前回に引き続き、100系500系の搬出作業、船への積み込み作業を取り上げます。
日本の朝は0800か0900
おそらくこの辺りだろうと踏んだ我々は、0800に博多埠頭に戻ってまいりました。
現場には2台のクレーンが設置されていました。
この車両、500系が到着した後に、本体・ブーム・錘とバラバラの状態でやってきていました。
道路運送車両法の保全基準で軸重は10トン以下、輪荷重は5トン以下など、細かく重量が制限されているので、バラして運ぶ必要があるようですね。 現場には、このクレーンを組み立てるためのクレーン車も来ており、大掛かりな作業であることが伺えます。
さて、今回100系と500系を輸送する船を見てみましょう。
テレビでの報道によれば「偶然」とのことですが、これまで「のぞみ」の花形として活躍し、博総という住み慣れた家を離れる500系にとっては、最高の手向けになったのではないでしょうか。
いよいよ積み込み
積み込み作業が始まりました。まずは必要な工具や吊り金具などを準備するようです。
この吊り金具、まずフックに2本のワイヤーをかけ、それをH型鋼の両端にシャックルで接続、H型鋼の下部にシャックルでワイヤーを接続して車両に取り付けた部品に引っ掛けて持ち上げる。 という仕組みになっています。 私事ではありますが、職業柄クレーンを使う機会が多く、このような光景を見ていますと、玉掛け技能講習や床上操作式クレーン技能講習で習ったことが反芻されるのです。 これらの吊り金具やクレーンも、500系で40トン、100系では50トンの重量、長さ、重心などを元に綿密な計画作成のもとに、どれを使用するのが最も安全かつ効率が良いのか計算されているのです。 またH型鋼から下のワイヤーをよくご覧になってください。ワイヤーが何かに通されているのがお分かりになるでしょうか。 これは、万が一車両とワイヤーが接触して、車両に傷を入れないための保護の役割をしているようです。
いよいよ、車体が上がります。 クレーンを複数台用いて荷役作業をすることを「ともづり」といい、高度な技術が要求されます。定められた合図者が鳴らす笛の音や無線通信などで各クレーンのオペレーターが巻上げ、旋回、ジブの伸縮操作を行う。 この日は風も強く、荷が揺れないように車体から垂れるロープを握る担当の方の表情に笑みはありませんでした。
新幹線が空中にある光景は、浜松工場や博総で見たことはありますが、やはり場所が違ったりすると、新鮮味があります。500系はこのまま船の中に収納されますが、海の上の揺れる船に積み込むのは至難の業で、ワイヤーが外されるまで相当な時間を要していました。 その後、ヘルメットが汚れていないお偉いさん方がやってきて、防災パトロールを行っていました。 年末はこういう視察とか査察が多いですねぇ。
お偉いさん方が引き揚げていき、次は100系の積み込みです。 100系は500系に比べ重量も大きいですが、車体側面が直角に近い分、荷役作業もしやすいのかと思われます。 作業にとりかかりそうになかったので、お手洗いを済ませ、温かい飲み物を買いに近くをウロウロしていると、
同じ船に積み込んで持っていくのでしょうか。 2形式の台車をじっくり見ていて思うのが、大きさの違いと見た目でわかる重量の差です。 100系の台車は500系のものより一回り大きく枕梁もあります。 100系と500系の間に約10数年。 技術の進歩を感じる一面でした。
いよいよ100系の積み込み
戻りますと、100系の荷揚げ作業が始まろうとしていました。
100系の身体が船に収まりきるのを見届けた後、我々は家路につきました。 それから2・3日後、神戸に到着したとの報道があり、無事に着いたんだなとひと安心しました。
2編に渡る記事となりましたが、いかがだったでしょうか。 これからも鉄道にまつわるニュースなどを気になった範囲で拾っていきたいと考えております。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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