今回は東京~出雲市間を走る寝台特急「サンライズ出雲」で行く中国地方乗りつぶしの旅ということで2日間の旅程で旅をしましたのでそのレポートです。なお、もはや恒例になっている気もしますが執筆が遅れに遅れまして、この旅は2016年1月に実施したものです。記事内の情報もその当時のものとしてご覧下さい。
行程の説明
今回は福岡の実家へ帰省するついでということで中国地方の乗りつぶしを行いました。
タイトルにもある通り、往路は「サンライズ出雲」を利用して出雲市へ行き、一畑電車の乗りつぶし後、快速「アクアライナー」で江津に出たら三江線で三次、芸備線・福塩線で福山と乗り継いでいき1日目は終了、2日目は井原鉄道・吉備線を経由して岡山に出たら山陽新幹線で運行されている「500 TYPE EVA」が充当される「こだま」で博多まで移動します。
なお、三江線は以前の旅でも乗っていますが、バス便でしか乗車しなかった区間があるため、列車便で全区間乗っておこうというわけです。
東京駅22時ちょうど発
仕事を終えた私はその足で東京駅へと急ぎました。サンライズエクスプレスは仕事帰りにそのまま飛び乗れるダイヤが好評を博している理由の1つのようで、金曜日の夜には仕事帰りのOLが縁結びの出雲大社を訪れるべくサンライズ出雲に多く乗っているようですね。
私は縁結びでもパワースポットでもなく乗りつぶしが目的ですがw
とりあえず撮影です。考えてみれば「ムーンライトながら」に乗るために東京駅に来ると大体はサンライズを見ている気がするので乗ることこそ初めてですが、割りと見慣れた列車になりつつありますね。
この方向幕も何度も見たし撮ってきたわけですが、いよいよ実際に乗って出雲市まで旅立つと思うと流石に気分が高揚します。
売店で駅弁と飲み物も調達したら早速乗車します。
サンライズエクスプレスは寝台特急なのでもちろん寝台車が中心の編成ですが、「ノビノビ座席」というものを利用します。
こちらがその「ノビノビ座席」です。カーペットが敷いてあるだけの簡素な造りですが、最大の魅力は横になって寝られるのに寝台券が不要で乗車券+特急券で利用できる点です。少しでも安くサンライズエクスプレスに乗りたいならばオススメですよ。
ちなみに、音鉄目当てで乗る場合、ノビノビ座席を指定すれば確実にM車なのも見逃せませんw
コップが備えられていますが、買ってきた飲み物を移してチビチビ飲めということなんですかね?w
各席に小さなライトが付いており、窓際に備えられた仕切壁もあるので、単なる雑魚寝よりはプライバシーが保たれますね。
いよいよ発車
22時ちょうど、サンライズ出雲はいよいよ東京駅を発車します。
私の乗ったのは上段だったため、視界が良いのはいいのですが、カーペット敷きということは背もたれがないということであり、壁に寄っかかれば車窓が見れない、車窓を見ようとすればあぐらをかいて座るしかなく、結局横浜あたりまでは粘って車窓を見ていましたが、だんだん足がしびれてきて結局車窓は断念して横になることにしました。
あと、びっくりしたのは自動放送があったことですね。調べてみるとここ最近になって導入されたもののようでしたが、夜行列車といえば肉声放送という刷り込みのようなものがあった私からすればちょっとしたカルチャーショックでした。
まあ、今までに乗った夜行列車は全て国鉄型車両で運行されるものだったので、比較的新しい車両の285系であることを考えればむしろ自然なのかもしれません。
車内改札も済ませたら明日の活動もあるので就寝することとしました。平塚あたりまでは記憶があるのですが、恐らくその辺りで寝落ちしたのでしょうw
目覚めるとそこは・・・?
