【第32回】SimuTrans OTRPで関東+αを再現

SimuTrans OTRPで関東+αを再現プロジェクトの第32回です。
前回からは1ヶ月ほど開いての更新となりましたが、タイミング的にもこれが2025年最後の更新になると思います。

今回の更新内容

高速道路など・・・中央自動車道(勝沼IC~双葉JCT)、中部横断自動車道(双葉JCT~増穂IC)
高速バス・・・中央道高速バス(バスタ新宿~甲府)、空港リムジンバス(竜王・甲府~羽田空港)
といった感じで、今回はおおむね甲府盆地の内側を開発した感じです。
山梨県庁所在地の甲府市を始めとした都市圏の開発となりますね。
中央自動車道も双葉まで一気に延伸し、甲府と東京を結ぶ高速バスの運行も始まりました。
路線数としては少ないですが、運行本数の多い路線なので、中央自動車道が賑わってきました。
鉄道については前回までに建設済みで運行もしていたので、新規の内容はほとんどありませんが、沿線の道路などが作り込まれたことで、よりリアルさが出てきたと思います。
それ以外は一般道と一般路線バスですが、甲府都市圏ということで、路線バスも結構多く、前回までは道路や地形の再現に一番時間を使っていましたが、今回は路線バスの再現に時間を取られるという、久々の流れでした。
原点回帰したみたいで初心に帰った気分ですが、山梨県で一番人口の多いエリアを開発してしまったので、次回からはまた山間部の開発が中心になりそうです。

スクショ

それではスクショで開発した内容をご覧頂きましょう。


まずはマップ表示です。
ちょうど甲府盆地の形が浮かび上がっていると思います。
あと、川が多いのも特徴ですね。
私は地学に特別造詣が深いわけではないですが、多くの川が流れるからこそ、ここに盆地が出来たということなんでしょう。


続いて俯瞰視点です。
まだ西側や北側の地形の作り込みは途中ですが、それでも盆地っぽい雰囲気は感じて頂けるかと思います。


それでは細かく見ていきましょう。
まずは中央自動車道沿いに行きます。
東京方面から来た場合、甲府盆地内で最初のインターチェンジとなるのがこの勝沼インターチェンジです。
国道20号に繋がっており、甲府市中心部へ向かう場合もここで降りて国道20号を利用する方が、甲府南ICを使うより距離的には近そうですね。
高速バスについては中央道高速バスのうち、石和経由と呼ばれるルートのみここで降りており、国道20号、国道411号などを利用して甲府駅を目指します。
一般道を走る距離が長いですが、石和や勝沼といった需要も取り込めるルートであり、中央道高速バスとしては主力の系統となっているようです。

また、付近に勝沼バス停がありますが、インターチェンジを降りた国道上に設置されているため、石和経由の便のみが停車しており、甲府南経由の便は停車しません。


引き続き中央道に沿って進みましょう。
甲府盆地における中央道は盆地の外縁を南寄りに迂回するような線形となっており、国道20号と比べるとやや遠回りとなっていますが、市街化の進む場所に高速道路を建設するのは用地買収などの都合から避けられたのでしょうね。
画像は釈迦堂パーキングエリアで、小規模な施設ですが、敷地内に中央道釈迦堂バス停を併設しています。
なお、石和経由のバスは勝沼インターチェンジで中央道を降りてしまっているので、ここに立ち寄るのは甲府南経由のバスのみとなっています。


中央道甲斐一宮バス停です。
こちらはバス停が単独で設置されており、一般車にとっては何の用事もない場所となりますね。


一宮御坂ICです。
国道137号と接続しており、御坂峠を越えて河口湖や富士吉田市へ抜けることが出来ます。
もっとも、東京方面からであれば大月JCTから中央道の支線に入った方が利便性が高いですから、恩恵があるとしたら名古屋や長野方面から来た場合ですかね。


ちょっと寄り道して国道137号を見てみましょう。
峠越え路線ではありますが、比較的線形はいいですね。
ここを通って富士急バスの富士山駅~甲府駅間の路線が運行されており、貴重な峠越えバスの1つとなっています。


