今回は博多~門司港間で特別運行されている特急「かわせみ・やませみ」「いさぶろう・しんぺい」に乗車しましたのでそのレポートです。
なお、既に年が明けて2022年になっていますが、この活動は2021年末に実施したものです。
年末年始は何かと忙しくて記事の執筆が遅れていますw
「かわせみ・やませみ・いさぶろう・しんぺい」について
今回は「かわせみ・やませみ・いさぶろう・しんぺい」に乗車するのがメインですのでまずは「かわせみ・やませみ」について解説してから本題に入っていきたいと思います。
「かわせみ・やませみ」は2017年にJR九州が肥薩線・鹿児島本線の熊本~人吉間に投入した観光列車であり、キハ40系を改造した車両になっています。
熊本~人吉間を特急列車として3往復運行されるダイヤが組まれていました。キハ40系ベースの車両で特急料金を取るのかという気もしますが、「指宿のたまて箱」とか「はやとの風」もキハ40系ベースでも特急ですからねw
また、「いさぶろう・しんぺい」は元々人吉~吉松間の矢武峠越えの区間を走る観光列車で、当時はキハ31系が使われていましたが、九州新幹線の新八代~鹿児島中央間の部分開業があった2004年に現在まで使われているキハ40系を梶蒼汰車両が投入され、2016年より一部の列車が快速として熊本駅まで乗り入れるようになって熊本~吉松間の運行になり、、更に2017年からは前述の「かわせみ・やませみ」のデビューに合わせて熊本~人吉間のみ特急列車扱いになりました。
「いさぶろう」は吉松行きの下り列車、「しんぺい」は人吉・熊本行きの上り列車につけられる愛称となっており、列車の方向で別々の愛称がつくという珍しいパターンになっています。
愛称名の由来は「いさぶろう」が人吉~吉松間の肥薩線が開業した当時の逓信大臣だった山縣伊三郎氏から、「しんぺい」が同区間開業時の鉄道院総裁だった後藤新平氏から取られていて、肥薩線にある矢岳第一トンネルの両側の坑口には山縣伊三郎氏と後藤新平氏の揮毫した扁額があって、「いさぶろう」は山縣伊三郎氏の揮毫した「天険若夷」、「しんぺい」は後藤新平氏が揮毫した「引重致遠」の扁額に向かって走ることになります。
また、「かわせみ」「やませみ」は肥薩線沿線に生息する野鳥の名前だそうで、漢字で書くと「翡翠」「山翡翠」となり漢字クイズにでも出てきそうな難読ぶりなので列車名ではひらがな表記になったようです。
このように「かわせみ・やませみ」も「いさぶろう・しんぺい」も肥薩線を走る観光列車でしたが、2020年7月に発生した豪雨災害により肥薩線の八代~吉松間に甚大な被害が発生したため以後長期間に渡って肥薩線は不通となっており、「いさぶろう・しんぺい」と「かわせみ・やませみ」も運休が続いています。
しかし、JR九州の転んでもただでは起きぬ精神というべきか、主な活躍の舞台だった肥薩線がダメならばと仕事がなくなって遊んでいた「いさぶろう・しんぺい」と「かわせみ・やませみ」の車両をくっつけて博多~門司港間で特別運行するという企画を始めたのです。
被災から1ヶ月ほどたった2020年8月から3ヶ月間程度の期間限定として始まりましたが、肥薩線の復旧の目処が立たない状況が続くうちにこの特別運行も常態化しているようで、Wikipediaにはこの特別運行を解説する専用ページまで作られているくらいですw
運行は博多~門司港間に土日を中心に1日1往復設定され、午前に門司港行き、午後に博多行きが設定され、ちょうど博多から乗車して往復乗ると門司港周辺を軽く観光して帰るのに適したダイヤになっています。
種別は肥薩線を走っていた頃と同じく特急扱いであり、かつ全車指定席なので乗車には乗車券の他に指定席特急券が必要になります。
また、「かわせみ・やませみ」と「いさぶろう・しんぺい」は時刻表の上では別々の列車として扱われており、全区間で2つの列車が併結している扱いにされています。
おそらくですが、「かわせみ・やませみ」と「いさぶろう・しんぺい」では内装などがかなり異なることもあって利用者がどちらの車両に乗りたいかできっぷを買う際に分かりやすいようにしたのだと思います。
