SimuTrans OTRPの話

今回はコロナ禍でなかなか遠征が出来ない情勢ということもあって、普段の旅行記とは毛色を変えてSimuTransの話をしたいと思います。
当ブログでSimuTransというと、再現プロジェクトのイメージが強いかと思いますが、今回の記事は全く直接関係はありません。
しかし、全くの無関係ではありません。

そもそもSimuTransとは


当ブログでSimuTransを取り上げるのはかなり久々ですし、中にはSimuTransをご存知ではないという方もいるかもしれませんので、まずSimuTransについての説明から入りたいと思います。
SimuTransとは、交通経営をテーマにしたシミュレーションゲームであり、無料で遊べるフリーソフトとして配布されています。
より具体的には鉄道・自動車・飛行機・船といった交通機関を整備していき、旅客輸送や貨物輸送をすることで利益を上げながらマップ内の都市や産業の発展を目指すゲームであり、フリーソフトながら高い完成度から人気を集める作品の1つです。
また、ファン有志が”アドオン”と呼ばれる追加データを製作・配布する活動も活発で、自分好みのデザインの車両や橋・トンネルなどをゲーム内で使用することも可能であり、日本人のファンの多さから日本の列車などのアドオンが豊富なのも特徴です。
詳しい話はファン有志によるサイトなどによくまとめられているのでそちらをご覧頂くとして、今回位の主題である”OTRP”についての話に入っていきたいと思います。

OTRPとは

さて、いよいよ主題となるOTRPについての話です。
OTRPとは、SimuTransの改造版としてリリースされている作品であり、こちらもSimuTrans本体と同じくフリーソフトとして無料で配布されています。ちなみに、OTRPは”One way Two lanes Road Project”の略のようです。
なお、以下では、OTRPではない通常のSimuTransを”Standard”と表記していきます。

具体的にはOTRPとStandardがどう違うのかというと、OTRPの方がいくつかの機能が追加されており、追加された部分以外はStandardと全く同じように挙動します。
つまり、Standardで出来ることはOTRPでも出来るのでありアドオンやセーブデータなどもStandardのものをOTRPでそのまま使うことが出来ます。
インストール方法や詳しい操作方法などは公式の情報をご覧頂くとして、追加機能の中身についての話に入ります。

まず、最大の目玉といっていいのが「片側2車線道路」の実装です。
Standardでは、道路は原則として全て対面通行の扱いであり、進入禁止標識で一方通行にすること自体は可能でしたが、その場合でも通行する自動車はそのうち片方の車線のみしか使わない仕様でした。
追い越しも実装されてはいましたが、対向車が存在する前提となっているのか追い越しが発生する条件が非常に厳しく滅多に発生しないため、仮に片側2車線の高速道路のような道路を作ったとしても活用されるのはそのうちの1車線のみという状態でした。

それが、OTRPでは道路ごとに追い越しの条件を指定できるようになっており、設定次第では実際の片側2車線道路と同じように、2車線をフルに活用した走行をさせることも可能となっているのです。
OTRPの由来が「1つの道で2つの車線」といった意味合いの英文ですからまさにOTRPの目玉とも言える機能ですね。


というわけで、スクショを用意しました。
Ctrlキーを押しながら道路ツールをクリックするとこのような”Road Configuration”というダイアログが表示されるのですが、ずらりと並んだチェックボックスが設定項目です。
横線より上に並んでいるのが追い越しの条件を設定する項目であり、”halt mode”、”oneway”、”twoway”、”only loading convoi”、”prohibited”、”inverted”と6つの選択肢があります。
デフォルトではtwowayになっており、これはStandardと同じ挙動をするモードです。

そして、流れで分かると思いますがonewayが2車線をフルに活用したモードであり、このモードにすると自動的にその道路は一方通行として扱われます。

halt modeだと基本的にはonewayと同じですが、一方通行区間内に停留所があった場合、追い越し側の車線でも停留所に停車することが出来ます。バスでこのモードを使うとリアリティに欠ける気がしますが、同時に2台の自動車が1つの停留所を使えるので効率は上がりますね。

