車中泊込みで6泊7日で実施した西日本さよなら乗車旅の6日目です。
なお、1日目・2日目・3日目・4日目・5日目をご覧になっていない方はそちらから先にご覧になることをおすすめします。
本日の行程
6日目となる今日は、昨晩宿泊した高知からスタートして、まずはとさでん交通の路面電車で桟橋通五丁目へ、そこから高知東部交通の路線バスで安芸駅へ、さらに同じく高知東部交通で室戸営業所まで向かったら、隣接する海の駅とろむから阿佐海岸鉄道のDMVに乗車して阿波海南へ抜けて、あとはJR牟岐線で徳島へ、特急「うずしお」で高松へ移動したら、寝台特急「サンライズ瀬戸」で帰路に就きます。
なお、昨日の記事でも説明しましたが、5日目以降の活動はダイヤ改正後の活動となっているため、厳密にはさよなら乗車ではありませんが、活動全体で見ればさよなら乗車が主題となるのでそのようなタイトルとなっています。
まずは桟橋通五丁目へ
旅もここまで長くなるともはや旅をしているのが日常という気さえしてくるわけですが、同時に疲れも感じつつ6日目の朝を迎えました。
最初に乗る高知東部交通の路線バスは桟橋通五丁目が始発で、高知駅は経由しないため一旦とさでん交通の路面電車で移動するところから始まります。
早速ですが、とさでん交通の路面電車です。
旧土佐電気鉄道から現在のとさでん交通に移行した際に導入した新しいコーポレートカラーに基づく塗装となっています。
以前に乗車した時はこの塗装の電車は少数派だったと思いますが、あれから5年を経てだいぶ新塗装が増えたようですね。
とさでん交通でもアンパンマン電車を走らせているんですね。
これには鉄道ファンというわけではないであろう観光客の方も思わずカメラを向けていました。
武市半平太・坂本龍馬・中岡慎太郎の土佐を代表する並み居る偉人が総出で出迎えてくれます。
電車の乗り方を説明する掲示物ですが、船中八策ならぬ電中八策w
この電車に乗って桟橋通五丁目まで行きます。
今度はとさでん交通の塗装ではなくて、土佐電気鉄道時代の塗装でした。
私はこっちの方がしっくり来ますが、新しい塗装も明るくて嫌いじゃないです。
本当ははりまや橋まで行けばバスに乗り換えられるんですが、せっかくなら電車もバスも全区間乗りたいということで終点まで行きます。
「日本三大がっかり観光地」という不名誉な称号もあるはりまや橋です。
観光地としても著名ですが、周囲は交通結節点としても有名で、高知市を発着する路線バスは基本的に全てはりまや橋を経由しています。
はりまや橋交差点では高知駅から桟橋通五丁目への路線と伊野から後免町までの路線が十の字に交差しており、日本国内でも珍しい路面電車の直角交差が見られる場所となっています。
かつては各地で見られたような光景も路面電車の縮小で珍しいものとなりました。
交差点を過ぎると後ろに別の電車がやってきました。
これは後免町方面から来た電車のうち、この先にある桟橋車庫に入庫する電車がはりまや橋で曲がってくるものでして、ちょうどそれだったようです。
桟橋通五丁目に到着です。
名前の通り桟橋がある場所で、すぐ脇に海があるんですが、背の高い防波堤に阻まれて電停から海を望むことは出来ません。
また、ハルウララが活躍したことで知られる高知競馬場も距離的にはそんなに遠くはないですが、時間的に訪れることは出来なさそうです。
まあ、行ったところでもうハルウララは走っていませんがねw
↑動画も撮りました。
バス停を探すがてら、桟橋車庫の前に来てみました。
もちろん中には入れませんが、電車がいっぱいですね。
また、とさでん交通の本社もここにあり、バスの営業所でもあるなど、高知市とその周辺の公共交通機関の拠点とも言える場所です。
とさでん交通のバスがやってきました。
電車と共通の配色の塗装になっていました。
これもとさでん交通のバスですが、旧高知県交通の塗装を残しています。
で、バス停ですが、桟橋車庫の方にありました。
バスの車庫の近くにある方が自然ですし、別に普通の配置ですが、電車の桟橋通五丁目とは異なる場所にあるので、電車とバスを乗り換える場合はちょっと注意が必要ですかね。
時刻表です。
一番左に出ている安芸行きがこれから乗るやつですね。
都会のバスに比べれば本数は少ないですが、区間便を合わせれば普段遣いは出来る本数と言ったところでしょうか。
↑ちょうどバスと電車がそれぞれ車庫に入るシーンに遭遇しました。
バスは普通に右折ですが、電車は配線の都合上、一旦通り過ぎてからスイッチバックして入っていきます。
私が乗るバスがやってきました。
とさでん交通の系列ですが、地域分社化された高知東部交通という会社になります。
そういえば、今回の遠征では初めての路線バスですね。
高知東部交通 桟橋通五丁目→安芸駅
それでは路線バスでまずは安芸駅を目指して旅を始めましょう。
最初に簡単に解説ですが、この路線はほとんどの区間が国道55号となっており、鉄道で言えば土讃線+土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線と並行している路線となっています。
一部列車が高知~安芸・奈半利間を直通していて、列車でもこの区間は結ばれていますが、バスも共存できているのがすごいですよね。
バスの場合は高知駅に乗り入れない代わり、交通結節点であり、繁華街に近いはりまや橋へ直接行けるという利便性もあるので、それがバスが共存できている理由でしょうか。
↑車窓は動画でどうぞ
バスは桟橋通五丁目を出るととさでん交通の路面電車に並行しながらはりまや橋まで行きます。
この区間は車庫からの出庫ついでに営業しているという感じなのか、乗ってくる人はいませんでした。
はりまや橋からは右折して国道55号に入っていきます。
このあたりは真ん中に路面電車の線路があり、それに加えて片側2車線以上が確保された大通りとなっており、国道55号だけでなく高松へ至る国道32号なども重複する区間で、まさしく幹線道路という区間です。