この運行を鉄道ファン視点から見てみると、まず博多~門司港間を気動車で乗車できるというのが大きなポイントだと言えます。
博多~鳥栖間には久大本線へ直通する「ゆふ」「ゆふいんの森」がありますが、博多~門司港間は定期列車では電車による運行しかないんですよね。(小倉~西小倉間には日田彦山線から直通してくる気動車列車がありますが、日豊本線用の線路を走行するためノーカンとします)
もう1つは小倉~門司港間を走る特急列車であるという点です。
門司港まで行く特急としては「きらめき」と0.5往復だけの「かもめ」がありますが、いずれも朝に下り列車(博多方面)、夜間に上り列車(門司港方面)という通勤利用に特化したような設定になっており、門司港周辺に住んでいる方以外には乗車のハードルが高いダイヤとなっています。
これが今回の「かわせみ・やませみ・いさぶろう・しんぺい」では日中に運行してくれるので、博多周辺にお住まいの方はもちろん、福岡以外の方でも乗りに来やすい時間帯に走行するという点があります。
とはいっても、小倉以北で通過するのは小森江駅の1駅だけだったりしますけどねw
最後はなんといっても「かわせみ・やませみ」と「いさぶろう・しんぺい」が併結して走るという点であり、2つとも同じ路線を走る観光列車ですが、一緒になって走るのはこの特別運行ならではと言えます。
2つの列車を1度に楽しめるチャンスですし、撮影するのも楽しいですよね。
と、長い前置きになりましたが、そろそろ本題に入っていきたいと思います。
博多駅から「かわせみ・やませみ」に乗車!
というわけでようやく本題です。
今回は博多駅から門司港駅まで乗車し、門司港駅周辺を散策しつつお昼を食べたら帰りも「かわせみ・やませみ」に乗って博多に戻ってゴールです。
どうせ往復乗るならば「いさぶろう・しんぺい」と乗り比べてみようかとも思ったのですが、「いさぶろう・しんぺい」は人吉~吉松間を普通列車として走っていた頃にではありますが乗ったことがある一方、「かわせみ・やませみ」は車両自体も乗ることはおろか見るのも初めてという状態だったというのと、今回は「えきねっと」で予約したのですが、私の探し方が悪かったのか「かわせみ・やませみ」は出てくるも「いさぶろう・しんぺい」は出てこず、まあ往復とも「かわせみ・やませみ」でいっかとなったわけですw
ちなみに、以前に熊本へ遠征した際に朝の余った時間で「かわせみ・やませみ」に乗ろうかと考えたことがあったんですが、その時はまだデビューしたばかりだしまた乗る機会もあるかと結局乗らなかったんですよね。
肥薩線での運行が復活してくれることを祈っていますが、そうならなかったら大きな悔いを残す展開になってしまいます・・・
やっぱり、鉄道趣味の基本は「乗れるうちに乗っておけ」ですね。
ところで、当ブログ常連さんはお気づきかもしれませんが、福岡は私の故郷であり、今回は帰省中の活動というわけです。
まずは駅名標ですね。
「かわせみ・やませみ・いさぶろう・しんぺい」というあまりに長い列車名のため「臨時」とかで誤魔化すんじゃないかと思っていましたが、ちゃんと表示してくれて関心です。
ただ、「いさぶろう」だけハブられていますがw
単純にスペース不足で省略した可能性もありますが、肥薩線走行時は上り列車が「しんぺい」で、下り列車が「いさぶろう」だったので、それを鹿児島本線の上り下りにも当てはめて、上り列車となる門司港行きは「しんぺい」としたのかもしれません。
だとすればこだわりを感じていいですね。
ところで、個人的な話になりますが、この青い発車標を見ると九州に帰ってきたなぁと実感します。
これは九州から他の地方に出てきた方には共感して頂けるのではないかと思います。
また、コロナ禍になって全く帰省してないわけではないですが、帰省の頻度が減ったのは確かで、それもあって余計に感じるのかもしれません。
まあ、帰省こそしませんでしたが、博多駅には1ヶ月ほど前に来ているんですけどねw
まだ「かわせみ・やませみ」まで少し時間があるので久々の博多駅での駅撮りを楽しみます。
博多駅は九州最大のターミナル駅で各地からの特急列車も集まりますから子供の頃からよく撮影に訪れたものです。