目を覚ますと青い駅名標の駅を通過するのが見えました。JR西日本管内に入った証ですね。まあ、目を覚ます時間帯でまだJR東海管内だったら大幅遅延ということであり、明朝以降の行程が崩壊してしまいますけどねw
そして、列車は大きな駅に到着しました。どうやら姫路駅のようでした。
寝る寸前まで首都圏にいたのがウソのようですが、それがまた夜行列車の醍醐味ですよね。
回りの乗客らもゾロゾロと目を覚まし始め、岡山駅に到着です。そういえば、一時期上郡にサンライズエクスプレスを臨時停車させて、臨時特急で鳥取方面に接続することで「出雲」(サンライズじゃない方)の廃止の代替とする取り組みがあった気がしますが、結局定着しなかったようですね。
一路山陰路へ
岡山駅で高松行きのサンライズ瀬戸を切り離すと私の乗るサンライズ出雲は山陰側へ向かいます。
倉敷までは山陽本線ですが、そこから伯備線に入ります。以前の旅で総社までは乗ったことがありますが、大半の区間は未乗であり初めて目にする車窓が待ち構えていますね。
↑豪渓駅付近
↑日羽駅付近
↑備中高梁駅付近
中国地方を縦断するルートだけに山岳地帯を越える箇所もありますが、山陽本線では見られなかった雪景色もありました。
伯耆大山より山陰本線に入りました。列車は宍道湖の辺を進み出雲市へラストスパートをかけます。
出雲市駅
東京駅を出て約12時間、終点出雲市に到着しました。
そういえば、今まで東京駅でしか撮ったことがないので明るい時の写真がありませんでした。
記念撮影用なのか駅名標を模したパネルが設置されていました。
しかし、小雨の降る中、屋根のない先頭部で記念撮影をしようという人は数えるほどでしたねw
まあ濡れる覚悟さえすれば楽に撮影できるということでもありますけども。
特急の終着駅になるような主要駅の割には細い階段でコンコースへと降りていきます。
乗継に若干時間があるので反対側のホームからも撮影してみました。
小雨が降っていたこともあり、JRの駅舎は後回しで早速一畑電車の乗り場へ移動します。
レトロな同社のイメージに反して近代的な駅舎でした。
一畑電車といえば、映画「RAILWAYS」ということで大々的にPRしていました。
実は私は何だかんだで見ていないのですが、実物を見ると映画の方も興味が出てきますね。
普通は映画を見てから一畑電車に興味を持つんでしょうが逆になりましたねw
ピカピカの駅舎とは対照的に自動改札などはなく昔ながらの改札スタイル
一畑電車の駅は電鉄出雲市駅というJRの出雲市駅とは別の駅名を名乗って入るものの、ホーム自体はJRのものと隣接しています。
ただし、囲いで区切られており、乗り換えは一旦改札を出なければならないなど、利用する上では別の駅という方が実感に近いかもしれません。
何気にエレベーターも備えており、バリアフリーはばっちりですね。
車内はこんな感じ
向かい合うロングシート同士があみだくじで結ばれていて、粋な演出だなと思いました。
まずは出雲大社へ
今回は一畑電車の乗りつぶしがメインですので、途中駅には目もくれず、ひたすら一畑電車の全路線を乗りつぶします。
全路線と言いましても、北松江線と大社線の2路線しかなく、北松江線が電鉄出雲市駅と松江しんじ湖温泉駅を結ぶ一畑電車の”本線”というべき路線で、大社線は北松江線の川跡駅から分岐し、出雲大社前駅へと至る支線です。
日中は電鉄出雲市駅と松江しんじ湖温泉駅を結ぶ系統と川跡駅と出雲大社前駅を結ぶ系統の2系統で構成されており、今回は電鉄出雲市駅より川跡駅まで向かい、大社線に乗り換えて出雲大社駅を訪問後、川跡駅に引き返して一路北松江線の終点松江しんじ湖温泉駅まで行ったら電鉄出雲市駅までとんぼ返りする形で一畑電車の乗りつぶしを終えます。
川跡駅は乗り換えだけで時間がなかったので車両だけ撮りました。
どちらも他社の中古とはいえ、大社線は特に古い車両ですよね。
こちらは3000系というそうで、元南海21000系だそうです。
そういえば、以前に大井川鐵道を訪問した時にも出会いましたね。
この3000系に揺られて出雲大社前駅まで行きます。といっても10分足らずの乗車で着いてしまうんですけどねw
出雲大社前駅
縁結びの聖地の目の前までやって来ました。
縁結びの出雲大社だからなのか分かりませんがハートの形のフラワーアートの写真ですね。
