「キュンパス」で行く北東北遠征の2日目です。
なお、1日目をご覧になっていない方はそちらから先にご覧になることをおすすめします。
また、この活動は2025年春のダイヤ改正以前に実施したものとなります。
本日の行程
2日目となる今日は昨晩宿泊した盛岡から出発し、花輪線で大館へ、特急「つがる」で弘前へ向かったら、GV-E400系充当の普通列車で青森へ、更に同じくGV-E400系充当の普通列車で蟹田へ向かったら、再び津軽線で引き返し、最後は東北新幹線で東京への帰路に就きます。
この活動のお目当てだったGV-E400系の運用を制覇します。
花輪線で大館へ
それでは2日目の朝が始まります。
列車は6時55分発の大館行きであり、朝早いといえば早いですが、宿泊したホテルの朝食サービスを食べてから出発できるので、まあ許容範囲ですね。
花輪線は好摩からIGRいわて銀河鉄道に乗り入れる扱いになっているため、盛岡駅ではIGRいわて銀河鉄道の乗り場から出発となります。
発車標です。
完全にIGRいわて銀河鉄道の列車として案内されていますが、実質的にはIGRいわて銀河鉄道の好摩までの区間列車としても機能しているわけですし、嘘ではないですね。
ホームへ行くと既に入線していました。
平日朝ということで高校生で混み合うかとも思ったんですが、案外空いているようです。
岩手県内の通学事情についてはよく分かりませんが、単に時間が早すぎるのか、盛岡駅から郊外方面へ通学する生徒がそもそもいないのか・・・
でも、走行音収録&車窓撮影の都合を考えるとありがたいですね。
ここで花輪線についての解説です。
花輪線は好摩駅と大館駅を結ぶ全長106.9kmの路線で、全線が非電化・単線となっています。
愛称として「十和田八幡平四季彩ライン」というのもあります。
また、好摩駅からはIGRいわて銀河鉄道に直通し、基本的に全ての列車が盛岡駅まで乗り入れる他、一部が日詰駅まで乗り入れるダイヤになっています。
また、2015年までは快速「八幡平」がありましたが、現在は全列車が普通列車となっています。
基本的には盛岡~大館間通しでの運行ですが、一部に荒屋新町や鹿角花輪で折返しとなる列車が設定されています。
歴史としては1914年から1923年にかけて大館~陸中花輪(現在の鹿角花輪)で開業した秋田鉄道という私鉄が始まりで、陸中花輪から好摩までは花輪線として国の手によって建設されました。
路線全体で見れば中間地点である花輪が路線名に採用されているのは、国有鉄道としては花輪を目指して建設されたからという経緯があったわけですね。
立地としては奥羽本線と合わせて東北本線(現在のIGRいわて銀河鉄道と青い森鉄道)の好摩~青森間をバイパスするルートを構成しているため、東北本線が災害で普通になった場合に青森方面への優等列車を花輪線に迂回運行するという例もありました。
それでは乗車レポートに戻ります。
↑というわけで車窓動画をどうぞ
盛岡を出てしばらくは小雨がぱらつきますが、花輪線に入るまでには止みます。
※3月23日公開予定なので、それ以前にご覧の方は公開までしばらくお待ち下さい。
好摩まではIGRいわて銀河鉄道であり、複線電化の線路を走りますが、ここはかつての東北本線というだけあって、線形はなかなかです。
そして、好摩からはいよいよ花輪線に入っていきます。
徐々に山が見えてきます。
このあたりは八幡平市であり、かつては松尾鉱山で賑わった土地でもあります。
松尾鉱山で採掘された硫黄を運ぶために松尾鉱業鉄道という鉄道がかつて存在しており、大更駅から分岐していました。
花輪線が非電化なのに対して、松尾鉱業鉄道は電化されており、更には鉱山鉄道でありながら旅客輸送も行っており、観光客にも利用されていたというから驚きます。
松尾鉱山の閉山によって松尾鉱業鉄道も廃止になり、大更駅も単なる途中駅になりました。
安比高原駅に到着です。
スキー場やゴルフ場もあるので案外知られている地名かもしれませんが、「あっぴこうげん」と読みます。
それにしても、ホーム上の雪の壁がすごい高さでした。
スキー場があるだけのことはありますね。
山間の谷間を進みます。
花輪線は全体的に山を縫うようなルートであり、東北自動車道と並行するルートでもありますが、東北自動車道は既存の集落や農地を避けるためか山の方にルートを取っており、直接車窓から見える箇所は限られます。