しかし、それも知寄町三丁目までであり、ここで電車は専用軌道となって分かれていきます。
このあたりまでが高知市の中心市街地と言えるようで、ちょこちょこと乗客が乗ってきて10名前後は乗ったでしょうか。
新葛島橋で国分川を渡り南国バイパスが始まります。
路線バスというとバイパスを使わないで旧道を走ることが多いですが、ここについては旧道に当たる現在の国道195号に沿ってとさでん交通の路面電車が通っているため、住み分けのためにあえてバイパス経由にしているんでしょうね。
しばらく走ると景色は田園風景となっていき、このまま国道55号を進むと思わせて、一旦国道32号高知東道路へと左折してしまいます。
途中にあるJA高知病院は構内に乗り入れて通院需要も拾いつつ進みます。
この付近で高知市を出て南国市へと入っていきます。
ちなみに、「なんごくし」と読みたくなりますが、「なんこくし」が正解です。
国道195号&とさでん交通の線路とぶつかると右折して国道195号に入っていきます。
ここは国道55号の旧道にあたる道であり、南国バイパスが開通したことで国道55号の指定を外れましたが、国道195号に指定されたため県道や市道に格下げとはならなかったようです。
余談ですが、この国道195号は国道55号と共に徳島市と高知市を結ぶ国道となっていますが、海沿いに進む国道55号に対して、内陸部を貫くルートを採用しており途中の経路が異なります。
面白いのがこの区間は国道の脇にとさでん交通の線路が敷かれていて、電車が通過する際には国道側にもいくらか干渉しながら走ることになりますが、かといって線路自体は路上にあるわけじゃないので、これが併用軌道なのか専用軌道なのかは判断に悩むところですよね。
後免町駅に到着しますが、その際には線路を横切るシーンもありました。
ちなみに、ここはとさでん交通の終点であり、またごめん・なはり線の乗り換え駅でもありますが、JR土讃線は少し離れた後免駅から出ていてここからは一旦ごめん・なはり線に乗車してから乗り換える必要があります。
バスは後免駅には立ち寄らないので、JRとの連絡は重視していないようですね。
後免町から先もごめん・なはり線に沿って進みますが、国道195号は少し手前の後免西町で分かれていて、今走っているのは県道364号南国野市線であり、旧国道55号ということになります。
2車線道路ではありますが、市街地では歩道すら無くバスにとっては窮屈な道幅ということで、これではバイパスが作られるのも納得という感じです。
しばらく走ると県道は南国バイパスとぶつかりそのまま合流して国道55号に復帰します。
現在でも国道55号に指定されている区間だけあって4車線で整備された立派な道路でした。
ただし、それも香我美駅付近までで、そこからは普通に2車線道路に収束してしまいました。
ここから先はごめん・なはり線と国道55号がぴったりと寄り添うように並走するので、バスの車窓からもごめん・なはり線の高架橋が見えます。
そして、この向こうには太平洋が広がっているはずですが、高架橋に遮られて国道からは見えませんw
景色を楽しむならば高架で見晴らしも良いごめん・なはり線に軍配が上がりますね。
野洲駅・・・じゃなかった夜須駅に到着です。
ここは一旦国道を外れて駅前ロータリーに乗り入れていました。
何やら建設中の高架橋の橋脚と思われるものが出てきましたが、この区間で整備中の高知東部自動車道の延伸部でしょうか?
ようやく国道の方が海側に出て、太平洋を望むことが出来ました。
安芸駅にて
ここからは更にバスを乗り継いで室戸方面へ向かいますが、乗り換え待ちの間に駅のご紹介をしようと思います。
バス乗り場です。
なかなかしっかり整備されていますね。
ここからは高知市や室戸方面の他、馬路・魚梁瀬方面のローカル路線や、安芸市内を結ぶコミュニティバス「元気バス」が出ていて、交通結節点として機能しています。
高知方面の時刻表です。
桟橋車庫行きの他、県庁前行きもあるんですね。
時刻表です。
長大路線が多く路線図がすごいことになっていますが、乗り継げば徳島県内まで抜けることが出来ます。
これはごめん・なはり線として親しまれている阿佐線が本来目指していたルートであり、実現していれば鉄道で高知~室戸~徳島と移動することが出来ていました。
結局奈半利~甲浦間は鉄道で結ばれること無く終わり未成線となりましたが、その区間の役割は路線バスが担っているわけですね。
こちらが駅舎です。
なかなか立派ですが、ごめん・なはり線の運行本部などもあって重要な駅であるようです。
駅名部分ですが、「ぢばさん市場」という施設も併設していて、道の駅みたいに地域の特産品などを売っていたりするようです。
このキャラクターは「あき うたこちゃん」というそうで、安芸市出身の作曲家の弘田龍太郎氏にちなんで音楽をモチーフにデザインされたんだとか。
今回は列車には乗りませんが改札口です。
流石に自動改札はありませんが、第三セクターの駅ながらみどりの窓口が設置されていて終日駅員が配置されているなど、地方の駅としては十分すぎる体制となっています。
また、発車標もかなり本格的なものが設置されていますね。
童謡「靴が鳴る」の石碑がありましたが、これは作曲をしたのが先程も名前が出た安芸市出身の弘田龍太郎氏だからという縁によるもののようです。
子どもたちとワンちゃん(?)のこの像は「靴が鳴る」の世界観を表現したものとかでしょうか?
駅構内にあった売店で買ったこちらは「ごっくん馬路村」という地場産のジュースです。
安芸市の少し北にある馬路村特産のゆずを使ったジュースでして、さわやかな酸味を楽しめて美味しかったです。
別に高知県内限定ということはなく、全国的に販売されているみたいなので、見かけることがあったら試してみてはいかがでしょうか?