そこへやってきたのは811系ですが、これはリニューアルされた車両であり、1500番台を名乗っています。
811系もJR九州発足後にデビューした車両とは言え既に車齢30年を迎えているんですが、リニューアルでまだまだ活躍を見られそうですね。
リニューアルに際しては制御装置をサイリスタ位相制御からVVVFインバータに変更し、モーターも交換するなどしていて、車内も転換クロスからロングシートに変更し、塗装も変更されているなどかなり大きな変化であり、鉄道に詳しくない人が見たら新型車両だと思うかもしれませんね。
また、この編成は検測装置を搭載した”RED EYE”という車両であり、営業運転をしながら線路の状態もチェックできるすぐれものです。
↑ちょうど発車するところだったので動画をどうぞ
そして、今度は「列車が参ります」というアナウンスがありました。
博多駅を発着する列車はほぼ撮り尽くしていた私としてはあえて取ることもないかと思いつつも、そのときに限って気まぐれでビデオカメラの録画ボタンを押していたのです。
その結果は・・・
↑885系・・・ですが、ただの885系じゃありません。
今流行のアニメ「呪術廻戦」とのコラボラッピングの編成だったのです。
一応運行時刻は公表されてますが、全くノーマークのネタだったのでこれは収穫です。
こういう気まぐれがいい方向に行くこともあるんですねぇw
「呪術廻戦」は全くの未視聴なのでこのキャラクターの名前すら知らないという有様ですが、かなり気合の入ったラッピングだということは分かりますw
こういうラッピングってすべての車両を撮りたくなりますが、今回のメインはあくまで「かわせみ・やませみ」なのでこれくらいにしておきます。
↑「ハイパーサルーン」こと783系がやってきました。
車両中央にドアがあり、客室が1両につき2つあるという変わった構造の車両です。
↑さっきの「呪術廻戦」ラッピングが発車していきました。
それではそろそろ「かわせみ・やませみ」の時間です。
ホーム上の発車標でも「かわせみ・やませみ」の表示を撮ります。
↑入線シーンです。
思ったよりもギリギリ入線だった上に、反対のホームから撮影したため慌ただしく移動ですw
特別運行と言いつつもう1年以上やっているためかちゃんとしたサボが用意されてました。
本当は乗り込んだらすぐに発車だったのですが、記事の流れ的にこのまま車内の紹介をしたほうがよさそうなので車内のご紹介をします。
というわけで車内です。
まずは1号車の「かわせみ」から
水戸岡マジック全開のデザインとなっており、木を多用するという特徴は「かわせみ・やませみ」でも健在ですね。
このあたりはボックス席と窓を向いたカウンター席になっていて、観光列車らしい座席配置と言えます。
奥の方には小さな椅子もありますがこちらは子供向けのフリースペースだそうです。
ところで、このようなカウンター席やボックス席はインターネット予約では予約できない席となっており、みどりの窓口に行って申し込む必要があるらしいです。
「伊予灘ものがたり」みたいにそもそも列車自体がみどりの窓口でないと申し込めないパターンよりはマシですが、インターネット予約で申し込める座席は限られるということは覚えておいて損はないと思います。
なので、逆に言えばネット予約で満席と出ていても、みどりの窓口ではないと申し込めない席は空いている可能性もあるので、諦めずにみどりの窓口に行ってみるのも試す価値ありです。
通常の座席です。
しっかりクッションが効いた座席となっており、これなら特急料金をとってもいい座席ではないでしょうか。
ちなみに、ネット予約可能なのはこのタイプの座席のみのようです。
テーブルは肘置き部分に格納されていますが、小型のものなので駅弁を広げるには少し狭いかもしれません。
天井部分も木になっていて、生い茂る葉っぱのような模様が描かれています。
壁についている照明はお洒落な木工細工になっていました。
内装に凝ったお店や旅館なんかに置いてありそうです。
車内にはサービスカウンターがあり、普段は沿線の特産品を紹介したりという車内イベントに使うようですが、門司港行きの特別運行では使わないみたいですね。