荒屋新町を過ぎるといよいよ本格的に山越えとなり、岩手県八幡平市から秋田県鹿角市へと入っていきます。
八幡平駅です。
紛らわしいのは、この駅は八幡平市ではなくて、そもそも岩手県ですらない秋田県鹿角市にあるということでして、しかも花輪線は八幡平市も通るというのも紛らわしさに拍車をかけています。
このようになった経緯ですが、こちらの八幡平駅がある場所は秋田県鹿角市八幡平であり、ここも八幡平という地名なんです。
岩手県の八幡平市はいわゆる平成の大合併で成立した市であり、西根町・松尾村・安代町の3町村が合併して成立しました。
このときに隣接する山の名前である八幡平から市名を採用したのですが、この八幡平という山は岩手県と秋田県に跨っているため、秋田県側にも八幡平という地名が存在することになり、駅名としては秋田県側に八幡平駅が設置されることになったというわけです。
なお、岩手県の八幡平市については大更駅が中心駅になり、市名を含む駅としては松尾八幡平駅があります。
こちらについては国鉄時代には岩手松尾駅だったのが、JR化直後の1988年に改称しており、同じ路線に八幡平と付く駅が2つあり、しかも全然違う場所にあるという紛らわしいことになりました。
そして、十和田南駅に差し掛かります。
ここは花輪線としては途中駅に過ぎませんが、実はここで進行方向が変わります。
これはかつて小坂方面への延伸が計画されていたためだそうで、確かに十和田南駅からまっすぐ北へ線路を伸ばせば小坂へ至ります。
その小坂へはかつて小坂鉄道が通っていたわけですが、花輪線も小坂まで通じていたら小坂には2つの鉄道が通じていたことになりますね。
あと、十和田南という駅名についてですが、由来は十和田湖の南にあるということで、かつては十和田湖を目指す観光客で賑わい、急行列車も設定されたりしたようです。
しかし、ここから十和田湖へ向かうバスは2003年に廃止されており、現在はここから十和田湖へ向かうならばその代替で設定されているデマンド交通「八郎太郎号」を利用する必要があります。
その他のアクセスは盛岡駅・八戸駅・新青森駅・青森駅などから路線バスが出ており、秋田県側からのアクセスのみ路線バスが存在しないことになっています。
進行方向が変わった列車は大館へ向けてのラストスパートを始めます。
このあたりまで来ると大館へ向かう利用者がチラホラと乗ってくるようになり、時間帯としては通勤・通学の時間は終わっているでしょうから、買い出しや通院といった生活の足として使われているようです。
これこそローカル線の本懐ですから、こういう利用者がいるのは嬉しいですね。
大館に到着です。
ここからは「つがる」に乗り継いで弘前を目指します。
今回は自由席なので早めに並ぶ必要があり、車両は撮れなかったので発車標で代替しますw
↑発車は動画でどうぞ
このあとはGV-E400系の普通列車を待つのですが、少し時間があるので、その間に弘前駅をぶらぶらします。
りんごの名産地だけに巨大なりんごのオブジェがありました。
こけしのオブジェもありました。
名産品オールスターズですねw
駅を出ようとするとこんなパネルがありました。
弘前を舞台にした作品のようですが、今や全国各地にアニメの聖地がありますね。
せっかく駅前に出たので駅舎を撮ったらあとはGV-E400系を待つのですが・・・
その前に1つミッションがあります。
それは「わんタク」の予約です。
実はこのあとは蟹田まで行って引き返すわけですが、蟹田での折返し待ちが2時間以上あり、さすがに暇なのでどうしようかと思っていると、津軽線の蟹田以北を代替する交通手段として「わんタク」というデマンド交通が運行されており、ちょうどいい時間にあって、奥津軽いまべつ駅まで行って戻ってくればちょうどいい時間つぶしになることに気づいて利用することにしたのでした。
現在は津軽線の振替輸送の対象でもあるため、JRの乗車券を持っていればタダで利用できる・・・つまり「キュンパス」でも乗れてしまうわけですね。
ただし、デマンド交通ということで予約制であり、ネット予約もできるのですが前日までとなっており、当日の予約は電話でしか出来ないのです。
「わんタク」に乗ることはこの場の思いつきだったので事前に予約をしているわけもなく、列車を待つ間に予約することにしたのです。