峠越え部分です。
国道に対しては新御坂トンネルが供用されており、快適な峠越えを実現していますが、旧道も廃道とはならずに供用されているようです。
また、富士河口湖町側については旧道を走る路線バスもあるようですが、本数があまりにも少ないため再現しませんでした。


それでは中央道に戻りましょう。
中央道御坂バス停です。
名前からして一宮御坂インターチェンジに併設していそうですが、実際には関係ない場所にあります。


中央道八代バス停です。
笛吹八代スマートインターチェンジを併設していますが、バス停があった場所にあとからスマートインターチェンジが出来たのではなく、スマートインターチェンジの開設に併せてバス停もここに移設されたようです。

ところで、九州生まれとしては八代と言われると熊本県八代市のイメージが強いですが、ここについては今でこそ笛吹市の一部ですが、2004年までは八代町という町でした。
また、山梨県には東八代郡・西八代郡という郡があり、更に遡れば律令制の時代から続く八代郡に端を発するなど、由緒正しい地名のようですね。
ちなみに、東八代郡については最後まで残っていた中道町が甲府市に編入されたことで消滅しており、西八代郡については市川三郷町の1町のみという状態ながら存続しているようです。


続いて境川パーキングエリアです。
釈迦堂パーキングエリアと同じく、敷地内に中央道境川バス停を併設しています。
ちょうど高速バスが停車中ですね。


甲府南インターチェンジです。
名前の通り甲府市内にありますが、何気に甲府市内唯一のインターチェンジなんだそうです。
また、旧中道町の範囲に所在するため、中道町が甲府市に編入されるまでは、甲府市内にはインターチェンジがなかったことになります。
県庁所在地で平成の中頃まで市内にインターチェンジがなかったなんて驚きですね。

前述の通り、甲府南経由のバスはここで高速を降りてあとは一般道で甲府駅を目指します。
ただ、市内とはいえ、甲府駅までは10kmほどあるようで、甲府市中心部は高速道路へのアクセスが微妙という印象はありますね。


更に中央道に沿って進みましょう。
中央道昭和バス停です。
名前の通り、昭和町にありますが、甲府~新宿間の路線はこの区間を通行しないため停車せず、停車するのは岡谷・上諏訪~新宿線のみとなっています。
しかし、この路線を再現するのは長野県まで開発を進める時になるでしょうから、しばらくは再現できず、当分は停車する路線がないバス停という状態になりそうです。


甲府昭和インターチェンジです。
勝沼インターチェンジ以来の国道20号と接続するインターチェンジとなっており、名古屋・長野方面から甲府市中心部へ向かう場合はここが最寄りになるようです。
ただし、所在地は甲府市ではなくて昭和町ですけどねw

ところで、この昭和町は甲府市にも近く、甲府都市圏に組み込まれているともいえるのですが、甲府市との合併を選ぶことはなく、独立を保っています。
周辺の町村が合併している中で独立している町村は経済的に裕福であるケースが多いというのは個人的な経験則ですが、昭和町については中央自動車道のおかげか工業団地が出来たり、平成以後では大型ショッピングモールが立地するなどしており、企業からの税収で潤っているんだとか。
この手のパターンで多いのは原発だとか自衛隊の駐屯地や基地などですが、ここは純粋に企業からの税収で潤っているんですね。


双葉サービスエリアです。
スマートインターチェンジを併設している他、中央道双葉東バス停も併設しています。
高速道路の施設の全てが1箇所に集まっている場所ともいえますね。

あと、中央本線のすぐ脇にあるんですが、こうして再現するまで、双葉サービスエリアが意外と鉄道沿いにあることを知りませんでしたw


その先にあるのが双葉ジャンクションです。
中央自動車道と中部横断自動車道が分岐する地点ですが、中部横断自動車道自体が比較的新しい道路ということもあり、中央道から見れば後から作られた施設ということになります。
この場所には元々は中央道双葉バス停が設置されていましたが、ジャンクション建設に伴い廃止され、代替として双葉サービスエリア内に中央道双葉東バス停が設置された経緯があります。
中央道については今のところここまでの建設となっていますが、中部横断自動車道も建設済みなので、中央道~中部横断道間の通行は可能になりますね。