↑通販もあるみたいです。
それではそろそろ次のバスの時間です。
高知東部交通 安芸駅→室戸営業所
続いて乗車するのは先程と同じく高知東部交通ですが、今度は室戸行きです。
始発は安芸駅ではなくて安芸営業所ですし、終点も室戸営業所ではなくて室戸世界ジオパークセンターというところですが、今回はあくまで阿佐海岸鉄道のDMVに乗り継ぐための足として利用した感じなので全区間乗車はしません。
やってきたのはなんとポンチョw
全区間乗ると2時間近くなるロングラン路線なんですがねw
まあ、地域の実情に合わせた運行ということなんでしょう。
今回は全区間乗らないこともあって車窓の動画は撮りませんでしたが、代わりに適宜写真でご紹介していきたいと思います。
バスは安芸駅を出ると国道55号に入り先程の続きであるかのように走り始めますが、車窓に現れたこの構造物が気になりました。
これは津波避難タワーというやつで、大津波が街を襲った時に住民が避難するための場所というわけです。
都市部だったら高層ビルやマンションなどが避難場所になるでしょうが、田舎だとそういう建物もないし、山などの高台へ逃げるには時間的に厳しいということでこういうものを作って備えているわけですね。
使う機会が訪れないのがベストですが、高知県を始めとした西日本の太平洋側の地域は、南海トラフ巨大地震のリスクを抱えていますから、備えは大事ですね。
引き続き海が見えました。
今回の旅では日本海や瀬戸内海など、たくさんの海を見てきましたが、太平洋はやっぱり壮大な感じがしますね。
こちらは「道の駅田野駅屋」という施設ですが、実はごめん・なはり線の田野駅に併設されています。
鉄道駅と道の駅の合体というのは地方では広がりつつありますが、そのために車がたくさん止まっているんですね。
ちなみに、「田野駅屋」という名前は、「田野へ来ぃや!」という言葉と掛けられているんだとか。
奈半利川を渡ります。
ごめん・なはり線の方は特徴的なトラス橋で渡っています。
奈半利駅に到着です。
ここが鉄道での終点になり、ここから先はバスでしか行くことが出来ません。
高知方面から鉄道でやって来る人は安芸駅ではなくてここで乗り換えることが多いようで、ここからは何名か乗ってきました。
観光地としても名高い室戸岬なども通りますから観光客が大勢乗ってくるかと思ったらほとんどが地元の人のようでした。
観光客はマイカーやレンタカーで移動するのが主流なんですかね。
ここにも津波避難タワーがありました。
高知県内の自治体は総じて津波に対する防災意識が高いんですかね。
正確な場所は分かりませんが、なんと車掌車が!?
このあたりは前述の通り鉄道が通っていない区間ですし、過去にも存在したことはないはずなので、鉄道の遺物というよりは、ファンの方がコレクションとして購入したか、倉庫代わりに買って使っているとかでしょうか。
だいぶ傷みがひどそうなので、ファンが買ったんだとしたら買ったはいいが塗装とかの費用が工面できなくて・・・という残念なパターンでしょうかね。
奈半利の市街を過ぎるといよいよ山が海岸ギリギリまで迫るようになり、国道も海辺に追いやられますが、車窓という観点から言えばより海に近づくことになり、つまりは綺麗な景色が楽しめます。
このあたりが境目となり、奈半利町から室戸市へと入っていきます。
鯨館という施設が出てきました。
ここは道の駅になっていて、捕鯨の歴史を紹介する施設やくじら料理も楽しめるらしく、車旅だったら立ち寄りたいスポットだと思いましたが、今回はバス旅ということで素通りしますw
このあたりにもバス停があるので、途中下車することも出来ますが、この後の行程のこともありますからね。
波消しブロックが並べられた光景が出てくると、「元」という集落です。
バス停名もそのまま「元」ですが、1文字の地名自体珍しいですよね。
交通安全の看板にもお遍路さんのイラストがw
流石は四国ですよね。
個人的にはお遍路というと「水曜どうでしょう」をイメージしてしまいますがw
と思っていたら本物のお遍路さんの姿を見ることが出来ました。
現代のお遍路は車やバイクを使う人が多いようですが、この人は歩きで頑張っているようですね。
バスはどんどん進んでしまうので”お接待”も出来ませんが、どうか無事に結願出来ますように!
バスは海沿いを進んでいると開けた場所に出まして、このあたりが室戸市役所もある中心市街地になるようです。
室戸市って色んな自治体が合併してできた巨大な市なので、逆にどこが中心部なのか分かりづらいですが、市役所があるってことはこのあたりが中心と考えていいでしょう。
その市街地を走りつつ、国道を外れて旧道に入ると降車地点となる室戸営業所が出てきます。
室戸営業所に到着!
まるで民家のような佇まいですが、バスも停まっていますしここが営業所なんでしょうw
時刻表は流石に改正ごとに張り替えられるためか綺麗でしたけどね。
意外にも最初に乗った桟橋通五丁目~安芸駅間の路線より本数がありそうですが、鉄道と並行しない分、本数が多いんでしょうね。
あと、「こちらのバスは、道路向かい側でお待ち下さい」とありますが、どうやら上下でポールを共用にしているようですw
田舎であまり利用者がいないようなバス停だとそういうパターンもありますが、ここって営業所だよね?w
↑発車するところは動画で
なかなかの狭隘区間なので、ポンチョとは言え走行シーンも見応えがありますよ。
これから向かう海の駅とろむの案内も出ていました。
実は営業所がある場所と海の駅とろむは若干離れているんですが、路線バスでアクセスするならここで乗り換えるしかないので、案内しているのでしょう。
それにしてもバス営業所の前の道路だとは思えない狭さだなぁw
線形からして国道55号の旧道なんでしょうが、昔は通過するだけの車両もこの狭い道路をひしめくように通行していた時代があったんですね。
それではここからは徒歩で海の駅とろむへ移動します。
私の他に1名降りた人がいて、私と同じく海の駅とろむの方へ歩いていたので、DMVに乗り継ぐ人なんでしょうね。
国道に出るとちゃんとした案内板が出てきました。
それにしても、道の駅じゃなくて海の駅ですし、”むろと”かと思ったら”とろむ”なんて、紛らわしい名前ですよね。
また、これとは別に「道の駅キラメッセ室戸」(さっき紹介した鯨館があるところ)というのも存在していて更に紛らわしいですw
逆にこれと区別するために「むろと」じゃなくて逆読みして「とろむ」にしたとかでしょうか?