この3つが使えれば基本的には問題ないと思いますが、ついでなので残りについても解説すると、only loading convoi(注)は停留所に停車している車両に対してのみ追い越しをするモード、prohibitedは一切の追い越しをしないモード、invertedは追い越し方法自体はtwowayと同じながら車線の左右が逆転するモードです。
only loading convoiは現実における追い越し禁止道路に近い挙動なので、市街地の狭い道路などで使うとよりリアリティが出ると思います。
prohibitedは停車車両も含めて追い抜かないモードなので、もし路上で荷待ちや時間調整をする車両を設定してしまうと後続車が通れなくて大渋滞を起こしかねない気がしますが、何らかの理由で車両の順序が入れ替わっては困るケースならルート上のすべての道路をこれにしておけば絶対に順番が変わらないメリットはあるでしょうか。
個人的に謎なのがinvertedで、部分的に通行方向を入れ替えることにどんなメリットがあるんだろうかという疑問を持っていますが、わざわざ機能として実装されている以上は、何かしら意味があるんでしょうね。
注:恐らく”convoi”は”convoy”のスペルミスだと思われますが、ゲーム内では前者の表記なのでそちらに統一します。

まとめると・・・
・halt mode
 一方通行の2車線道路、かつ追い越し車線側の停留所にも停車可能
・oneway
 一方通行の2車線道路
・twoway
 Standardと同様の挙動
・only loading convoi
 停車中の車両のみを追い越す
・prohibited
 一切の追い越しをしない
・inverted
 twowayと同じ挙動だが車線の左右が逆転する
ということになります。

そして、今度は横線より下側の2つの項目についてです。
“avoid becomming cityroad”と”citycars do not enter”という2つの項目があります。

まず前者ですが、これは市道化を防ぐモードです。
SimuTransでは都市が発展して新たな建造物が建つと、その付近の既存の道路が問答無用で市道に置き換わってしまう仕様があり、市道になると強制的に最高速度が50km/hに制限される上、都市内の道路はすべて同じデザインの路面で覆い尽くされてしまうため、景観を重視するプレイヤーの間では不評でしたし、せっかく最高速度の高い道路を使って高速道路を作っても、市街地近郊では市道化によってスピードダウンを強いられるという問題がありました。
これを防ぐためには高架道路は市道化されない仕様を利用して高速道路は極力高架で建設するか、やむを得ず地平に高速道路を作る場合は高速道路に接するマス全てにダミーの建築物を建てて新たに建築物を立てられないようにしてしまうことで市道化を防ぐ手法が一般的でしたが、OTRPでは道路そのものに市道化させない設定をすることが可能になったので、市街地周辺に地平の高速道路を作る場合もこれを使えば市道化されることはありませんし、景観を重視するプレイヤーでは道路によって違う種類の路面とすることでより雰囲気を出した開発が可能になりました。従来は沿道にびっしりとダミーの建築物を設置するくらいしか防ぐ手段がなかった市道化を防げる手段が提供されたとあって、2車線道路と並んでOTRPの目玉機能の1つだと思います。

そして、後者についてですが、”citycar”とはSimuTransでの一般車のことなので、これは一般車の通行を禁止するモードです。
これについてはStandardでも”No citycar”という標識が実装されており、これを設置すればそれより先の道路へは一般車が入らないようにすることが出来ていたのですが、厄介なのが市道化であり、市道化の際にcitycarが自然発生する仕様や、既に市道化されている道路から勝手に別の市道が接続するなどの仕様があったため、”No citycar”の標識で挟んだ区間内でcitycarが発生してしまうと逆にその車は外へ出ていくことができなくなったり、標識が設置されていないところで他の道路と接続されることで意図せずCitycarが入ってきてしまったりして、同じ区間を行ったり来たりするため余計に混雑させたり、ひどい場合はデッドロックを起こしたりと厄介な存在だったのですが、OTRPでは道路自体に一般車進入禁止を設定できるので使い勝手がよくなりました。
例えばバス専用道路を作るとか、バスターミナルやトラックターミナルなどを作る場合はこれを活用するとよさそうですね。


それでは次のスクショです。
これは過去に私が開発していたデータをOTRPに読み込んだ上で建設していた高速道路に対して”oneway”の設定を付与した状態になります。
ご覧のように一部のバスが右側の車線も使っていて、実際の高速道路に近い光景になっています。
また、これにより交通容量自体も増えているためスクショでは分かりにくいですが従来も緩和されました。

ところで、それぞれの道路にどのような設定がされているのかを確認するのに、1コマずつ調査ツールで調べていては大変な労力になってしまいますよね。
特に一方通行に指定した場合は方向が間違っていると意図した通りに自動車が走ってくれなくなり、最悪経路なしで立ち往生させてしまうことになるので重大な問題です。
しかし、OTRPではちゃんと道路の設定を容易に確認できるツールを用意してくれています。