終着駅ということで終端部を撮影
車止めも木製でレトロ感があります。
やはり問い合わせが多いのか、出雲大社の方向を案内する看板が設置されていました。
外に出てみて駅舎を撮影です。
この西洋建築の駅舎は登録有形文化財だそうですよ。
駅前通りは既に出雲大社の参道になっているようで、平日でしかも雨というコンディションながら観光客の姿も見受けられました。
折り返しまで少し時間があったので出雲大社の前までやって来ました。
しかし、出雲大社の境内はかなりの規模らしく、中まで行ってしまうと折り返しの列車に間に合わないことが分かりここで撤退・・・
廃止された国鉄大社線の大社駅の跡なども保存されているようですが、それは再訪時の宿題になりましたね。
あとは来た道を引き返して駅に戻りますが、流石に土産物屋も観光のオフピークで雨となっては閑古鳥が鳴いていましたねw
ちなみに、値札の”円”の文字が”縁”になっていたのが印象的でした。
川跡駅から北松江線の続き
出雲大社の目の前まで行きながら参拝してこないという乗り鉄あるあるを実行して川跡駅に戻ってきました。
京王5000系を譲り受けた5000系だそうです。観光客を意識した改造を施されているようです。
宍道湖畔を往く
松江しんじ湖温泉駅行きに揺られ北松江線の旅を続けていきます。
空は相変わらずの曇り空ですが、宍道湖に沿って進んでいきます。
JR山陰本線が宍道湖の南側を通るルートであるのに対して、こちらは宍道湖の北側ということで、ちょうど宍道湖を挟んで平行していることになりますね。浜名湖に対する東海道本線と天浜線の関係に似ているでしょうか。
さて、この北松江線ですが、かつては終着駅の松江しんじ湖温泉駅が北松江駅という名称だったことに因むようでして、歴史に軽く触れると一畑電車という社名の通り、一畑薬師への参拝客輸送を目的とした鉄道でした。
しかし、戦時下に不要不急線として一畑薬師方面への末端部がレール供出のため休止となり、戦後も同区間は復活することなく、一畑薬師へのアクセス鉄道という使命はなくなりました。
そして、その後一畑口駅より北松江駅方面へ延伸されることとなり、一畑口駅は平地にある駅ながらスイッチバック構造となりました。
ついでなので一畑電車という社名についても触れますと、当初は一畑軽便鉄道として開業し、路線の電化に合わせて一畑電気鉄道と改称され、2006年には一畑電気鉄道直営で運営していた鉄道事業を子会社の一畑電車に移管し、一畑電気鉄道という会社はグループを統括する持ち株会社となりました。
そのため、現在北松江線や大社線を運営する会社を指して一畑電気鉄道と呼ぶのは間違いということになりますが、まあ大抵は問題なく通じるでしょうし一部のマニアか公的な書類にて扱う場合以外は特に気にする必要もないのかもしれません。
あと、途中にある駅にも面白いネタがいくつかありまして、まず1つ目は「湖遊館新駅」です。実は”駅”という字も含めての正式な駅名であり、電鉄出雲市駅や松江しんじ湖温泉駅のように駅名に”駅”をつけて表記すると「湖遊館新駅駅」ということになりますw
なぜこういう駅名になったのか詳しい経緯は分かりませんでしたが、正式駅名に「駅」までが含まれるのは現在当駅が唯一の存在のようです。
それから、もう1つは「松江イングリッシュガーデン前」ですね。現在の駅名でも十分長い名前なのですが、2001年から2007年までの間には「ルイス・C.ティファニー庭園美術館前」という駅名を名乗っており、これは記号である”・”まで含めれば読みがなが25文字となり、当時の日本一長い駅名だった「南阿蘇水の生まれる里白水高原」の22文字を抜いて日本一長い駅名を誇っていました。しかし、名前の由来となった美術館が閉館してしまい駅名の改称を余儀なくされた結果、日本一長い駅名の座は再び熊本県の「南阿蘇水の生まれる里白水高原」に戻ったという経緯があります。
バス停なんかだと名称の由来となった施設が廃止・移転されたり名称が変わったりしてもそのまま停名を変更せずに放置する例もありますが、地方鉄道とはいえ全国の時刻表にも掲載される駅名となればそうも行かなかったんでしょうかw
駅名標を撮ってみました。まあ現在の駅名は日本一ではないのですがw
ところで、「イングリッシュ・ガーデン」をちゃんと”English garden”と表記しているのは関心ですね。