何度かかけるも通話中で繋がらず、結構利用者がいるんだなと思ったものですが、3度目くらいでようやく繋がり、無事に予約を取ることが出来ました。
GV-E400系で蟹田へ
ここからはGV-E400系に乗ります。
まずは解説ですが、GV-E400系はキハ40系の置き換え用として導入された電気式気動車であり、主に秋田・新潟地区で運用されていたキハ40系の運用を置き換える形で導入されました。
主な運用線区としては羽越本線・米坂線・磐越西線・津軽線・五能線などがありますが、奥羽本線の弘前~青森間でも運用があります。
これは津軽線にて運用される車両を弘前から回送するついでに設定されている運用であり、津軽線についても電化区間である蟹田以南と、非電化区間である蟹田以北に分かれており、GV-E400系の活躍の舞台は主に蟹田以北でした。
そのため、青森~蟹田間は主に701系が使用されており、GV-E400系の運用は1日1往復だけです。
しかし、2022年夏の大雨被害で津軽線蟹田以北が運転見合わせとなり、その後の存廃論議が長期化すると、本来の目的である蟹田以北への送り込みの意味はなくなったものの送り込み運用だけは残っているという状態になっていました。
2024年には沿線自治体からも蟹田以北の廃止を容認する方針が示され、廃止が決定的となったわけですが、2025年春のダイヤ改正では蟹田以北の忘れ形見とも言える送り込み運用が消滅することとなりました。
この背景には事実上の蟹田以北廃止決定というだけでなく、豪雨災害で運転見合わせとなっていた奥羽本線新庄~院内間の復旧に際しては電化設備を撤去して非電化路線として復旧することになり、津軽線で使用していたGV-E400系を転用する方針となったことも関係があるようです。
GV-E400系自体は別にレアな車両というわけではないですが、津軽線蟹田以北の忘れ形見とも言える運用だと思うと乗っておかないといけない気がして、今回の遠征を決めました。
まあ、これも「キュンパス」があったからというのも大きいですけどねw
なお、反対の蟹田から青森へ、青森から弘前への運用もあるわけですが、これについてはどうしても同日中に乗ることは出来ず、どうしても乗るならばもう1泊しなければならなくなるので断念しました。
構内に入ると側線に701系がいました。
まあ、このあたりでは嫌と言うほど見られる車両ですけどねw
そして、お目当てのGV-E400系です。
五能線でも活躍している車両なので、弘前で見られるのはごく日常の光景と言えますが・・・
側面の幕も撮ったら乗り込みます。
日中時間帯で3両編成ということで、何なら701系充当の列車よりも両数が多いくらいなので、今のところはかなり空いています。
そして発車です。
GV-E400系は電気式気動車といって、ディーゼルエンジンで発電してモーターを駆動して走る車両なので、エンジン音とモーター音を同時に楽しめるという車両になっています。
ところで、ディーゼルエンジンとモーターの両方を搭載するという意味では、ハイブリッドなのではないかと思われる方もいることでしょう。
実際、鉄道業界でもハイブリッド方式の車両というのも登場しており、JR東日本でもキハE200系やHB-E210系などで実用化されています。
そうなると電気式気動車とハイブリッド方式の車両の違いは何なのかという疑問が出てくると思いますが、その答えは「モーターのみでの走行が可能かどうか」という点になります。
電気式気動車もハイブリッド方式の車両もディーゼルエンジンで発電するところまでは同じですが、電気式気動車では発電した電気を直接モーターに供給して走行するため、走行中は常にエンジンが動作している必要があります。
一方、ハイブリッド方式の車両では発電した電気は一度バッテリーに蓄えられ、バッテリーからの電気でモーターを動かしているので、バッテリーに十分な電力が蓄えられていれば、エンジンを停止してモーターだけで走行することも可能です。
ようするに電気式気動車の構成にバッテリーを追加すればハイブリッド方式になるというわけですが、JR東日本ではハイブリッド方式や電気式気動車が登場したあとでも、キハE130系などの一般的なディーゼル式気動車を導入した事例もあって、燃費的にも実は一般的なディーゼル式気動車の方がよかったりもして、自動車の世界ではハイブリッド=低燃費というイメージですが、鉄道では必ずしもそうではないようです。