それではここからは中部横断自動車道を見ていきましょう。
ジャンクションを過ぎるとすぐに釜無川を渡ります。


双葉ジャンクションから来ると最初のインターチェンジとなる白根インターチェンジです。
県道39号に繋がっており、甲府市中心部へも移動できるため、静岡方面からやってきて甲府市中心部を目指すならばここで降りるのが便利でしょうね。
また、甲府~静岡間を結ぶ高速バスもどうやらこのルートで甲府駅へアクセスしているようです。


続いて南アルプスインターチェンジです。
なんともキラキラした名前ですが、これは所在地が南アルプス市だからであり、合併に伴って登場した地名です。
公募の結果1位だったものを採用したとのことですが、公募には住民以外も参加可能な仕組みだったそうで、当時からは住民の間では受け入れられていたわけではなく、住民投票を求める声もあったそうですが、結局は公募の結果だとしてそのまま市名になったんだそうです。
カタカナを含む地名自体は他にもありますが、外来語を由来とする地名は南アルプス市が初めてだったそうです。

また、山梨県内の市としては唯一市内に鉄道がない自治体となっていますが、かつては山梨交通電車線という鉄道が通っていました。
現在はバス会社となっている山梨交通ですが、かつては鉄道も走らせていたんですね。
ちなみに、廃線跡は多くが車道化されており、その道路のことを「廃軌道」と呼ぶこともあるようです。

インターチェンジの構造に着目すると、インターチェンジ前後だけ4車線化されているのが特徴ですね。
合流の円滑さを考えてというのもあるんでしょうが、将来的に全線を4車線化することになった場合も、インターチェンジ部分だけは最初から4車線化しておけば、工事が円滑に進むということもありそうです。


増穂インターチェンジです。
隣接してパーキングエリアもあります。
所在地は富士川町ですが、富士川町は旧増穂町と旧鰍沢町が合併して出来た自治体です。
当時は静岡県にも富士川町がありましたが、原則として重複は認められない市名とは違い、町村名は重複しても問題ないということでそのまま富士川町となりました。
町村は郡に所属するので、郡名で区別できるとうことで重複を許容しているのでしょうが、比較的近い場所に同名の自治体があるのは紛らわしい気もします。
なお、静岡県の富士川町は富士市へと合併されたため、この紛らわしい状態は解消しています。

ところで、身延線には鰍沢口駅がありますが、実は駅そのものは隣の市川三郷町に所在しています。
そのため、富士川町には鉄道がないことになりますが、富士川を挟んで隣接していることもあって、利便性は悪くないと言えるでしょう。
また、富士川の対岸も少しだけ富士川町の町域となっており、富士川町内でも鰍沢口駅まで徒歩圏内という場所もあることになりますね。

といったところで、中部横断自動車道についてはここが暫定的な終点となっています。
現実では既に静岡県内まで繋がっており、新東名高速道路へ直結していますが、ここから先はさすがに甲府盆地とはいえないでしょうし、次回以降の開発としたいと思います。


高速道路はこれくらいで、今度は一般道を見ていきましょう。
これは新山梨環状道路という道路で、名前の通り、甲府市周辺を取り巻くように走る環状道路です。
中部横断自動車道の双葉JCT~南アルプスIC間もこれに含まれているようで、単独区間としても南アルプスIC~落合西IC間が共用済みで、おおむね西側と南側が共用済みで、東側と北側が事業中という状況のようです。
このように立体交差を多用した高規格道路となっており、山梨の首都高といってもよさそうですね。


続いて三郡橋です。
釜無川と笛吹川が並行して流れるところを渡る橋であり、面白いのが橋の途中に交差点があるんですね。
途中で分岐する道は釜無川の堤防道路となっているようで、この付近では笛吹川と釜無川に挟まれるように走っています。
つまりはここを通れば右も左も川という景色が楽しめることになります。
また、橋の南側は市川三郷町となっており、市川大門駅や市川本町駅があります。