そんな雑学を挟むうちに列車は松江しんじ湖温泉駅に到着です。
松江しんじ湖温泉駅
いよいよ一畑電車の乗りつぶしが完了です。
当駅には既に引退したデハニ50形という車両が展示されているようでそのPRにも抜かりがありませんでしたw
改札は昔ながらのスタイルですが、ガラスを多用した開放感あるデザインのおかげか古臭さは感じないですね。
駅前で出迎えてくれたのは花のイラストが印象的な松江市営バスでした。
撮りバスもそこそこに駅の紹介に戻りますが、ぱっと見れば現代美術館と言われても違和感ないデザインですよね。
JRと接続しているわけでもない地方私鉄の終着駅にしては立派なロータリーですが、待機しているバスの少なさゆえか持て余しているように見えてしまいますね。
周辺を散策しているとやってきたのはこんなレトロなバス
観光客向けの周遊バスのようですね。
さて、この後はそのまま来た道を折り返す形で電鉄出雲市駅まで戻り、JR線に乗り換えて旅を続けていきますが、まだ発車まで時間があったのでここでお昼ごはんを食べることにしました。
駅前にラーメン屋を見つけ、小雨の中の取材で冷えきった体を温めるのにも好都合とありそこでの昼食を検討したものの、外から見る限りでも店内はかなりの混雑を見せており、入店までも時間がかかる上、着席後注文してから実際に商品が提供されるまでも時間がかかる可能性が高いと判断し、そこで食べるのは断念してコンビニで買ったパンやおにぎりでの昼食となりましたw
十分な乗り継ぎ時間の確保が難しい乗りつぶし旅行では提供時間などが読めない個人経営のようなお店はどうしても避けざるを得ず、結局ファーストフードかコンビニになってしまうんですよねw
出雲市駅
再び北松江線を立ち戻り出雲市駅にやってきました。
今度は多少乗り換え時間があるため先ほど出来なかった分、JR出雲市駅の取材をしていきたいと思います。
まずは北口から
出雲大社をモチーフにしたと思われる特徴的なデザインです。
構内では早速の出雲大社推し
パワースポットなどと持て囃されているようですが、これも1つの信仰の形なんですかね。
ジオラマも展示されていました。どうやら廃止された国鉄大社駅を再現したもののようですね。
その大社駅は大社線もろとも私が生まれる前に廃止されており、私にとってその存在は知識の中だけの存在でしかないのですが、こうしてジオラマで見ることで往時の繁栄を追体験した気になりますね。
それにしても、個人製作の作品のようですが、作者の技量や情熱もすごいです。
一方、こちらはジオラマというよりは出雲市近辺を走る列車を並べたレイアウトという感じでしょうか。
「サンライズエクスプレス」や「SLやまぐち」、「一畑電車」といった鉄道だけでなく、出雲大社や日本海、一畑バスなども盛り込んでいるところや、奥に停まっているサンライズエクスプレスがちゃんと7両編成なのは芸が細かくて評価できるなと思いましたが、何故に「ゆふいんの森」が混じっているんでしょうかw
ホームに上がると特急「スーパーおき」が入線しているところでした。そういえば、前回三江線に乗車した時は江津までこの「スーパーおき」に乗りましたね。
↑いよいよ「アクアライナー」の入線です。
キハ126系という車両なんですが、特急型車両のキハ187系と並び、山陰地域の鉄道高速化に対応するために導入された車両だそうで、快速「アクアライナー」「とっとりライナー」を中心とした運用になっています。導入にあたっては島根県・鳥取県による資金援助もあったようです。
と、あまり詳しく書くと聞ける車両辞典とカブってしまいますねw
あと、「アクアライナー」についてですが、米子~浜田・益田間を運行する快速列車で米子~出雲市間こそ各駅停車となるものの、出雲市以西では特急並みに停車駅を絞っている列車もあり、JR北海道で言う特快「きたみ」のように特急列車を補完する快速列車という感じですね。
並行して高速道路の整備も進んでおり、価格面でも優位に立つためには快速列車が必要なんでしょうね。
なお、今回はたまたま三江線の乗換駅である江津まで移動するのにちょうどいい時間に走っていたから行程に組み入れたというだけで、この列車に乗ることが目的だったわけではありません。とはいえ、やはり初めての列車に乗るというのはテンションが上がります。