というわけでスクショです。
一見するとただのインターチェンジの風景ですが・・・


:(コロン)キーを押すとあら不思議
道路の表示がこんなふうになり、ひと目で道路の状態が確認できます。
矢印は通行できる方向を表しており、一方通行に指定してある高速道路上は矢印が1方向のみですが、一般道は対面通行に指定してあるため両方向に矢印が出ています。
また、路面に色がついている箇所がありますが、色は市道化の可否と一般車の進入可否を表しており、市道化防止が有効だと緑色、一般車進入禁止が有効だとピンク色、両方とも有効だとオレンジ色になり、逆にいずれも有効ではないと何も色が付きません。

なお、一方通行の方向についてですが、基本的には建設時に起点に設定したマスから終点に設定したマスの方向になりますが、建設後に向きを変えることも可能であり、建設済みの道路をなぞるようにonewayかhalt modeに設定した道路ツールを使用すると、そのツールの方向になります。
細かい部分は操作しながら覚えたほうが早いかもしれません。

車線誘導機能

そして、OTRPではもう1つ道路に関する機能が実装されており、それは車線誘導機能です。
“oneway”か”halt mode”に指定した道路上に一方通行標識の属性を持つ標識を設置すると車線誘導標識として扱われ、標識を調査ツールで調べて詳細ダイアログを表示すると”Left”と”Right”というチェックボックスが出てきます。
これもほとんどそのままですが、”Left”はその標識の先にある交差点を左折する車両は左の車線に寄るように誘導することができ、”Right”は逆に右折する車両は右の車線に寄るように誘導できます。
これを使うことで、例えば高速道路の出口手前に”Left”のチェックを入れた標識を立てれば高速道路から出ようとする車両を左車線に誘導でき、スムーズな流出が可能ですし、一般道の交差点においても”Right”の設定にした標識を手前に立てておけば右車線を右折レーンとして使うことができ、右折車による渋滞を緩和する効果が期待できます。

また、もう1つ注目すべき仕様として、左側にのみ分岐が存在し、右側には分岐しない交差点(高速道路のインターチェンジは大抵この構造だと思います)の手前に設置した場合、”Right”のチェックを入れた標識の効力は直進車に対して働くようになります。
これは左折専用レーンと直進レーンに分離したい場合にも便利ですが、もう1つの使い方としてインターチェンジでのスムーズな合流を促す使い方ができます。


これまたスクショですが、赤い丸で囲ったバスに注目してみて下さい。


一方通行の属性を持つ道路情報板を通過したバスは追い越すべき車両がないにも関わらず右側に車線変更していますよね。
これが標識の効果であり、この先のインターチェンジで合流してくる車両がある場合は、本線の車両を予め右に進路変更させておけばスムーズに合流できるというわけです。
現実の高速道路でも合流してくる車両がいる場合は可能であれば右車線に移るのがマナーとされていますし、SimuTransでも同じことが出来るわけです。

ただし、いずれの場合もあくまでの誘導であり、車線変更しようとする先の車線に既に車がいる場合は思い通りに進路変更してくれない場合があります。
現実の道路だったらスピードを調整して前後のどちらかに入るとかするところですが、SimuTrans世界のドライバーはそこまで賢くはないようですw

鉄道にも恩恵あり

このように自動車交通において大革命といってもいい恩恵をもたらすOTRPですが、鉄道にもちゃんと恩恵があります。

それは「分割併合」の実装です。
現実の鉄道では途中までは連結して1つの列車として走るが、ある駅で2つ以上に別れてそれぞれ違う目的地まで運行される、あるいは逆にそれぞれ違う駅からスタートして、途中の駅で連結して1つの列車として終点へ向かうという列車が存在します。
有名な例としては東北・山形新幹線の「やまびこ」と「つばさ」が福島駅で連結・分割してそれぞれ仙台方面と山形・新庄方面を結んでいる例などですね。
また、途中駅で編成を増結したり、逆に切り離したりという例もあり、関東で言えば高崎線の列車のうち15両の下り列車は籠原駅で付属編成の5両を切り離して10両になり、逆に上り列車は籠原駅で5両を連結して15両になるといった運用がされています。

しかし、Standardでは長らくこの機能は実装されておらず、特に再現プレイをする場合には悩みのタネでした。
それがOTRPではこの分割併合も実現しており、より実際の運行に近い列車を走らせることが出来るようになりました。
再現ではない通常プレイの場合でも、混雑の激しい区間のみ増結して、需要の少ない末端部は一部の車両のみ直通することで輸送コストを抑えつつ効率の良い運行をしたり、線路容量が逼迫している路線から出来るだけ多くの駅に直通列車を走らせたいと思った場合には分割併合を行い、混雑区間は1つの列車とすることで線路容量を有効に活用するなどのメリットがあると思います。

なお、この機能については私もまだ実験程度にしか試していないため、今後活用する場面が出てきたら改めて解説するかもしれません。
詳しくは分かりやすい資料が出ていますのでそれをご覧頂ければと思います。