甲府市古関町のあたりです。
このあたりはかつて上九一色村という名前でした。
その名前に聞き覚えがあるという方も多いと思いますが、様々な大事件を起こしたことで知られる宗教団体のオウム真理教がサティアンと呼ばれる施設を置いたことで知られ、上九一色村は「オウムの村」という風評被害を受けることになってしまいました。
こうしたマイナスイメージを払拭しようと、テーマパークを誘致するなどの施策もあったようですが、結局は2006年に市町村合併により上九一色村は消滅することになりました。
また、合併に際しては村域を南北に分割し、北部は甲府市へ、南部は富士河口湖町へ合併という、珍しい形態での合併となりました。
この背景には上九一色村が北部と南部で大きく生活圏が異なっており、北部は甲府市と、南部は富士河口湖町や富士吉田市との結び付きが強く、更には村内を縦断するような路線バスがないといった事情もあったようで、住民の生活圏に合わせる形で分割しての合併となったようです。

この古関町はかつて上九一色村の役場が置かれていた場所のようですが、唯一の公共交通機関となるコミュニティバスはここまでとなっており、富士河口湖町方面へのバスはありません。
これは合併前から変わっていないようですね。


甲斐大和地区です。
国道20号から分岐する形で県道218号が枝分かれしており、天目というところまではコミュニティバスが出ています。


道路自体は更に続いており、上日川峠を越えていきます。


続いて国道411号です。
青梅街道という通称もあるこの道路ですが、実際に青梅まで繋がっています。


国道20号の裏道的な役割も担える立地であることもあってか改良が進んでいるようで、ループ橋が連続するという印象的な場所もありました。


青梅街道を進むと丹波山村に出ます。
ここが前回までの開発で終点だった場所で、いよいよ繋がったという感じですね。
なお、丹波山村から甲州市へのバスはなく、車やバイクがないと丹波山村から甲州市へ移動することは出来ません。
逆に東京都内へ向かうバスはあるので、丹波山村は山梨県の村でありながら公共交通機関では東京都を通らないと他の市町村へ行けないという変わった立地になっています。
昔は塩山駅へのバスがあったそうですが、今も走っていたら奥多摩駅から塩山駅までバスだけで移動するなんてことも出来ていましたね。


続いては国道140号です。
雁坂トンネルによって埼玉県秩父市と繋がっており、埼玉県と山梨県を直接結ぶ唯一の車道となっています。
開通は1998年と意外と最近で、トンネルが出来る以前の旧道と呼べるような道もなく、トンネル開通前は登山道が国道に指定されていたそうです。
また、開通以来有料道路として運営されており、並行する無料の車道がない区間に有料道路だけがあるというのも珍しいと思います。

埼玉県や北関東方面が目的地であれば、中央自動車道や国道20号の渋滞回避ルートとしても有用なわけですが、現在このトンネルを通る路線バスは存在せず、公共交通機関で秩父と山梨を往来するには東京都内を経由する迂回が必要です。
秩父も山梨も観光地としての顔もありますし、観光路線としてなら塩山駅~三峰口駅みたいな路線があってもよさそうですが、残念ですよね。
なお、山梨側はトンネルの近くまではバスがありますが、トンネル区間は徒歩や自転車の通行は禁止なので、山越え区間を徒歩で強行するというルートも無理です。


こちらは県道207号ですが、途中までしか繋がっておらず、沿線集落の生活道路としての役割のみとなっています。
平野に暮らしていると、道路はどこかへ繋がっているのが当たり前と考えてしまいがちですが、山間部では県道クラスでも行き止まりの道がちらほらありますよね。


勝沼ぶどう郷駅付近から中央本線を眺めてみます。
こうしてみると甲府盆地の外縁をなぞって高度を下げていく線形がよく分かります。
実際に乗車したときの車窓でも、勝沼ぶどう郷駅あたりから見える甲府盆地の景色が、山梨へ来たなぁと実感する印象的なシーンですよね。

あと、このあたりは甲州市や笛吹市、山梨市といったエリアですが、意外にも路線バスは少なく、特に民営路線となると塩山駅発着の山梨交通の路線があるくらいで、それ以外はコミュニティバスです。
甲府と隣接しているわけですし、もう少し甲府市内への路線バスがあるかと思ったら全然なくて驚きました。
航空写真で見てみると田畑が目立つエリアなので、単純に路線バスを維持できるだけの人口密度がないということなんでしょうか。


また国道140号です。
甲府盆地内では甲府山梨道路というバイパスが整備されています。
このバイパスは西関東連絡道路という壮大な計画の一部を成しており、関越道の花園ICから国道140号のバイパスを連ねて一連の道路として整備しようという計画のようで、秩父地区でもバイパス道路が整備されていますね。


2車線道路ながら立体交差化されており、これも山梨の首都高と呼んで良さそう?