ちなみに、内装はこんな感じで地方線区向けの車両らしく落ち着いた木目調のデザインとなっています。
三江線
「サンライズ出雲」「一畑電車」と並び1日目の目玉の1つと言える三江線にいよいよご対面です。
車両はキハ120系の単行ワンマンカーです。前回の旅では山陰本線から三江線に直通する列車に乗車し当駅に訪れましたが、石見川本駅までバス便で移動し、乙原駅まで引き返してから列車便に乗ったという経緯があり、当駅では三江線にニアミスこそしていますが乗車は果たせていませんでした。
ここでは1分程度の乗り換え時間しか無いのでこの1枚だけ撮ったら車内で大人しくしていました。
駅の方はノータッチになってしまいましたが前回も取材していますし別にいいでしょうw
さて、前回の記事とかぶってしまう部分もあるかと思いますが、一応三江線についてご紹介をしたいと思います。
路線名は起点と終点である三次と江津から取られており、いわゆる陰陽連絡線の1つです。しかしながら、1975年という遅い全線開通が災いし、既に道路整備が進み自動車交通の時代を迎えており、三江線が陰陽連絡線としての役割を果たすことはなく、専ら沿線の地域輸送に徹することとなりました。そのため未だかつて特急など優等列車が定期運行されたこともありません。
最初の着工は1930年台であり、当時の土木技術の問題などから線形が悪く高速運転が出来ない区間が大半であることや律儀に江の川に沿うルートゆえに江津~三次間を直線距離で結べば60km程度であるところを108kmもの路線長を要しています。
仮にモータリーゼーションが進展する前に全通を果たしていたとしても、出雲市や浜田と広島といった主要都市間の連絡として使うには遠回りとなり不便なルートと言わざるを得ませんし、ほくほく線や智頭急行線並の高規格で建設されていたのでなければ陰陽連絡線として特急などが運行されたとしても高速道路の整備とともに高速バスとの競争に負けてしまっていたでしょうね・・・
話を旅に戻しまして車内の様子ですが、江津駅発車時点ではお年寄りなど地元の方が目立ちました。
江津という街は前回訪問時に軽く散策していますが、地方にしてはお店などもそこそこは充実しており、三江線沿線に住む人達が買い出しなどに訪れたりはしているんでしょうね。
ただ、それも鉄道を維持できるほどの需要とはいえないようですが・・・
江津を出て1つ目の駅が江津本町駅といいますが、こちらが江津の中心街というわけではなく、周辺には特に何もありませんw
駅名がまるで詐欺じゃないかと言いたくなってしまいますが、駅所在地付近にある地区名が本町というそうで、決して嘘はついていないんですね。
なお、1日あたりの平均乗車数がここ10年ほどは0人を記録し続けているそうです。あくまで平均値ですから、全く利用者がいないということではないでしょうけど、平均で0人になるということは1日1人いるかどうかが実態なんでしょうかね・・・
おそらくは江津駅から1kmほどのところになるので歩こうと思えば歩けてしまいますし、三江線の本数の少なさもありもはや駅周辺の住民からは実用的な移動手段とみなされていないんでしょうね。
しばらくは江の川沿いの景色が続きます。
なんだか見覚えがある気がしますが、そういえば増便実験時のバスはこの脇の狭い道を通っていたような気がします(結構前の話なので勘違いかもしれませんが・・・
まとめてご紹介する形になりましたが、このように川辺の景色が続きます。
観光路線として一定の成功を収めている肥薩線の川線区間にも似ている気もしますし、観光列車を走らせればそこそこの集客はできるのではないかと思いますが、付近に大都市や著名な観光地がないのがネックですかね・・・
↑因原駅付近の車窓動画です。
最初の交換可能駅
江津を出て1時間ほどすると石見川本駅という駅に到着します。
この駅は江津駅から来て最初の交換可能駅となっており、三江線は実に32.6kmに渡って一切列車のすれ違いが出来ないということになります。
この影響で三次を9:57に発車する424Dという列車は実質的には江津駅まで通しの列車でありながら、石見川本駅で対向列車が車で1時間40分ほど待たされることとなり、時刻表上では石見川本駅で分断された別々の列車として運行されています。
おそらくは三次駅から石見川本以北への直通利用がほとんどないんでしょうけど、せめて江津~石見川本間にもう1箇所でも交換可能駅があればこんな不便はないんでしょうね。