乗り物の種類に関係なく活用できる機能も

OTRPでは全ての乗り物に関係する機能としてスケジュール機能の拡充も行われています。

Standardでは、停車する駅や停留所の順番や使用するホームなどは指定できましたが、「ダイヤを組む」というところまで細かい指定はできなかったため、鉄道であれば閉塞区間を工夫したり、車両基地などに一体引き上げさせて最大待ち時間の設定で間隔を調整したりという形で運行間隔を調整するのが精々でした。

しかし、OTRPでは発車時刻を指定することが出来るようになりました。
発車時刻といっても実際の時刻表のように○時○分という形ではなく、ゲーム内の1ヶ月を1440等分した時間を単位として設定するもので、慣れるまでは分かりにくいと思いますが、実際のダイヤを再現した運行をしたいと思えば活用しない手はない機能です。
これについては私もまだ試行錯誤の段階なので今後詳しいことが分かってきたらまた解説したいと思います。

それから「臨時系統」という機能があります。
これはその設定がされた乗り物のスケジュールをRouteCostに反映させないという設定です。
RouteCostというのは乗客が利用するルートを決めるのに使う値のことで、基本的には停車する駅・停留所の数や乗り換え回数によって決められています。
そのため、乗客はなるべく乗り換えが少ないルート、かつ途中で停車する駅や停留所が少ないルートを選ぶわけですが、極端に停車駅が少ない便を設定したり、ごく一部の本数のみ直通する区間があったりするとその直通列車に利用者が集中してしまうという問題を起こしがちでした。
しかし、臨時系統機能を使うとRouteCostに影響せずにスケジュールを組めるので、通常プレイにおいても利用者が多く滞留してしまった駅の救済のための臨時便を出す場合にこれを使えば他の区間の利用者までその臨時便を使うルートに乗り換えてくるリスクを減らせますし、再現プレイにおいては本数が少ない直通列車を再現したい場合や、鉄道が直通しない区間に高速バスを設定する場合に有効だと思われます。

その他にいわゆる「クローズドドア」の設定も可能となっており、任意の駅で利用を乗車のみ、あるいは下車のみとすることが出来るため、高速バスを走らせる場合に実際と同じくクローズドドアシステムを再現したり、長距離列車は短距離での利用を制限することで長距離客を確実に乗車させるといった活用ができそうです。

他にもいろんな新機能があるようですが、私自身がまだまだ勉強中だというのもあるのでこれくらいにしておきます。
また分かったことがあれば記事にしたいと思います。

え?OTRPの紹介はいいけど、再現プロジェクトはどうした?って?w
はい・・もうかれこれ3年ほど放置しちゃってます・・・
しかし、OTRPという存在を知ったことで私の中でSimuTrans熱が再燃しており、また開発がしたい欲求が高まっています。
となるとプロジェクト再開!・・・と行きたいところなのですが、実は従来のプロジェクトではある問題がありました。
それは「縮尺の不統一」という問題でして、従来のプロジェクトでは地図を見ながらそれを頭の中でSimuTrans上のマップに落とし込みながら開発するやり方であり、現実の1kmをマップ上の何マス分として表現するかといった縮尺は正直言って目分量でやっていました。
それでも開発初期は問題なくやれていたのですが、開発が進んでくると、場所によって縮尺が異なっていたしわ寄せとして、実際には一直線に進む鉄道や道路が不自然に曲がってしまったり、実際には1kmちょっとしかない駅間がマップ上では数十マスにも及ぶ長さになってしまうなどお見苦しいところがいくつか見受けられていました。
そのため、従来のセーブデータを活用してプロジェクト再開とした場合はこの問題はそのままということになりますし、かといって縮尺が間違っている場所を作り直すとなると、既に多くの列車やバスを走らせてしまっていることを考えると最初からやり直すに等しい労力となることが見込まれたことから、OTRPに移行するついでにプロジェクトも仕切り直すことにしました。


はい、実はもう作り始めていますw
これだけでどこを再現したものか分かる方がいれば大したものですが、これは国道1号の新居弁天IC付近となります。
北側には東海道本線の新居町駅が見切れています。

え?今度は静岡県内の再現なの?とか、縮尺問題はどう解決したんだ?とか色々疑問があるかと思いますが、それは次回のプロジェクト第1回の記事をお楽しみに!

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つばめ501号(管理人) について

関東を拠点に鉄道旅行を楽しんでいます。また、写真撮影や走行音の録音もしています。 サイトの方ではそれら写真や録音も公開していますのでぜひご覧ください。
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