名前からしてマリンレジャーの一大拠点みたいな場所をイメージしていたのですが、実際には漁港という雰囲気ですね。
実はつい1年前までは、道の駅みたいにレストランがあったり海産物の直売所があったりと賑やかな場所だったようですが、コロナで観光客が来なくなったことで経営が立ち行かなくなったようで、去年廃業してしまったそうです。
阿佐海岸鉄道のDMV乗り入れを待たずに廃業してしまい、阿佐海岸鉄道としては観光需要を見込んで乗り入れを決めただろうに、開業前に廃業じゃ梯子を外されたようなものでしょうが、こればっかりは仕方ないですよね。
私もレストランがやっていたらここでお昼ごはんを・・・と思っていたんですが事前の下調べで廃業していることを確認していたため事前にコンビニでパンを買い込んでおきました。
なお、隣接して「室戸ドルフィンセンター」というイルカと触れ合える施設があったり、時々キッチンカーがやってきたりはしているみたいなので、全く見どころがないわけではないようです。
と言った感じで海の駅とろむまでやってきましたので、ここからはDMVのご紹介へと移っていくとしましょう。
阿佐海岸鉄道DMVに乗る
というわけで、ここからは本日のメインとなるDMVです。
まず最初にDMVという乗り物についての解説ですが、DMVとは”Dual Mode Vehicle”の略であり、簡単に言ってしまえば列車にもバスにもなる乗り物です。
レールのある区間では列車として高速・定時の運行を、レールがない区間はバスとして柔軟な運行をでき、鉄道駅から離れた場所へも直通サービスが提供できたり、マイクロバスをベースとすることから一般の鉄道車両よりも低コストであることなどから、ローカル線での運用を目指してJR北海道が開発したものとなっています。
このように鉄道とバスのいいとこ取りをしたような夢の乗り物とも言えるDMVですが、マイクロバスをベースとしたために車体が軽すぎて一般の軌道回路を用いた保安システムに対応できない点や、豪雪地帯では雪に乗り上げて脱線してしまったり、マイクロバスの輸送力しかないため、ローカル線向けとしても輸送力が小さすぎるという問題もあり、更にはJR北海道で度重なる事故やトラブルといった不祥事が続き経営不振が顕著となったこともあり、当のJR北海道では実用化までは至らず、その代わり導入を希望する他社に対しては技術的な情報を提供するというスタンスになりました。
その後、いくつかの鉄道事業者や自治体が導入を検討することとなり、その中でも明知鉄道や富士市では実際にJR北海道から車両を借り受けての試運転までしましたが、いずれも実用化までは至りませんでした。
そんな中で、阿佐海岸鉄道では日本初・・・いや、世界初のDMVの実用化に漕ぎ着けたというわけですね。
ちなみに、JR北海道の試験車両は苗穂の「北海道鉄道技術館」にて実物を見たことがあります。
阿佐海岸鉄道は元々海部と甲浦というわずか2駅間だけを結ぶローカル鉄道で、国鉄の未成線を引き継いで開業したものの、開業以来一度も黒字を計上したことがなく、廃止の話も浮上していたくらいでしたが、DMVの導入で起死回生を図ろうということのようです。
ところで、前述のような欠点をどう克服したかという話ですが、まず保安システムとの兼ね合いは、阿佐海岸鉄道ではDMVの導入に合わせて一般の鉄道車両の運用を終了し、DMVに一本化したため、保安システムもDMVに合わせたものに変更されました。
また、雪に乗り上げてしまう問題はそもそも阿佐海岸鉄道が走る四国ではそこまでの積雪はまずないことからそもそも問題にならないし、輸送力が小さすぎる問題も、元々阿佐海岸鉄道では著しく利用者が少なかったので問題にならなかったのでしょう。
そして、運行形態ですが、DMV導入に合わせてJR四国の牟岐線のうち甲浦~阿波海南間を阿佐海岸鉄道に編入した上で、鉄道としての営業区間は阿波海南~甲浦間として、阿波海南での折り返しは駅から少し進んだところにある阿波海南文化村まで、甲浦側は基本は道の駅宍喰温泉までをバスとして運行します。
ただし、土休日のみ1往復が海の駅とろむまで延長されます。
なので、基本は阿波海南文化村~道の駅宍喰温泉間での運行ですが、土休日の1往復のみ阿波海南文化村~海の駅とろむ間での運行ということになります。
乗車定員が少ないこともあり、DMVでは予約も受け付けており、高速バス予約サイトの「発車オーライネット」からの予約が可能ですが、当日でも空席があれば乗車可能です。
また、JR四国・土佐くろしお鉄道・高知東部交通などが乗り放題となる「四国みぎした55フリーきっぷ」でも利用できますが、土休日のみの海の駅とろむ発着便は利用不可となっているので要注意です。
こちらがDMVの乗り場です。
これでもかと幟が立っているので分かりやすいですねw
しかし、建物には「高速バスターミナル」と書いてあります。
え?DMVって高速バスなの?という疑問も浮かびますが、DMVはバスモードで走る区間も全て一般道経由ですから高速バスではありません。
では、なぜ高速バスターミナルなのかというと、元々ここは大阪と室戸を結ぶ高速バスの停留所であり、阿佐海岸鉄道のDMVはそこを間借りした形みたいですね。
時刻表がありました。
運行は1日1往復であり、ダイヤ的には大阪から室戸方面への利用に主眼を置いたような設定ですが、日帰りだと滞在時間が1時間も無くなってしまうので泊まりが前提になりますねw
所要時間からしたら夜行便があってもよさそうですが、そこまでの需要はないということでしょうかw
もちろんDMVの時刻表もあります。
このようにDMVも1日1往復だけですが、高知東部交通の路線バスがこれとは別に甲浦方面へ出ていますから、DMVがない時間帯はそちらを使えば大丈夫です。
まだ時間があるのでどこかで待機しているであろうDMVを見に行こうと歩いていくと・・・
↑しかし、すぐ動き始めたのでとりあえず動画を撮りました。
ボンネットバスっぽい見た目が特徴的ですが、道路を走っている限りはバスにしか見えませんね。
まだ発車まで10分はあるはずですが、早くも乗り場に着けていました。
予約制であることから予約番号を確認するなどの作業がある分、早めに着けるようにしているんですかね。
他の乗客たちも集まり始めて撮影会が始まりました。
早めに着けるのは撮影時間を確保するためのファンサービスという意味合いもあるのかもしれませんね。
レールを走るための鉄の車輪も装備していますが、バスモードでは格納されています。
なお、鉄の車輪は列車モード時に線路にそって走るためのガイドという役割のみを担っており、列車モードでも後輪のゴムタイヤをレールに押し当てて駆動する構造のため、鉄輪には動力はありません。
公道を走るということで、当然ナンバープレートも付いています。
ベースはトヨタ自動車製の「コースター」であり、鉄道車両としては「DMV93形」という形式名もついており、ディーゼルエンジンで動くわけですからあえて分類するならば気動車ということになりますね。
公式側から
DMVという最先端の乗り物ながら、ちょっとレトロなボンネットスタイルですが、恐らくは鉄輪やその格納・展開をする装置を組み込むスペースを捻出するためにボンネットスタイルとせざるを得なかったんでしょうね。
マイクロバスがベースということで、いわゆるノンステップバスとはなっていませんが、ドアが開いているときにはステップが出てくるようです。
運転士さんの計らいで後ろのカバーを開けて見せてくれました!