また、左側のスペースは「展望コーナー」となっていて、肥薩線走行時には沿線に生息し、列車名の由来でもある「翡翠」「山翡翠」をこの窓から探そうというコンセプトのスペースです。
もっとも、博多~門司港間の運行では翡翠や山翡翠どころか野鳥すら見る機会はなさそうで、せいぜいカラスか鳩を見かけるくらいでしょうかw
通常走行区間である熊本~人吉間の沿線を紹介するビデオが放映されていたりします。
流石に博多~門司港間のバージョンを用意するなんてことはしなかったようですが、いずれ肥薩線での運行が再開されたときに備えてPRしておこうという意図もありそうですね。
これだけ綺麗でも元はキハ47形という証拠の車番ですw
こんな所を撮るのはマニアだけですねw
続いて2号車の「やませみ」にお邪魔しました。
基本的な内装は「かわせみ」と同じですが、「かわせみ」が青を基調にしていたのに対して、「やませみ」は緑を基調にしています。
「やませみ」には肥薩線沿線の特産品を展示するショーケースがあります。
続いては「いさぶろう・しんぺい」の方にお邪魔します。
連結して走っているため、1度に2つの列車を楽しめるのはいいですね。
「いさぶろう・しんぺい」の方はボックス席主体となっていて、「かわせみ・やませみ」と同じく木を多用したデザインですが、全体的に暗めな色調となっていて、随分と雰囲気が違いますよね。
「かわせみ・やませみ」と同じく水戸岡氏のデザインですが、「かわせみ・やませみ」が2017年デビューなのに対して、「いさぶろう・しんぺい」は2004年と13年もの開きがありますからデザインの流行とかも違ってくるでしょうし、水戸岡氏自身の作風の変化というのもありそうですよね。
指定席の表示です。
今回の運行では全車指定席となっていますが、通常の「いさぶろう・しんぺい」として走る場合は自由席も設けられているんですが詳細は後述します。
座席です。
カウンター席や通常のリクライニングシートなど様々な種類の座席があった「かわせみ・やませみ」に対して、「いさぶろう・しんぺい」はボックス席主体となっており、座席のバリエーションは少なめです。
2004年当時はあまり座席の種類を増やす流れではなかったのかもしれませんね。
車端部には横掛けのベンチが置いてありますが、これが通常は自由席扱いになる座席です。
今回の運行では全車指定席で自由席はないことになっているので、フリースペースという感じでしょうか。
ところで、観光列車と言えば全車指定席であることが多い中、どうして「いさぶろう・しんぺい」には自由席が設けられているのかという話ですが、元々人吉~吉松間の普通列車として運行開始したという経緯が関係していると思われます。
この区間は一般の利用者が少ない閑散区間であり、「いさぶろう・しんぺい」の登場後は観光客が利用することが多くなった路線ですが、ごく少ないであろうとはいえ純粋に移動手段として肥薩線を利用する人もいるわけで、そういう人たちにすれば全車指定席にされてしまうと、1往復しかない「いさぶろう・しんぺい」ではない一般の普通列車しか乗車券のみで乗れる列車がなくなってしまい、更に指定料金を払ってもいいから乗りたいと思っても満席だったら乗れないというリスクもでてくるので、そういう純粋に移動手段として利用する人への配慮ということで自由席を設置したのではないかと思われます。
なお、沿線住民でなくとも自由席を利用する権利はありますから通常運行の「いさぶろう・しんぺい」に人吉~吉松間だけ乗る場合、指定券を買わなくとも乗車可能ではありますが、その場合わずか7席しかない座席がいっぱいだったら立ちっぱなしになるので注意が必要です。
そのためJR九州でも「指定券がなくても乗れますが自由席は少ないので指定券の購入をおすすめします」という案内をしているようです。
ちなみに、私がかつて乗車した際も当時は学生でお金がなかったこともあって指定券を買わずに乗ったら座れなくて立ちっぱなしでつらい思いをした思い出もありますw
ワンマン普通列車として走る区間もあるため整理券発行機もついています。
JR九州では特急列車でもワンマン運転を始めたりしていますが、流石に整理券発行機が付いている特急列車は珍しいのでは?w