これはハイブリッドが効果を発揮するのは低速走行時や発進・加速時であり、市街地を走行する自動車であれば信号待ちなどで頻繁に停止・発進を繰り返すのでメリットが大きいですが、鉄道だと駅以外では基本的に停車しないので発進・加速の機会が少なく、むしろ高速走行時や巡航時はバッテリーやモーターも搭載する分、重量が増えて燃費を稼げず、結果としてディーゼルエンジンのみの気動車に比べて燃費が悪くなるという結果になっているようです。
自動車でも高速道路を巡航するような走り方ではハイブリッドのメリットが活かせないというのはよく言われていますし、鉄道とハイブリッドはそれほど相性が良くないのかもしれません。
都市部の通勤路線のように駅間が短い路線だったらまだいいでしょうが、そもそもそういう路線はほとんどの場合電化されており、ハイブリッド車両の出番がありませんしね。
そのため、鉄道業界でのハイブリッドは環境問題に対する取り組みをPRする意味合いであったり、電車と共通の部品を使えることで整備を簡略化出来たり、電車と同じ免許で運転できる場合があり、乗務員の養成の効率化といった意味合いが強いようです。
そんなことを考えていると列車は新青森に到着です。
ここからは新幹線からの乗り換え組だけでなく、高校生も大勢乗ってきてかなりの混雑となりました。
時間帯としてはまだ昼であり高校生の帰宅には早い気もしますが、試験期間とかで普段より下校が早かったのかもしれませんね。
3両編成でもこれだけ混んでいるんだから、2両だったら最悪積み残していたのでは?というほどの混雑でした。
そして、青森に到着です。
ここで1時間弱の待ち時間の後、今度は蟹田行きとして運行されるのですが、その間にお昼ごはんです。
跨線橋からGV-E400系を撮影です。
奥の2両は切り離され、1両だけで津軽線の運用に入るようですが、2両は奥羽本線内での輸送力を確保するために増結されていたということなんですかね。
確かにさっきの混雑を見たら、いくら日中でも1両では輸送力不足なのは明らかですしね。
そしてお昼ごはんですが、青森名物の1つ「のっけ丼」を頂きました。
これは「青森食菜センター」という市場で提供される海鮮丼であり、好きなネタを1つずつ選んで乗せてもらい、思い思いの海鮮丼を作れるというサービスです。
似たようなサービスに釧路の「勝手丼」がありますが、あちらは1品ごとに別々に会計していくスタイルなのに対して、「のっけ丼」は受付でチケットを購入し、そのチケットと引き換えでネタを乗せてもらうスタイルになります。
その都度お金を用意しなくていい分、楽ですね。
津軽線の代行輸送についてのお知らせを撮ったら構内に戻ります。
跨線橋からGV-E400系を撮影です。
増結されていた2両はどこかへ引き上げ、1両だけで待っていました。
蟹田行きの表示を撮ります。
本来であれば三厩~蟹田間の列車として当たり前に見られる行先なんですが、蟹田以北の運転見合わせによりGV-E400系の表示としてはレアになってしまいました。
それももうすぐ見納めですね。
それでは乗り込みます。
流石に日中だし空いていると思っていたのですが、予想外に車内は混み合っていました。
どうやら高校生が大勢乗っているようで、やっぱり今日は下校が早い日だったようですね。
なので、車窓でも撮ろうかと思っていたのですが、それどころか座ることすら出来ませんでしたw
発車するとアナウンスが始まるのですが、驚いたのは「三厩行き」と案内されていたことです。
確かにこの列車は本来のダイヤでは青森発三厩行きとなるのですが、駅でも行先表示でも蟹田行きとして案内されていました。
しかし、扱い上はあくまでも三厩行きであり、蟹田~三厩間が区間運休という扱いになっているのでしょう。
蟹田では三厩方面への代行バスに乗り継げるので三厩方面へ行きたかった人が間違って乗ったとしてもリカバリーは出来ますしね。
途中の奥内駅では対向列車との行き違いがあるのですが、この対向列車というのがGV-E400系なんです。
実は奥内駅ではGV-E400系同士の離合が見られるわけですね。
となると気になるのは運用ですが、本来であれば三厩からやってくる列車ですから、問題ないとして、現在は蟹田で折返しになっているので、蟹田到着後、反対の蟹田発青森行きで折り返すとなると蟹田で夜間滞泊ということになります。