大型バスだとこの部分はエンジンルームですが、マイクロバスは通常運転席の真下あたりにエンジンルームがあって、この部分は荷物スペースとなっていることが多いです。
しかし、DMVではこの部分は鉄輪を格納するスペースに使っているみたいですね。
あとは夜行バスみたいに運転士さんに氏名や予約番号を伝えてから乗車します。
私も「発車オーライネット」って事前予約していたので、運賃も事前決済済みであり、現地ではこれだけで乗車できます。
それでは乗り込みましょう。
車内は完全にマイクロバスそのものですねw
扱いとしてはワンマンバスということで整理券発行機がありました。
運転士さんが来る前に運転席も撮らせてもらいました。
基本は自動車の運転席ですが、列車モードとバスモードを切り替えるための装置の存在がただのバスとの違いを出していますね。
ただ、路線バスならば必ずと言っていいほど存在する両替機は設置されておらず、もし現金払いで乗車する人がいて、ちょうどの金額を用意できない場合は運転士さんが持っている釣り銭を使って対応するみたいです。
ほとんどが事前予約での乗車という前提なんでしょうが、なんというか思い切りましたねw
次の停車駅を表示するディスプレイですが、完全にバス用の機器を使っていますね。
非常時にはこのハンマーで窓ガラスを割って脱出せよということのようです。
大型・中型の路線バスだと脱出用の非常扉が着いているものですが、マイクロバスにはないのでその代わりということですかね。
路線バスでもあるので降車ボタンもあります。
ただ、実際にはそんなにバス停が多くはないこともあってか、押されようが押されまいがとりあえず停車していたように思います。
あと、懐中電灯みたいなのもありますが、これも保安設備の一環なんですかね。
火災報知器もついていましたが、まさかの市販品w
そういえば、まだ普通の車両を使っていた頃の阿佐海岸鉄道にも乗ったことがありますが、車内放送装置の代わりにポータブルCDプレイヤーを使っていたくらいですし、市販品で済むものはどんどん使おうっていう方針なのかもしれませんw
ところで、座席ですが収容力重視なのかシートピッチはLCCも真っ青という程に狭く、私なんか前の座席と膝が密着するほどでした。
しかも、網棚もないため、荷物の置き場にも難儀します。
今回は長期遠征ゆえに荷物が多かったのもありますが、たまたま隣の席には誰も座らなかったので事なきを得たものの、隣にも誰か来ていたら自分の荷物に埋もれながら乗車しないといけなくなっていたかもw
といったところでそろそろ発車です。
↑車窓は動画でどうぞ
停止中の車外への案内放送でも、「このバスは~」でもなく「この列車は~」でもなく、「このDMVは阿波海南文化村行きです」と案内するあたりにこだわりを感じました。
車内では撮影する人、走行音を録音する人と色んな人がいましたが、走行音や乗り心地は完全にマイクロバスのそれでしたねw
バスは国道55号に出ると海沿いに進み、やがて室戸岬に到着します。
室戸岬は高知東部交通のバス停と同じ場所が停留所となっているようで、ここから乗ってくる人もいました。
室戸岬はなんだかんだ言っても観光地ですし、ここを見てからDMVに乗ろうという人もいるのでしょうね。
ただ、一般の路線バスと同じ場所に停車するせいで、路線バスと間違えて乗ろうとする人もいました。
この室戸海洋深層水という会社は塩を作っている会社だそうですよ。
これだけ海が近いのだから海水を使った産業があるのも納得ですね。
続いてDMVは室戸世界ジオパークセンターに到着します。
ここも高知東部交通のバスと共用の停留所に停車するのですが、ここは観光の拠点でもあるらしく観光客風の人が「コウウラに行きますか」とか運転士さんに尋ねていましたが、多分甲浦(かんのうら)のことですねw
まあ、初見で読むのは難しいでしょうし仕方ないかw
結局その人は飛び入りで乗車していましたが、案外空席があるんですね。
予約の時は残り数席しかないような表示だったので、当日はもう満席じゃないかと思っていたんですが、意外と埋まらなかったかキャンセルが出たか、それとも当日用の席も用意してあるかのどれかでしょうか。
国道も津波対策をしているらしく、津波浸水想定区間を標識で明示していました。
もし通行中に津波注意報や警報が出たら、少なくともこの区間の外に逃げなければいけないということですね。
その先はむろと廃校水族館という停留所に停車します。
名前の通り、廃校になった小学校を改修した水族館でして、室戸の観光名所の1つになっているようです。
ここにも一般の路線バスも停車しており、DMVのバス区間はほとんど一般の路線バスと並行して走っているわけですが、DMVはあくまでも観光用という位置づけなのか、停車するのは観光利用が見込めるであろうバス停に絞っていて、事実上の急行バスという感じでしたね。
バス区間については阿佐海岸鉄道による乗合バス事業として届出をしており、法律上は路線バスと変わらないのですが、元々他社が路線バスを走らせていた区間に新たに参入する形になったため、既存のバスの需要を必要以上に奪ってしまわないようにこのような形にしたのでしょうか。
続いては海の駅東洋町です。
ここからは通常DMVが運行する区間となり、海の駅とろむ発着以外のDMVと一般路線バスの乗り継ぎ地点ともなっているようです。
甲浦地区が近づくと島も見えました。
流石に無人島のようですが、赤葉島という名前があるようですよ。
バスは一旦甲浦駅へ向かう道を過ぎて国道55号を直進します。
実は海の駅東洋町は甲浦駅への経路から見ると少し遠回りした場所にあるんですね。
こちらが海の駅東洋町のようです。
始発の海の駅とろむに比べると食堂や直売所なども営業していて活気があります。
ここが乗り場のようですが、「DMVバス専用」という表記が面白いです。
DMVが来ることを強調したくて、単に「バス専用」とはしなかったとしても、それなら「DMV専用」でよかったのでは?w