駅そのものについてですが、朝夕のみとはいえPOS端末による発券業務が行われ、係員が終日ではないものの配置される駅ということで起終点となる江津駅や三次駅を除けば三江線の運行拠点と言える駅になるようです。ただ、それでも1日平均の乗車人数が23人という有様のようですが・・・
駅周辺にも目をやると郵便局、銀行、高校などがあり、三江線沿線の中では開けた土地のようです。また、路線バスや大田市・広島方面への高速バスも乗り入れているようです。
高校があるということは調べていましたし、ちょうど高校生の下校時間に当たる頃でもありましたから、ホーム上には多くの高校生が待っているんだろうなと思いつつ駅に入線すると予想に反し高校生はたったの2人・・・音鉄的には「助かった」というべき状況ですが、三江線の存廃問題を考えれるととても喜べる状態ではないですね。
また、買い物などの帰りと思われる高齢者もこの頃にはほぼ降りてしまっており車内は乗ってきた数名の高校生を除いては明らかに乗り鉄という人たちばかりでした。
その高校生も数駅先で降りてしまったのでその先は乗り鉄の貸切状態になっていました。乗り鉄というイレギュラな利用形態を除外するならばこの区間は本当に空気を運んで走っているということになりますね・・・
↑石見簗瀬駅付近の車窓動画です。
潮駅です。周辺には潮温泉という温泉もあるそうですが、温泉を紹介するためにこの駅を取り上げたのではなく、駅名が気になったからですw
ええ、あの駆逐艦と同じ名前だからですw
口羽駅での小休止
石見川本駅から更に1時間、江津駅からだと2時間ほど乗車してきました。
極端に運行本数の少ない三江線では単線区間にありがちな行き違いのための長い停車時間というのもなく、本当に乗りっぱなしでした。
トイレもついていますし、乗車姿勢に大きな制約を受けるバスと違い身体的な疲労はそれほどなかったのですが、日没後の車窓も楽しめない単調な乗車が続き若干飽きが出てきていました。
そんな頃到着した口羽駅では列車待ち合わせのため9分間停車するとのことで気分転換も兼ねてホームに出ることにしました。
とりあえずは列車を撮影です。同じことを考える同業者も多かったですが、山間部の冷え込みは想像以上であり何枚か撮ったら車内へと引き返す人が多かったです。
しかし、私はそのまま撮影続行です。車内の暖房で火照っていた体を冷やす目的、そして何よりもしかしたら最後の訪問になる可能性もある三江線の駅だけにちょっとだけでも駅取材をしておきたいというのもありました。
暗がりの小駅に佇むワンマンカーというのも絵になる気がして撮ってみましたが微妙にピンぼけになってしまい怪しい感じにw
都市伝説界隈で有名な「きさらぎ駅」の写真だと紹介しても違和感がなさそうですw
構内踏切を介して駅舎と接続しています。まあ三江線の本数ならむしろ構内踏切じゃないほうが驚きますね。
駅舎内です。意外と綺麗に維持されていました。そういえば、前回訪問時のレポートでも乙原駅の綺麗さに触れた覚えがありますし、三江線全体に言える傾向なのかもしれません。
そして、駅舎は何やらイルミネーションが施されていました。
何かのイベントだったのか、三江線活性化のための取り組みなのかは分かりませんが、おかげで暗くてただでさえ分かりづらい駅舎の様子が余計にわかりづらくw
気分転換も済んだし、そろそろ発車時間なので車内に戻ることとします。
残すは3分の1
口羽駅を出れば所要時間的に言えば三江線の3分の1を過ぎたことになります。
この区間は前回も乗った区間ですし、しかも乗っている列車のスジまで同じなので単なる移動という感が強くなってきていますが、最後の乗車かもしれない三江線の旅を1秒1秒大切に味わっていきたいと思います。
結局、途中の駅からの乗車は皆無と言ってもいい状況でした。
三江線全線を列車で乗車するという目的こそ果たせましたが、南側半分ほどの区間が車窓の楽しめない夜間の乗車になってしまったことや、沿線にある宇都井駅などいくつか気になる駅への訪問が果たせていないのもありますから、正式に廃止の発表が出たならば、もう1回再訪したい思いもありますね。
三次駅
三江線の旅も終りを告げ、芸備線と接続する三次駅に到着しました。