最後は石和温泉駅のあたりでバイパスは終わって現道と合流します。
計画では前述の新山梨環状道路と接続する予定だそうで、新山梨環状道路と連携してこそ真価を発揮する道路と言えそうです。


国道20号も甲府盆地では基本的に4車線化されており、更に一部は立体化されているなど、地域の基幹道路としてよく整備されています。
中央自動車道が市街地から遠い分、一般道の役割が大きいのもあるでしょうね。
この区間では中央道高速バスのうち石和経由の便がここを通ります。


国道411号も甲府市内では4車線バイパスが整備されつつありますが、まだまだ細切れの開通に留まっているようです。


中小河原では国道20号と国道358号が交差します。
いずれも4車線道路であり、インターチェンジといってもいい構造になっていました。


甲府駅周辺です。
さすがに県庁所在地だけあって駅周辺は都会感がありますが、意外だったのは路線バスの本数です。
多くの路線は1時間に1本程度で、県庁所在地でこんなものかと思ったのですが、甲府の路線バスの特徴として、甲府駅を起終点とせず、そのまま別の場所へ連続運行するパターンが多いので、複数の路線が重複して走る区間が多く、区間ごとの利用可能本数としては毎時2~4本程度確保されているようです。
なかなか面白い運行形態だなと思いましたが、ようするに同じ場所へ行くのに複数の系統があることになり、慣れないと利用が難しそうだとも思いました。

あと、このあたりの路線バスは山梨交通が主力ですが、塗装が国際興業と似ているのをいいことに、国際興業バスのアドオンを流用していますw


甲府南インターチェンジ付近です。
新山梨環状道路の建設途中の感じとか、複数の川が合流する感じとか、色々試行錯誤してみた場所でもあります。


新山梨環状道路とJR身延線の交差地点です。
鉄道が電化されているとはいえ単線なのに、道路は4車線の高架というスペックの違いを見せつけられているようです。
小井川駅に至っては高架下に隠れちゃっていますねw


そして、南アルプスICです。
中部横断自動車道も厳密には新山梨環状道路に含まれるようですが、構造としては普通の一般道と高速道路の接続点という感じですね。

といったところで、スクショは以上です。

おまけ


最後におまけですが、「ビューやまなし」を走らせてみましたw
この列車は2020年まで運行されていたホリデー快速で、冬季を除く休日に新宿~小淵沢間を運行していました。
215系が使われ、一部が指定席だったものの、自由席が中心なので乗車券のみで乗れる乗り得列車として知られていました。
私も乗ったことがあるのですが、2020年11月を最後に運行がなくなり、事実上廃止となりました。
使用されていた215系も翌2021年には全車引退してしまったので、もう走ることはない列車ということになりますが、いきなりそんな列車を再現したのには理由があります。
それは「かいじ」の積み残し問題です。
甲府盆地の開発を進めていくうちに甲府駅を始めとした石和温泉駅・山梨市駅・塩山駅の利用者が増え始め、その多くは新宿などへの長距離客でした。
普通列車は大月で分断されているため、これらは全て特急列車が担うことになるのですが、「あずさ」は石和温泉駅・山梨市駅・塩山駅には停車しない設定となっており、「かいじ」のみがこれら3駅に停車するため、この3駅の需要に対して輸送力不足になりつつあったのです。
更に悪いのは「かいじ」は「富士回遊」を併結する都合上、基本編成のみの9両編成であり、12両フル編成となっている「あずさ」より輸送力が減ってしまう上、甲府なら高速バスにもある程度利用者を流せますが、3駅に乗り入れる高速バスがないため、「かいじ」以外の代替手段がない状態なのです。
考えたのは「かいじ」を臨時系統扱いにしてルートコスト的には3駅から新宿への直通がない状態にしてしまうということで、これならば甲府か大月で乗り換えるルートしかなくなるので、普通列車に利用者を流すことができるのですが、すべての利用者が甲府経由となった場合、「あずさ」にも利用者が殺到することになり、将来的に小淵沢や長野県方面へと開発が進んだときに、今度は「あずさ」がパンクするリスクが出てきました。
そこで考えたのが「ビューやまなし」の運行です。
「ビューやまなし」は2階建てということで定員が多く、臨時快速ということで先行列車を追い越さないノロノロ運転のダイヤになっても違和感はないし、小淵沢まで運行するので峡北方面へ開発が進んだ後も「あずさ」の救済としても機能する点も魅力でした。
というわけで、単なるネタではなくて、割と切実な理由も込めての「ビューやまなし」復活劇でした。