ここでも飛び入り乗車が数名いました。
そして、続いてはいよいよ鉄道区間が始まる甲浦駅です。
DMV導入以前は阿佐海岸鉄道の終点でもあった場所ですが、今はDMVがバスモードと列車モードを切り替える地点となっています。
少しだけ国道55号を引き返して甲浦集落に入っていくと甲浦駅が見えてきます。
あの高速道路のインターチェンジのようなランプウェイが駅へ登っていくためのスロープです。
元々甲浦駅は高架駅だったのでこのようなスロープを設置する必要があったんでしょうが、DMV導入に際して一番お金をかけたのがここだったりしてw
なお、甲浦での乗降は地上にある道路部分で行うため、厳密に言えばここは「甲浦駅」というバス停であり、まだ駅ではありません。
ここにもDMVを全面に押し出した観光PRがありました。
もはやDMV自体が1つの観光資源ですね。
スロープを上り、元々の駅だった部分の手前でDMVは一旦停車します。
いよいよここから列車に変身するわけですね。
ところで、流石にホームへは立ち入れないようですが、その手前までは入れるようで、DMVのモードチェンジを見学・撮影するためのスペースとして開放しているみたいですね。
DMVは観光資源とみなされているのもあるでしょうが、こうして公式に撮影スペースを提供することで混乱やトラブルを防げるというのもあるでしょうし、これはいい取り組みだと思います。
阿佐海岸鉄道としてもこの瞬間が最大の見せ場と認識しているようで、自動放送のアナウンスでもモードチェンジをすることを告げていましたが、モードチェンジ中は祭囃子のようなBGMが流れていました。
徳島にも乗り入れる路線ですし阿波踊りのイメージでしょうかw
↑モードチェンジの付近から再生が始まるように設定しました。
モードチェンジが終わると運転士さんが一旦下車して全ての車輪がちゃんとレールに乗ったかの確認をしてから発車です。
車内からだと鉄輪がレールに接触した瞬間に多少の衝撃を感じるくらいで、いまいちモードチェンジしたのかどうかは分かりませんが、動き出すとレールを走っていることを実感することが出来ます。
レールを転がるとき特有の「ガー」という音とともに、ジョイント音も聞こえてくるのにエンジン音とかはマイクロバスという不思議な感じです。
また、鉄輪は前後に1軸ずつなので、現代の鉄道車両の主流である2軸ボギー車のように、「ガタンゴトン」ではなく、「ガッタン」という感じのジョイント音なのも昔の2軸車みたいで楽しいです。
これも動画で聴けますので是非再生してみて下さい。
乗り心地もレールの上を走る滑らかなものに変わりました。
駅名標も健在です。
ただし、ここでは乗降ができず、「甲浦駅」と称して乗降を行っている場所は実際にはバス停なので、現在は甲浦駅ではなく甲浦信号場という扱いになっているようです。
なので、厳密に言えば廃駅ということになりますね。
鉄道としては終点なのに駅じゃないというのも不思議な感じです。
ここからは普通の気動車の頃にも乗りに来ていて見たことがある景色ですが、高架橋を多用した路線なので国道からの景色よりも見晴らしがいいですね。
この宍喰駅は阿佐海岸鉄道の本社があり、輸送指令所や車両基地もあるなど阿佐海岸鉄道の拠点となる駅です。
また、近くには道の駅宍喰温泉もあり、実はこの道の駅宍喰温泉はDMVのバス区間も含めた場合の終点ですから、宍喰駅~道の駅宍喰温泉間はDMVに乗って移動すると一旦甲浦まで行って引き換えしてくるわけですからかなり遠回りをしていますよねw
まあ、実用的な移動手段と考えるなら宍喰駅で降りて徒歩で行けばいいわけで、終点まで行くのは乗り鉄or乗りバス目的ってことでw
続いて海部駅です。
元々は阿佐海岸鉄道とJR牟岐線の境界となる駅でしたが、DMV導入に合わせて牟岐線のうち海部~阿波海南間の1区間を阿佐海岸鉄道に移管の上でDMVの運行区間に組み込まれたため、今では単なる途中駅ということになっています。
正直国道をそのまま走っても所要時間的には差がない説もありますが、やっぱり見晴らしの良さは鉄道区間ですね。
海部駅に到着です。
鉄道駅としてのホームも健在ですが、DMVは一般の列車よりも車高が低いため専用の低いホームを新設しているようです。
また、面白いのがGoogle Mapでは海部駅は鉄道駅ではなくバス停として載っているんですよねw
DMV導入前に活躍していた気動車がいましたが、公式サイトによると将来観光資源として活用すべく保存しているんだとか。
単純に展示するだけにするのか、車内を改装してイベントスペースにでもするのか分かりませんが、こうしてお払い箱になった後でも解体しないでおいてくれるのはファンとしては嬉しいですね。
今度は列車からバスにモードチェンジするわけですが、阿波海南駅も道路上に乗降場所があるみたいで、モードチェンジ終了後に乗降扱いをします。
このように線路が唐突に道路に変わる光景はDMVならではですね。
阿波海南駅ではJRに乗り継ぐ人などがぞろぞろ降りていきましたが、私みたいに全区間乗車したい人も少なくないのか、終点まで乗る人もちらほらといました。
再びバスに変身すると最後に1区間だけ走って終点の阿波海南文化村となります。
阿波海南文化村は阿波海南駅からも近く、DMVだと数分で到着します。
たったの数分ならわざわざモードチェンジしてまで乗り入れる必要がないような気もしますが、これはDMVが片運転台であり、列車モードのまま向きを変えるならばSLみたいに転車台に乗せるか、線路自体をループ線状にするかのいずれかの対応が必要ですが、ループ線を作るとなると広大な土地が必要ですし、転車台はお金がかかるということで一旦バスになって適当な場所でUターンしてきた方が安上がりということなんでしょうw
そして、近くに阿波海南文化村があったので、そこを起終点とすることにしたと。
まあ、起終点とするならば待機できるスペースとかも必要になりますから、既存の公共施設を活用するのはいいアイデアではありますよね。
阿波海南文化村に到着!