前回も同じ列車で三次に到達しているので当駅に訪れるのは2度目ということになりますが、此処から先の行程が前回とは異なります。
前回は芸備線で広島に抜けて夜行バスで福岡へと行きましたが、今回は芸備線を介して乗り入れてくる福塩線で福山に抜けて、そこに宿を取っています。
そして、前回は10分少々しか無かった乗り換え時間も今回はたっぷりあるので途中下車可能な乗車券であることも活かししっかり駅前も取材しておきたいと思います。
こちらは地域統一色とやらに染まることなく広島色を守っていました。
芸備線も当駅より広島方面は快速列車も設定されるなど比較的賑わう区間であり、概ね1時間に1本程度は最低でも確保されています。
また、車種もキハ47系などの2両編成が主に用いられています。
駅前には広々としたロータリーが整備されており、市内バスの他、広島方面への近距離高速バス、関西や名古屋への夜行バスも出ているようです。
ここも何やらイルミネーションがされていました。まだクリスマスムードが抜けていないのでしょうか?w
駅前には国道183号が通っています。広島市と米子市を結ぶ路線のようですが、大半が重複区間であり、単独区間としては三次と鳥取県の日野町を結ぶ形になるようです。
いくら最近道路にも興味が出ているとはいえ、わざわざ国道ネタを取り上げたのはおにぎり(国道標識)に描かれたもみじが気になったからですw
まだ時間もあったので駅周辺で軽い夕食を食べたら駅に戻ります。
次に乗るのも三江線と同じくキハ120系ですが、福塩線に乗り入れていく列車でして、府中行きとなります。
東京に住んでいる人からすると府中といえば京王線の駅であり、そこへ向かう列車が1両のワンマンディーゼルカーというのはちょっとしたネタでしょうねw
福塩線
福塩線は福山と芸備線の塩町を結ぶ路線であり、三江線と同じように起終点の駅名から1字ずつ取った駅名となっています。(福山・塩町→福塩線)
両備鉄道という私鉄を国有化した福山~府中間と、初めから国鉄線として建設された府中~塩町間に分かれており、現在でも府中以南は電化区間、以北は非電化区間であり、運行系統は完全に分断されています。
福塩線も非電化区間については三江線ほどではないにしても本数は少なく閑散としたローカル線です。ただ、三江線と違うのは三次駅より多くの下校途中の高校生が乗ってきたことです。音鉄的には残念な展開ではあるものの、高校生の通学の足として使われているというのは、路線がしっかり地域に根付いているということであり安心できる材料でしょうね。ただし、私が乗った19:31発の府中行きが福塩線上りの最終であり、ちょっと部活などで帰りが遅くなると列車がなくなってしまうのは不便でしょうね・・・
ちなみに、福塩線に乗ることにしたのは別に廃止になるからとかそういうわけではなく、前回と同じルートで福岡に向かうのもつまらないし、ちょうど福山に抜けられる乗り継ぎルートが見つかったから福塩線にしたというだけですw
ところで、途中に上下という駅があるんですが、変わった名前ですよね。
調べてみると列記とした地名らしく「上下町」という町があったようです。現在は府中市に編入され、府中市内の地名ということになります。
この地名の由来ですが、付近に芦田川水系と江の川水系の分水嶺があるからだという説とか、峠という字から”山”を取り除いて”上下”とした説、上野村と下野村に挟まれていたからといった説があるようですが、詳しいことは分からないようです。
それから、備後三川駅と河佐駅の間には長いトンネルがあるのですが、ローカル線に不釣り合いな長大トンネルがあるときはダムによる付け替え区間という例に漏れず、八田原ダムというダムによる路線切り替えがあっているようでした。
暗がりなのでダムも見えませんけどねw
府中駅
府中駅から先は賑やかな電化区間となりますが、65分もの間乗り継ぎ待ちを余儀なくされます。
日中であれば30分~1時間に1本の本数が確保されるものの、20:56発の列車には惜しくも接続できず、その次の22:20発まで待たなければなりません。
夜遅くに郊外から都心方面に向かう需要は少ないでしょうから本数が少ないのはやむを得ないとしても、このダイヤでは非電化区間からの乗り継ぎなど端から考慮していないという感じですねw
まあ、おかげでのんびり取材ができると思えばいいことなのでしょうか。