もしかしたら青森あたりまで回送されている可能性もありますが、折返し列車の時刻を変更すれば蟹田ですぐに折り返すようにも出来るだろうに、こんな非効率な運用を続けていたあたり、あくまでも津軽線蟹田以北は運転見合わせであってまだ廃止されていないということだったんですかね。
駅名標です。
津軽線ではオリジナルデザインの駅名標を採用しているようです。
ホームです。
構造は単式+島式2面3線の国鉄型配線です。
今でこそ1~2両の列車が来るだけですが、かつては本州と北海道を結ぶ特急「白鳥」「スーパー白鳥」が停車していたこともあり、ホームは8両分に対応しています。
また、北海道新幹線開業以前は、当駅から北海道の木古内駅の間は普通列車が走っていないため、乗車券のみで特急の自由席に乗れるという特例があり、青春18きっぷで北海道と本州を往来する場合は、当駅まで普通列車でやってきて特急に乗り換えるというのが定番ルートでした。
北海道新幹線開業で青函トンネルを通る在来線の旅客列車は廃止されたため、これも過去の話ですが、現在は「北海道新幹線オプション券」というのを追加で買えば青春18きっぷで新幹線に乗って北海道へ行けるようになっています。
改札を出ました。
意外にもみどりの窓口がありますが、昨日訪れた大館駅が特急停車駅でありながらみどりの窓口がなくて、当駅は今は特急も来ないのにみどりの窓口があるという、この基準は何なんでしょうね。
津軽線蟹田以北の運転見合わせについてのお知らせです。
この時点で既に3年近く運行されていないことになりますが、これより長い期間運転見合わせになっている路線もありますしねぇ。
せめて時間がかかっても復旧してくれたら良かったですが、事実上の廃止決定が残念でなりません。
ちなみに、三厩駅へは1度だけ行ったことがあり、津軽線蟹田以北も1度だけ乗ったことがあるので、一度も乗れずに廃止にならなかっただけマシですかね。
こちらは代行バスの乗り場についての案内です。
普通に駅前広場に乗り入れるので分かりづらいことはないですね。
駅前広場です。
いくらか店舗などの施設があって、街の中心らしい雰囲気はありました。
かつては特急も停まっていましたしね。
といったところで、お目当てのGV-E400系に乗る活動は終了ですが、折返しまでだいぶ時間があるので、暇つぶしがてら、北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅に行ってみます。
こちらが津軽線の代替交通手段つぃて運行されているデマンド交通「わんタク」です。
ようするに乗合タクシーですが、面白いのが「定時便」と「フリー便」の2種類があり、「定時便」は時刻表に沿って運行され、予約を前提とするものの空席があれば飛び入りでも乗車できるというものです。
どちらかといえば路線バスに近い運行形態であり、路線バスでも予約制にして、予約がなければ運行しないというデマンド運行という形態があるので、それに近いですね。
「フリー便」は30分ごとの時間枠で、サービス提供エリア内の任意の地点から任意の地点へ利用でき、「定時便」を補完する存在となっています。
「フリー便」については予約必須で、飛び入りでの乗車はできません。
基本的には「定時便」がメインで、「定時便」が立ち寄らない場所だったり、運行がない時間帯をカバーする目的で「フリー便」があるという感じですね。
写真は「定時便」の方であり、定員の多いハイエースなどの車両で運行されます。
一方、隣にいたこちらは「フリー便」であり、一般的な乗用車が使用されています。
こちらはタクシーに近いですが、運賃は定時便と同じで一律500円となっています。
短距離利用だと割高感もありますが、蟹田から龍飛岬まで乗っても500円なので観光に使うならばお得ですね。
また、現在は津軽線の振替輸送の対象ともなっているため、JRの乗車券を持っていれば無料で乗車できてしまいます。
なので、青春18きっぷで乗れるタクシーという点でもネタにされていましたね。
ですが、この「わんタク」に乗るのはもう少しあとです。
どういうことかというと・・・
私が乗るのはこっちです。
実は「わんタク」はあくまでも実証実験という位置づけであり、正式な津軽線の代替としては代行バスが運行されているのです。