SimuTrans世界の住人は基本的に同じ区間なら1つのルートしか考えてくれないので、乗り換えが1回増えるけど利用できる本数が増えるみたいなパターンでも頑なに直通列車を待ってしまうので、こういう問題が出てくるんですよね。
OTRPのおかげで色々と工夫できるのはまだ救われていますが、1つの区間に対して複数のルートを候補として挙げて、第1候補・第2候補・・・みたいな設定をして、第1候補のルートで一定時間待っても乗れなかったら第2ルートへシフト・・・みたいな実装が出来たら再現プロジェクトとしてはありがたいんですが、再現はSimuTransの中ではマイナーな楽しみ方でしょうし、そのせいでPCへの負担が増えて大規模マップの開発ができなくなるなんてことになっても困りますし、難しいですね。

この問題の影響を特に受けているのが湘南新宿ラインでして、特に高崎線・東海道線内の特別快速通過駅で顕著です。
例として大宮駅の1つ先にある宮原駅を挙げますが、宮原駅は特別快速は通過で、湘南新宿ラインでは快速と案内される列車は停車となります。
そして、湘南新宿ラインのダイヤは東海道-高崎系統と横須賀-宇都宮系統があり、それぞれ毎時2本ずつという形で、全てが重複する大船~大宮間では毎時4本走る形になります。
そうすると高崎線へ直通する湘南新宿ラインは毎時2本となり、特別快速と快速が1本ずつなので、宮原駅など特別快速通過駅に停車する湘南新宿ラインは毎時1本となってしまい、新宿駅や池袋駅から宮原駅への利用者が毎時1本に殺到してしまうのです。
現実だったら宇都宮方面の湘南新宿ラインに乗って、赤羽駅や大宮駅で上野東京ラインの高崎線に乗り換えるなどのルートも考慮され、直通列車がしばらくないならば乗り換えが増えるルートも選ぶのが普通でしょうが、SimuTransではそうもいきません。

更に余談ですが、前回開発した郡内地方では、富士吉田市から三島や御殿場、新富士などへ直通するバスがありました。
これらを普通に走らせると、東京都内への需要の大半がバスで三島や新富士へ出てから新幹線に乗り継ぐルートとなってしまい、バス路線がパンクしてしまったため、途中バス停で全員降車を設定して擬似的な系統分断をしたり、路線そのものを臨時系統扱いにしてルートコストから抹消するという形で対処しました。
これについては新幹線が停車駅が少ないため、ルートコスト的にはこれが最小ということになってしまうのでしょうね。
開発初期には浜松市周辺において、浜松市北部と浜松駅周辺の需要が天竜浜名湖鉄道で掛川へ出て新幹線で浜松へ出るというルートになってしまったこともありまして、新幹線駅に乗り入れる路線を設定するときは結構注意が必要なポイントだったりします。
現実だったら仮にその方が所要時間が短かったとしても運賃面で割高になるでしょうから、物好きかネタとしてYouTuberが挑戦するくらいだろうとは思いますが、ルートコストだけで決めるルールかつ特急料金という概念がないゆえに発生する問題ですね。
ルートコストについては最近のOTRPでは所要時間によってルートを決める新たなアルゴリズムが選べるようになっているので、これを選べば遠回りでも新幹線を選んでしまう問題は解消するかもしれませんが、特急料金がないために気軽に新幹線使いすぎ問題はどうしようもないですね。

