本町先回りとして走っていた時間帯に大成先回りとしての運行をするということなんでしょう。


廃止のお知らせがありました。
よく見ると最終運行日が修正されており、1日繰り上がっていますが、理由は分かりませんw


残った時間でバスの外観を撮っていきます。
何やらキャラクターが描かれていますが、「でさん子」というらしいです。
これは「デサン」というデザインや塗装関係を手掛ける会社の公式キャラみたいなもので、「けんちゃんバス」とコラボ企画的にこんなバスを走らせているんだとか。


後ろにはもっと大きく描かれてますね。

あとは乗り込んで発車を待ちます。
結局発車時刻まで私以外の乗客は現れず、貸切状態で大宮駅西口を出発となりました。


↑ここで車窓を貼っておきます。
本当は前面展望を撮りたかったですが、ポンチョは構造的に前面展望が不可能なんですよねw


大宮の繁華街を走っていきます。
道路の流れも悪いですが、その分、風景をよく見ることが出来ます。
ここを右折して、西武バスなどが遠く走る道路に入っていきます。

少し進んで桜木町4丁目交差点を左折し、国道17号の現道に入っていきます。
しかし、それもごく僅かですぐに右折して与野中央通りへ入っていきます。
そして、ようやく1つ目のバス停となる「あおぞら保育園」に到着です。
ここまで大宮の繁華街を抜けていて流れが悪かったのもありますが、7~8分ほどかかっていました。
時刻表上でもそれくらいかかっているので、これが所定みたいですね。


大きな道路と交差します。
この真下に首都高も通っており、さいたま市の主要道路の1つですが、ここは直進です。

その交差点のしばらく先に上落合7丁目バス停があり、ここでようやく私以外の最初の乗客が現れました。
上落合地区には「けんちゃんバス」の他に西武バスの大38系統も通っていますが、こちらは2024年1月現在では日曜日に1本だけ走るという免許維持路線状態ですから、この地区の人にとっては「けんちゃんバス」が貴重な足だったんでしょうね。
それも無くなってしまったので不便になるだろうと思います。

続けて上落合公園前ですが、ここは通過です。


その先で右折して児童センター入口・イオンモール与野前と続きます。
イオンモール与野前は名前の通りイオンモール与野の最寄りであり、この路線の中でもっとも集客が見込めそうな施設ですが、残念ながら(?)イオンモール与野前には西武バス・国際興業バスも乗り入れていて、「けんちゃんバス」とは経路が違うものの大宮駅へも頻繁にバスが出ていることもあって、利用者はいませんでした。


もう少しで新大宮バイパスと交差というあたりでバスは右折していきます。
このあたりに与野本町西5丁目というバス停がありますが、この路線の中で「与野本町」と付くのはこの与野本町西5丁目だけだったりします。
住所的には「さいたま市中央区本町西5丁目」なので食い違っていますが、合併前の旧与野市の頃の住所表記なのかなという気もします。
ただ、この大宮駅西口循環線の運行が始まった頃にはとっくにさいたま市になっていたのでそれはそれで矛盾があるんですけどねw


再び首都高と交差します。
この路線は与野ジャンクションから分岐する新都心線という路線で、先程は地下だったので見えませんでしたが、このあたりは高架なので車窓からも姿を見ることが出来ます。


首都高を過ぎると”いずみ高校前”というバス停がありますが、目の前に同名の高校があります。
学校の目の前にバス停があるので、通学にも便利そうではあるのですが、本数が少ないですし、特に朝の便が恐らく始業に間に合わない時間帯になってしまうので、「けんちゃんバス」で通学している生徒はいない可能性が高そうですね。
ちなみに、少し歩けば他社のバス停もあるみたいです。

その後は左折・右折と曲がっていき小村田通りへと入っていきます。
このあたりに三橋3丁目がありますが、その先は更に細かく曲がっていき、市立みつわ会館前・ひばり幼稚園前と続きます。
この付近は西武バスの大38系統と重複する区間でもありますが、あちらは週に1本だけの免許維持路線なので、このあたりの地域にとっても「けんちゃんバス」は貴重な存在だったことでしょうね。
このように他社が走っていなかったり著しく本数がないような区間をカバーしているのが「けんちゃんバス」なので、個人的には頑張ってほしいなと思っています。


右折して大きな通りへ出てきます。
ここまでくれば大宮駅まで一本道であり、西武バスなど他のバスも頻繁に走る区間になっていきます。


そして、西上小町ですが、実はここを出ると終点の大宮駅西口までノンストップとなります。
西武バスだとこの間に4~5箇所はバス停があるのですが、恐らくは競合を避けるためにあえて無停車としているのだと思います。
運転士さんも途中で降りたい人がいないかどうか念入りに確認していました。

また、大成先回りのバスとはここで合流となります。
つまり、大成先回りと与野本町先回りで重複するのはこの1区間だけなんですね。


大宮ソニックシティの前も容赦なく通過です。
ここぐらいは停車してもよさそうですが、西武バスへの忖度なんでしょうかw


ほとんどのバスはこのまま直進して西口のバスターミナルへ入ってきますが、「けんちゃんバス」はそこへは入れないので手前で左折していきます。


JACKビル手前の交差点を右折です。
ニューシャトルの高架も見えますね。


大宮駅の駅ナカ「ルミネ」の搬入口を見つつ・・・


「アルシェ」の真横についたら1周しました。
結局、私の他には乗客1名という状況でしたが、使っている人はいるということも確かめられました。
となると、廃止後は西武バスの大38系統が頼みの綱となりますが、免許維持路線からまた普通に運行されるようになったりしませんかね?w

あと、降りる時に、私が乗り過ごしたと思ったのか「1周しましたけど大丈夫ですか?」なんて声をかけられてしまいましたw
「けんちゃんバス」ではマニアが乗りに来るなんてあまりないんでしょうかw

と言ったところでレポートは〆たいと思います。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。

それでは!

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つばめ501号(管理人) について

関東を拠点に鉄道旅行を楽しんでいます。また、写真撮影や走行音の録音もしています。 サイトの方ではそれら写真や録音も公開していますのでぜひご覧ください。
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