面白いのが、この時間帯は「わんタク」の定時便と代行バスが5分違いで続行運転するというダイヤになっているんですよね。
代行バスは津軽線の駅がある場所にのみ停車し、「わんタク」は駅以外でも乗降できるという違いや、代行バスはあくまでも津軽線の代替なので三厩駅の近くにある三厩体育館までの運行なのに対し、「わんタク」は龍飛岬灯台まで行くという違いもあります。
どちらもJRの乗車券で乗れますが、代行バスは津軽線が正式に廃止になれば運行されなくなるだろうということで、片道は代行バスに乗ることにしました。
なお、代行バスについては予約不要です。
それでは乗り込みます。
乗っているのは数名ほどで、5分早く「わんタク」が出るので、そちらに利用者が流れているのもあるでしょうが、代行バスは朝夕が中心なので高校生の利用で「わんタク」がパンクしないように増便といった位置づけなんでしょうね。
それでは発車です。
代行バスということで予想はしていましたが、車内放送はありませんでした。
乗車時に降車場所を運転士さんに申告する仕組みなので、目的の場所を過ぎてしまうということはなさそうですが、ちょっと不安になりますね。
途中で津軽線の踏切を渡りました。
ここは運転見合わせの区間ではありますが、中小国信号場までは青函トンネルを通る貨物列車のルートとして今でも列車が走っていますから、この区間は普通に現役と言えます。
思うのは、蟹田以北でも貨物列車のルートとして必要な区間は当然存続するでしょうが、その扱いがどうなるかですね。
完全に貨物列車専用となるとJR貨物に移管ということになるのか、団体列車などで在来線で北海道方面への列車を走らせる場合に必要だからJR東日本管理のままになるのか・・・
というかどうせ線路を残さなければならないならばせめて津軽二股駅までは存続させれば北海道新幹線の接続路線として活用できそうなんですけどね。
「わんタク」にしても代替の路線バスにしても今は運転士不足という状況ですから、バスの運行距離を短くした方がいいと思うので、津軽二股~蟹田間は鉄道で残すという選択肢もあったと思いますが・・・
そして、20分ほどの乗車で奥津軽いまべつ駅に到着です。
なお、津軽線としては津軽二股駅なので、代行バスの停留所も津軽二股駅ということになっています。
まあ、実質的には同一駅なんですけどねw
外ヶ浜町の観光案内がありました。
奥津軽いまべつ駅自体は今別町にありますが、外ヶ浜町も隣接していますしね。
ちなみに、外ヶ浜町は蟹田町・平館村・三厩村が合併して出来た町ですが、旧三厩村の領域は今別町を隔てて飛び地のようになっています。
このように元々は直接接していなかった自治体同士が合併して飛び地が発生するケース自体は他にも例があるものの、津軽半島の場合、この外ヶ浜町だけでなく、中泊町、五所川原市も飛び地状態になっており、津軽半島は飛び地のデパート状態になっていますw
別に合併は隣接する自治体としかしてはいけないという決まりもないですし、飛び地自体はここに限った話ではないですが、3つもの飛び地を持つ自治体が津軽半島に集まってしまったのは、合併に向けた協議で意見がまとまらず、地理的な位置関係に関係なく、意見が合う自治体との合併を選んだ結果だとされており、この背景には青森県民の「じょっぱり」と呼ばれる強情っぱりな気質があるという意見もあるようです。
この飛び地合併が住民生活にどんな影響を与えているのかは住民でない立場では分かりかねますが、やっぱり不便もあったりするんでしょうか。
一方、こちらは所在する今別町の観光案内です。
今別町は平成の大合併では合併をしなかった町ですが、外ヶ浜町に今別町も加わっていたら外ヶ浜町は飛び地状態にはならなかったんですよね。
今別町は端から合併する気がなかったのか、合併協議まではしたものの決裂したのかは調べきれていません。
ちなみに、新幹線の駅がある自治体としては日本で一番人口が少ない自治体になるようです。
駅前には大きな駐車場があり、パーク・アンド・ライド的な利用も想定しているようです。
奥津軽いまべつ駅の案内です。
新幹線のサインがちゃんとE5系なのがいいですね。
こちらが道の駅のようです。
規模としてはそれほど大きくはないですが、鉄道利用者も恩恵を受けられるのはいいですね。
こちらが津軽二股駅の入口ですが・・・