降車時は予約して乗車の人はチケットを提示してから降りますが、私の場合は電子チケットだったのでスマホの画面を見せる形になりました。
まあ、こういうやり方の方が予約から発券までネット上で完結できて楽ではありますよね。
ただ、ファン目線としてはやっぱり手元に残るチケットがあった方が嬉しい気もしますが・・・w
このままここで折り返し運行まで待機かと思ったら乗客を降ろすとさっさとどこかへ走り去ってしまいました。
この先に待機場所があるんですかね。
こちらが阿波海南文化村です。
海部刀や地元の古墳から出土した遺物などを解説・展示しているそうですが、今回はこの後やることもあるのでまたの機会に・・・
この後はJRに乗り継ぐべく、徒歩で阿波海南駅に引き返すのですが、その途中で後続のDMVが走るところを撮れそうなので良さげな場所を探してスタンバイします。
↑というわけで走行シーンです。
車体の色が先程と違いますが、阿佐海岸鉄道では3台あるDMVをそれぞれ異なる色で塗装しています。
阿波海南でモードチェンジを撮る!
このあとは徒歩で阿波海南駅へ向かうのですが、阿波海南駅では乗り換えを待つ間にDMVが通るのでモードチェンジの様子を今度は車外視点で見学したいと思います。
ここは昔からの駅舎なのか分かりませんが、立派な待合室がありました。
ちょっとだけ内部もご紹介
木をふんだんに使った空間になっていました。
大きな木の幹ですねぇ~。
この他にDMV関連の掲示物などもありましたが、時間がないので割愛w
乗り場です。
上下のDMVが同時に発着できるようになっており、鉄道駅風に言えば相対式2面2線の交換可能駅という感じですね。
ところで、マイクロバスの小回りならこの敷地でもUターン出来そうな気もw
まあ、地元としてはDMV効果で阿波海南文化村をプッシュしたいと言うのもあるんでしょうね
ここがモードチェンジを行う場所です。
自動車用のタイヤのまま乗り入れられるように、踏切部分や併用軌道みたいにコンクリートの路面が打設されていて、線路に完璧に合わせるために左右にはガイドとなる縁石が設けられています。
鉄道模型のリレーラーの大きい版と言ったところでしょうか。
ここから先は鉄道なので標識も鉄道のものですね。
なお、ここも甲浦駅と同様に阿佐海岸鉄道の施設としては「阿波海南信号場」であり、客扱いを行う部分はあくまでバス停扱いのようです。
↑そして、いよいよDMVがやってきました。
モードチェンジは動画でどうぞ
水色なので先程路上で撮ったやつですね。
さて、実はこの時間帯はDMVが連続でやってくるという撮影にとってはありがたい時間帯であり、もう1本撮ってから撤収します。
2本目のDMVです。
緑なので、海の駅とろむから乗ってきたやつですね。
↑もちろん動画もあります。
リレーラーに乗りました。
ところで、このときゴムが擦れる音がするんですが、タイヤの側面がリレーラーに擦れているんでしょうね。
これをモードチェンジの度にやるわけですから、タイヤへのダメージが心配になりますが、その辺はどうなんでしょうかね。
鉄輪が下がって列車へモードチェンジ!
前輪は完全に浮かせるため、列車モードでは若干上向きの姿勢になるんですね。
これは後輪を駆動輪とするため、荷重を後輪に集中させるためでしょうか。
車輪の部分をアップで
やっぱり前から撮ったほうが鉄輪が分かりやすくていいですね。
発車後の後ろ姿です。
見た目バスなのに線路を走っている光景が面白いです。
と、これくらいでDMV編は終わりで、あとは東京への長い長い帰路となります。
まずは徳島へ
ここからはひたすら帰路ですが、まずはJR牟岐線で徳島を目指すところから始まります。
JRとしては終着駅ですが、1面1線というシンプルな構造です。
ベンチはやたらと長いですが、DMVからの乗り継ぎ客を考慮して増設したとかですかね。
駅名標です。
阿佐海岸鉄道の区間は無視されて終着駅として片側のみ隣の駅を表示しています。
終端部です。
阿佐海岸鉄道に移管された区間も元々はJR線だったわけですから、当然元々は線路は繋がっていましたが、DMV導入と阿佐海岸鉄道への移管に合わせて線路が分断されました。
でも、線形を見ると元々は繋がっていたことが分かりますね。
それにしても、DMVにするからといっても何も分断することはなかったのではないかという気もしますが、公式サイトによるとDMVを運行するにあたり一般の列車と混在させないことが条件とされたらしいので、分断しないと運行の認可が下りなかったのかもしれませんね。
ところで、なぜ元々の阿佐海岸鉄道とJRの境界だった海部ではなくて、わざわざ移管してまで阿波海南を境界にしたかという話ですが、これも想像ですが、海部駅は高架駅であり、ここで道路にモードチェンジするとすると、甲浦駅にあるようなスロープを建設する必要がありますし、前述の通りDMVは片運転台のため線路上での方向転換には転車台かループ線が必要であり、それを高架線路上に設置するのは難しいなど、DMVの終点にするには不利な条件だったのに対して、阿波海南駅は地上駅であり、道路へのスロープを作るのも安く作れるでしょうし、JRだった1区間を引き受けてでも海部にスロープを作るより安上がりだったんでしょうね。
JR四国としても牟岐線の末端部ははっきり言って不採算路線でしょうから引き取ってくれるなら喜んで!といったところですかねw
最後に統括的にDMVについて書くと、今は物珍しさで集客できているかもしれませんが、時間が経てば段々と物珍しさも薄れてくるでしょう。
そうなるとやはり実用的な移動手段としての利便性を追求していく必要も出てくるでしょうし、DMVのメリットをより活かせるルート設定というのも模索していってほしいと思います。
前述の保安システムの問題から一般の列車と混在が出来ないのがネックですが、将来的にこれが技術的に克服されてくれば、JR線へも直通して、このあたりでは比較的大きな街であろう牟岐や阿南などへ直通できるとより価値が出てくると思います。
鉄道ファンとしてのロマンも込みで言わせてもらえば、高知~奈半利間にも直通して、高知~奈半利~室戸岬~甲浦~徳島とかで運行できれば都市間輸送でも活躍できそうです。
何はともあれ、こうしてDMVの営業運転の実績ができたことで他地域にも広がっていって、ローカル線の活性化に繋がるといいですね。
それではあとは牟岐線で徳島へ移動です。
特急「むろと」は今や徳島~牟岐間に1往復だけという有様になってしまったので、各駅停車でのんびりと移動になりますが、直通してくれるので助かります。
↑まだ明るさが残っていますし、SDの残量にも余裕があったので車窓を撮りました。
道中は特に書くこともないのでスキップw
正直、もうあとは移動ばっかりだと思うと気が抜けてほぼ寝てましたw
徳島にて
徳島では夕飯を食べつつ色々撮ったのでご紹介しておきましょう。
キハ40系がいました!