確か、pak128.Japanというpakを導入すると、1等旅客、2等旅客と旅客が2種類に分かれて発生する仕様だったので、グリーン車などにも存在意義を見いだせていたのですが、問題はこの2種類の旅客は完全に別物扱いなので特に1等旅客の扱いにおいては出発地から目的地までの全ての交通機関に1等旅客に対応した設備を持つ乗り物が運行されていないと経路が成立しなくなってしまうんですよね。
現実で例えるならば、川口駅から京浜東北線に乗って東京駅へ出て、そこから東海道新幹線で浜松駅へ行き、最後は遠州鉄道に乗って西鹿島駅へ行くケースを考えてみると、現実ではこのうちグリーン車があるのは東海道新幹線だけなので、東海道新幹線ではグリーン車を利用し、それ以外は一般の列車に乗るということになるでしょうが、pak128.Japanでは1等旅客として成立するためには京浜東北線や遠州鉄道にもグリーン車相当の車両が走っていないといけないことになり、そうでなければ東京駅から浜松駅までみたいに、新幹線だけで完結する移動の時のみグリーン車を使い、それ以外は普通車というやや現実離れした選択をされることになります。

これについては本来はグリーン車などに存在意義を与える趣旨でしょうけど、特急形車両は全て1等旅客のみを扱うように設定しておけば、特急停車駅相互の移動は特急列車を、それ以外は普通列車を使うみたいに棲み分けが出来て、特急がパンクする問題は解消できそうですが、特急と普通列車の乗り継ぎが発生しないのも寂しいしなぁ・・・
理想は路線ごとにプレイヤーが運賃を設定できるようにして、運賃が高ければ高いほど旅客がルートとして選ぶ可能性が下がるみたいな実装でもいいかもしれませんね。

これは再現ではなくて通常プレイをしていた時の話ですが、長距離を直通する特急を走らせたものの、それがパンクしてしまい、最終的には定員の多い通勤形電車で運行するようになるというのはSimuTransプレイヤーあるあるではないでしょうかw
そういう事情もあって、通常プレイのSimuTransでは特急形車両は実用性が低くお飾り的な存在として扱われがちではあるんですが、路線ごとに運賃を設定できる仕様を実装してくれたら定員の少ない特急形車両にも活躍の場を与えられますよね。
とまあ、SimuTransについて思ったことをつらつらと書き連ねたわけですが、別にSimuTransに不満があるということではなくて、現状でも十分楽しませてもらっていますし、これだけの作品を無料で楽しませてもらっているのだから、開発に関わる方々には感謝しかありません。

次回予告

それでは次回予告です。
次回は山梨県のうち北杜市を中心としたエリアの開発となる予定です。
また、韮崎市内についても現状は路線バスの運行に関わる部分だけの開発となっているので、その残りを回収し、更に後回しにした山間部の道路も仕上げてしまおうと思っています。
あと、北杜市ということは小海線も清里までは含まれることになるのですが、ついでだから小諸まで線路だけ一気に敷設してしまおうかなとも思っています。
最近は鉄道の新設がなくて寂しかったというのもありますw

といったところで記事は以上になります。
冒頭にも書いた通り、年内最後のこのプロジェクトの更新となりそうです。
次回更新は2026年に持ち越しとなりそうですが、どうぞ気長にお待ち下さい。

つづく

ブログランキングに参加しています
鉄道コム にほんブログ村 鉄道ブログへ

つばめ501号(管理人) について

関東を拠点に鉄道旅行を楽しんでいます。また、写真撮影や走行音の録音もしています。 サイトの方ではそれら写真や録音も公開していますのでぜひご覧ください。
カテゴリー: SimuTrans開発記 タグ: , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , パーマリンク

コメントを残す

このサイトは reCAPTCHA で保護されており、Google の プライバシーポリシー利用規約が適用されます。