ご覧のように雪に覆われてとても立ち入れる状態ではなさそうです。
運転見合わせ中であってまだ廃止されたわけではないので、ホームに立ち入れるのでは?という期待もあったんですが、考えてみれば列車が発着しない駅のホームなんて除雪しているわけないですよね・・・
駅前広場の部分は除雪されてますが、どちらかといえば道の駅利用者のためなんでしょうね。
少し時間が余ったので奥津軽いまべつ駅の方にも行ってみました。
狙いは跨線橋から津軽二股駅を見下ろせるのではないかということでして・・・
おお、狙い通り津軽二股駅のホームを見下ろせました。
雪に覆われていて津軽線の線路すら見えませんけどねw
ズームで駅名標を抜いてみました。
斜めからの撮影になってしまいましたが、撮れただけ良しとしましょう。
そこへ貨物列車が通過です。
牽引するEH800形はここでしか見られない機関車ですから貴重ですね。
新幹線の改札口です。
さすがに自動改札機はありますが、閑散としていますね。
列車の発着がない時間帯というのもあるでしょうが、当駅の利用者数は1日あたり30人前後で推移しており、新幹線の停車駅としては最も利用者が少ない駅となっているようです。
顔出しパネルを撮ったら撤収です。
入場券を買って構内にも入ろうかとも思いましたが、そろそろ「わんタク」の時間なのでそれはまたの機会に・・・
そして駅前に戻ると既に「わんタク」が到着しており、運転士さんがお待ちかねでした。
一応所定の発車時刻まではまだ3分ほどあったので、お待たせしてしまったわけではないと思いますが、駅を出るやいなや名前を聞かれて乗車する流れになったので、「わんタク」の撮影は出来ませんでしたw
乗車すると他に何名か乗客がおり、運転席にはスマホとタブレットが据え付けられており、予約状況が画面に表示されており、それに基づいて客扱いをしていくようです。
当然のようにアナウンスはありませんが、そもそもが予約制であり、降車場所もスマホやタブレットで確認できるので問題ないんでしょう。
本来であれば乗車時に運賃を支払う流れであり、運転士さんが持っている端末を使ってキャッシュレス決済も可能です。
私のように「キュンパス」などJRの乗車券で利用する場合は提示するのが本当ですが、予約時に「キュンパス」を利用する旨を伝えていたためか、乗車時に「キュンパス」ですね?と確認されただけで、提示は求められませんでしたw
あと、車内ではラジオが流れており、公共交通機関というよりは知り合いの車にでも乗せてもらっているような気分ですね。
そんなゆるい感じの交通機関の「わんタク」ですが、従来のデマンド交通の弱点だった住民以外の利用にはハードルが高いという問題も、登録不要でネット予約可能という仕組みで解決しているのはいいですよね。
「フリー便」についてはライドシェアにも近いですし、今後地方の交通システムとして広まっていくでしょうか。
まだ時間があるので少し歩いて海辺に出てみました。
岸壁は高い防波堤となっていて、水際までは行けませんでしたが、陸奥湾が一望できました。
あの船はむつ湾フェリーでして、下北半島の脇野沢まで行くことが出来ます。
あとは帰るのみですが・・・
波乱の帰路
含みのある見出しをつけてしまいましたが、帰路ではまさかのトラブルが・・・
それは追々説明するとして、そろそろ列車の時間も近いということで入場しました。
↑701系がやってきました。
側線には先程乗ってきたGV-E400系がいました。
やっぱり翌日の青森行きの運用まで夜間滞泊なんですかね。
↑貨物列車を先に通したら、我らが普通列車も出発です。
今度は高校生とかち合うこともなく、空いた車内でのんびりと過ごしていたのですが・・・
なんとこの先の駅でポイント不転換が発生し、運転を見合わせるというアナウンスがあったのです。
どうやら復旧に時間がかかる見込みとのことで、乗務員が車内を巡回し、この先の乗り継ぎの有無などを確認していきました。
どうやらほとんどが「キュンパス」組で、私同様に東北新幹線で帰る人が多いみたいです。
しばらくして、タクシーを手配して新青森駅まで送ってくれるということで話が進みますが、問題は乗客全員が乗れるだけの台数のタクシーをすぐには手配できないということであり、東北新幹線の乗り継ぎ列車に間に合うかは不透明とのこと。