相変わらず朝夕のラッシュ時間帯を中心に活躍しているようですね。
↑2700系「うずしお」が入線してきました。
↑キハ40系の発車を撮りました。
夕食のため一旦外へ出ますがこんなものがありました。
なんと雛人形が飾られていたのですが、もう雛祭りは終わったはずでは・・・?w
と思ったら「さかもとおひな巡り」というイベントのPRだったらしく、この日も開催されていたようです。
駅前に出ました。
京阪バスが停まっていましたが徳島と京阪神は今や全国でも屈指の高速バスのドル箱区間ですからねぇ。
実は私も徳島から夜行バスで東京へ抜けるルートも考えましたが、やっぱりサンライズに乗りたくて高松経由にしましたw
ブレてしまいましたが燃料電池バスが通りました。
東京では都バスを中心に増えつつありますが、徳島でも走っていたんですね。
夕飯は「徳島ラーメン」です。
何度か食べていますが、今回はこの先の長旅に備えて替え玉もしちゃいましたw
駅に戻ると特急「むろと」の案内が出ていました。
以前に1度だけ乗っていますが、今や1往復しかないレア列車になってしまいましたね・・・
↑レアなので停車駅案内は動画で撮りました。
でも、私が乗るのは「うずしお」ですw
時間はあったので高速バスとか、いっそ普通列車でもよかったんですが、「サンライズ瀬戸」と四国内の特急を乗り継ぐ場合は乗り継ぎ割引が適用されて四国内の特急の特急料金が半額になるので、今回は特急課金です。
あとは「うずしお」に乗って高松へ移動です。
ここも道中は略w
「サンライズ瀬戸」で帰路に就く
高松まで来たらあとは「サンライズ瀬戸」に乗って寝ている間に東京まで移動できるので気持ち的にはもう活動は終わったようなものですね。
高松でも時間があるので軽く撮影します。
以前は駅構内に「連絡船うどん」という立ち食いのうどん屋があったのですが、残念ながら無くなってしまいましたから、撮るくらいしか暇つぶしがありませんw
尤も、「連絡船うどん」が今でも営業していたとしてもこの時間ではやっていなかったかもしれませんがw
↑ちょうど発車するところだったので動画を撮りました。
発車標です。
スペースの関係か寝台特急は「寝特」と略されていますが、流星のマークが寝台車の証ですね。
東京という表示も高松駅で見られるのはこの「サンライズ瀬戸」のただ1本だけです。
ホームの案内にはもう「サンライズ瀬戸」が出ていました。
長距離列車ですし早めに入線する可能性が高いと見て、入線を撮るべくホームで待ち構えることとします。
↑停車駅案内は動画で
↑入線シーンです。
ゆっくりと、そして堂々と入線してくる姿は、長距離列車の貫禄を感じますね。
実は12号車のほとんどは「ノビノビ座席」という座席扱いのため、寝台券不要で乗れるんです。
どうせ乗るなら寝台車!・・・と景気よく行きたかったですが、ダイヤ改正前特有の遠征続きでもう予算が・・・w
この「ノビノビ座席」は座席でありながら横になれるということもあってお手頃な値段で夜行バスより快適に移動できると人気を集めているようです。
流石に個室ではありませんが、窓際は頭の部分だけですが仕切りがついていて最低限のプライバシーは確保されます。
完全な個室を望む人は大人しく寝台を予約しましょうw
あとは乗っていれば東京まで連れて行ってくれますが、久々のサンライズとあってテンションが上がってしまいしばらくは窓辺に座り込んで流れる夜の景色を眺めていました。
流石に瀬戸大橋は暗くて何が何だか分かりませんでしたけどねw
本州にわたって児島・岡山と来たらここで一旦ホームへ出ました。
ここでは出雲市からやってきた「サンライズ出雲」と連結するというイベントがありますから、ホームへ出る人が多かったです。
↑連結の瞬間は動画で
ところで、「サンライズ出雲」の方向幕には「伯備線経由」と併記されているんですね。
これは「サンライズ出雲」がデビューしてしばらくはブルートレインの「出雲」も並行して運行されており、「出雲」は京都~出雲市間は山陰本線経由だったのに対して、「サンライズ出雲」は伯備線経由で経路が異なっていたので区別のためだったんでしょうね。
「出雲」が廃止されてからはこの表記に意味は無くなりましたが、過去の生き証人みたいなものでしょうか。
それでは乗り遅れないように急いで車内に戻り、あとは自分の座席で横になり眠りに落ちることとします。
これにて6日目の活動は終わりですが、7日目というのは「サンライズ」で東京につくまでの僅かな間だけの話になるのでこのまま続けてレポートします。
こうして私は夢の中へ誘われ、旅の疲れもあってすっかり熟睡していました。
次に目を覚ますと・・・
右手に新幹線が見えるということは・・・品川付近か!
思いの外到着ギリギリまで寝てしまい、慌てて身支度を整えましたw
上り列車は横浜駅からアナウンスが始まるので普通はそこで起きるんですが、今回はそれでも起きないほど疲れが溜まっていたんですかね。
↑そんな余韻に浸っていると「湘南」がやってきました。
↑最後にサンライズの引き上げを撮って活動終了です。
そして、これにて7日間に及ぶ活動、すなわち私にとっての「スペシャルウィーク」はゴールを迎えました。
長編となったシリーズもこれにて完結です。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
しばらくは大きな遠征はありませんが、次回は箸休め的なレポートを書こうと思っています。
公開までしばらくお待ち下さい。
それでは!
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