江津からの三江線も入れれば6時間近く揺られていたことになるキハ120系ともいよいよお別れです。
電化区間と非電化区間の境界を象徴する写真が欲しくて引いてみましたが電車の先頭部とは並べられませんでしたw
駅名標です。境界とは行ってもどちらも福塩線であることに変わりはないので駅名標は普通の中間駅のものでした。
留置車両を見かけ、つい私が時刻表を見間違えていて本当はすぐに接続する列車があるのではないかと淡い期待をして近づきましたが、照明すらついていませんでしたw
改札口です。あと1時間は列車が来ないこともあってか閑散としています。
内部から撮ったものです。
自動改札機こそないもののLED式発車標も備え、都市の電車の雰囲気に近づいてきました。
ちなみに、この発車標ですが、福塩線内では唯一の設置らしいです。
待合室には福塩線100週年を記念したアートが飾られていました。
とりあえず駅前に出ては見たものの暗すぎてよく撮れず・・・
結局、友人に「府中駅なう」というLINEを飛ばすも1時間以上の待ち時間をつぶすには足りず、近くのコンビニのイートインコーナーでラーメンなどを食べつつ時間を潰しました。
ここで府中市について軽く紹介しますと、古くから家具の生産で知られ、電動工具で有名な「リョービ」など府中に本社を置く企業も多いようです。
駅の方も開業当初より車両基地が置かれ、福塩線の運行拠点で在り続けています。
ありがたいことにコンセントも使えたため、コンビニで携帯をいじりながら時間をつぶすと思いのほかあっという間に列車の時間となり、乗り込むも乗客は数名のみでしたw
車窓こそ楽しめませんが、こういう時間帯は録音環境がいいので助かりますね。
福山駅
今宵の宿がある福山駅に到着です。
この列車から降りた時点でこの度の1日目はゴールということになりますが、せっかくなので少し駅を撮影していきたいと思います。
新幹線も乗り入れるターミナル駅だけにこういう時間でないと落ち着いた取材はできないですからね。
このまま福山駅で夜間滞泊なのかと思ったらまだ府中行きの運行が残っているようでした。
地方線区としてはかなり遅い終電ですよね。三次駅とは大違いw
山陽本線のホームもガラガラでした。
これから列車に乗る人よりもこの後到着してくる列車から降りてくる人がメインでしょうね。
福塩線終電の発車標ですが、府中駅のものと違ってこちらはちゃんと終電であるという表示もされているんですね。
最後のミッション
これでいよいよホテルに向かうだけかと思いきや、最後に1つだけミッションが残っていました。
それは明日使うフリーきっぷの調達です。明日の行程は「岡山・尾道おでかけパス」(2016年4月より「吉備之国くまなくおでかけパス」に改称の上リニューアルされているようです)というきっぷをメインに使っていきます。
この切符は岡山・福山地区のJR線と井原鉄道が乗り放題となっており、特急券を買えば新幹線もOKというもので、18きっぷが使えないシーズンに乗り放題きっぷというだけでありがたいのに、井原鉄道もOKで帰りの新幹線の乗車券まで節約できて、1950円とくれば買わない手はないきっぷだったわけですが、問題は利用日前日までに購入しなければならないということ・・・この手のトクトクきっぷにはありがちな条件ではありますが、当然首都圏で事前購入することは出来ず、発売している駅に電話して郵送してもらうといった対応も難しいでしょうし、今日福塩線を降りて福山駅で購入する以外に手立てはなかったわけです。
しかし、流石にこの時間では窓口も営業終了後でしょうし、券売機で買うことが出来なければこの切符の使用は諦めざるを得なくなってしまいます。
そんなわけで福山駅は運命のチェックポイントだったわけですが、そんなことは取り越し苦労とでもいうのか、普通に券売機(いわゆるMV)で買うことが出来ましたw
まあ、初めて使うきっぷというのはどうしても不安になってしまいますからねw
というわけで、そんな肩の荷が下りた安心感の中で撮った福山駅前をご覧頂いて1日目は以上となります。
2日目はまた別記事で追ってレポートしますので、また遅延するかもしれないものの気長にお待ち頂ければと思います。
~追記~
2日目も公開しました。
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