私が予約していたのは最終列車の1本前だったので、予定の列車に乗れなくてももう1本猶予があることになりますが、「キュンパス」の影響もあってその最終列車は満席になっていました。
仮に事情を汲んで最終列車への乗車を認めてくれたとしても最悪立ち席という可能性もありますし、これは困ったことに・・・
とはいえ、我々に出来るのは待つことだけなので、気分転換も兼ねてホームへ降りてみました。
せっかくならば駅前に出たりもしてみようかとも思いましたが、ポイント不転換だと突然復旧して運転再開という可能性もあるので、列車から離れるのはリスクが高いと判断して、これだけ撮ったら車内に戻りました。
結局30分近く足止めされましたが、タクシーの手配が済むより先にポイント不転換が復旧したようで運転再開となりました。
元々青森駅では接続が悪くて1時間弱の待ち時間がありましたから、これなら予定通りの列車で帰れそうで一安心です。
というわけでなんとか青森駅に戻ってきました。
が・・・ここで1つの問題が・・・それは夕飯です。
元々青森駅で乗り換えの時間を使って食べるつもりだったんですが、遅延のせいで青森駅の滞在時間が短くなってしまい、20分ほどしか時間がなくなりました。
ホーム上に立ち食い蕎麦屋でもあればこれくらいの時間でも食事は可能でしょうが、青森駅のホームには駅そばの類はありませんし、駅を出なければならないと考えると20分で店まで往復し、食事を済ませるのは厳しい・・・
調べてみると予定していた乗り換え列車の1本あとの列車でも新幹線には間に合うことが分かったので、最終的には30分ちょっとの時間が確保できることが分かりましたが、それでも夕飯を食べるにはギリギリの滞在時間です。
しかし、青森駅で食べないとなると、この先で食べる機会がなく、駅弁も時間的にもう売っていなさそう・・・
大急ぎで食べるか、最悪東京駅まで飯抜きで我慢するかの二択となったわけですが、結局空腹に負けて食べに出ることにしました。
目指したのは青森名物の煮干しラーメンのお店「長尾中華そば」であり、駅からは徒歩5分程度といったところです。
ラーメンだったらそんなに待たされないだろうし、ササッと食べて出ればなんとかなるだろうという考えもありまして、お店にたどり着きました。
店の前に行列もなく、これは食べても大丈夫だろうと入店すると「満席なのでお待ち下さい」と言われてしまいました。
食券制であり既に食券を買ってしまったこともあって、今更やっぱり食べないという選択はできず、ドギマギしながら待つことになりました。
行列がないということはあと1人退店すれば私が入店できるはずであり、その点はプラス要素ですが、今はその5分か10分程度の待ち時間も惜しいほど時間に追われているのも確か・・・
そんなこんなで私の番になり入店すると数分で出てきました。
本当は最後にご飯と納豆を入れて食べるのが青森流ですが、時間がないので納豆は頼まず麺を急いで啜って申し分程度にご飯で締めて退店しました。
美味しいは美味しいですが、もう少しゆっくり味わって食べたかったなぁと思いつつ駅に戻ります。
ギリギリでしたが予定の列車には間に合いまして、新青森駅に向かいました。
無事に新幹線にも間に合いまして、いよいよ旅もフィナーレですね。
旅の締めに「シンカンセンスゴイカタイアイス」を頂きました。
やっぱり新幹線に乗るならばこれを食べないとですよね。
程よく溶けてきたタイミングで食べました。
最後はハラハラする展開もありましたが、無事に帰れそうで安心したのか、車内ではすっかり脱力して居眠りしたりして東京まで過ごしました。
東京についたらE657系に乗りました。
「キュンパス」で余っていた最後の指定席利用枠を活かして「ときわ」の指定席を取ったのですが、別に私の最寄り駅が常磐線沿いというわけではありません。
では何故かというと、翌日の活動の都合上、常磐線沿線に宿泊する必要がありまして、柏まで行く必要があったのですが、せっかくの「キュンパス」なので特急に乗ることにしたのでした。
ちなみに、乗り換え時間が結構あったので一旦品川駅まで行ってから乗りました。
これも乗り放題の「キュンパス」ならではのルートですねw
というわけで、「キュンパス」での1泊2日の旅はこれで終わりですが、翌日から別の活動をしますので、それはまた別記事で追ってレポートしたいと思います。
つづく