車両の中央部分はフリースペースになっていて誰でも自由に使えます。
このスペースがあるおかげで窓際の席を取れなかった場合や、自分が座った向きとは反対方向に見どころがある場合なんかはここへ来て景色を眺めることもできますね。
ここにスタンプ台が設置されていました。
ただ、置いてあるスタンプ台紙は「かわせみ・やませみ」のものでしたがw
壁の照明も「かわせみ・やませみ」とは違ったテイストですがこれはこれでお洒落ですね。
ところで気になったのは「いさぶろう・しんぺい」の方が明らかに空いていることです。
私みたいに「いさぶろう・しんぺい」は乗ったことがあるけれど、「かわせみ・やませみ」は乗ったことがないからと「かわせみ・やませみ」を選ぶ人が多いのかなと思ったら、もっと根本的なところ理由があるようで、写真でどれだけ伝わるか分かりませんが、「いさぶろう・しんぺい」よりも「かわせみ・やませみ」の方が座席のグレードが高いため「かわせみ・やませみ」に乗客が集中しているということのようです。
確かに「いさぶろう・しんぺい」の座席は元々のキハ40系の座席をお色直ししたという感じで、基本的な作りはキハ40系のローカル列車感が残っていますが、「かわせみ・やませみ」の方は特別感のある座席で、座り心地も「かわせみ・やませみ」の方がよさそうです。
「いさぶろう・しんぺい」は元々は普通列車としての運行だったのに対して、「かわせみ・やませみ」は最初から特急列車としての運行を前提に設計されたという違いもありそうです。
それでは自分の座席に戻って門司港までの旅を始めるとしましょう。
今回も車窓は動画で撮ったのでご紹介しますね。
↑車窓です。
約1時間半あるので再生の際はモバイル回線などの方はデータ量にご注意下さい。
博多を発車するとキハ40系特有のエンジン音を響かせながら高架線を駆けていきます。
車内ですが、「いさぶろう・しんぺい」に比べると乗車率は高いですが、それでも全体の3割くらいかなという印象です。
好評に付き運行期間を延長するというくらいだからほぼ満席くらいのイメージだったんですが、流石に1年近くやっているとファンの注目度も下がってくるんですかね。
でも、おかげでゆったりと乗車できそうです。
停車駅は香椎・折尾・黒崎・小倉・門司・門司港となっており、速達型の「ソニック」に準じた停車駅となっています。
10分程度走行して香椎に到着です。
香椎駅ではお出迎えの横断幕が出ていたりしましたが乗降はほとんどないようでした。
香椎を出ると次は折尾まで停車しないことになっていますが、それにしてはのんびりとした走行でした。
これでは後続の列車に追いつかれてしまうのではないかと思っていると案の定福間駅で運転停車をし、後続の「ソニック」に追い抜かれていました。
そういえば、昔のブルートレイン「はやぶさ」の上り列車はたしか福間で「ソニック」に抜かれていた覚えがありますが、それの再現といったところでしょうか。
やっぱり、キハ40系ですから、俊足を誇る「ソニック」から逃げ切るなんてことはできないようでしたw
福間を出ると東郷・赤間と来て、いよいよ車窓風景ものどかなものになっていきます。
このあたりは福岡都市圏と北九州都市圏の境界とも言える地域でして、停車駅の割合が高いことで知られる鹿児島本線の快速(特に博多以北)でも赤間~折尾間は4駅連続通過する区間となっています。
教育大前駅と海老津駅の間にある城山峠がその境目とも言えますが、鹿児島本線は短いトンネルであっという間に通過してしまうため、非力なキハ40系であっても難なく通過していきます。
しかし、その城山峠を越えて最初の駅である海老津駅で2度目の運転停車がありました。
しばらく待っていると813系が追い抜いていきました。
後続の快速列車だったようです。これが通常の特急列車だったら、「こちとら特急料金を払っているのに快速に抜かれるとは何事か!」と乗客が怒り出しかねませんが、今回は観光列車であり、乗ること自体を目的としている人たちばかりでしょうから問題ないでしょう。
と、ここで車内販売で飲み物を買いました。
ちゃんとアテンダントさんも乗務していて記念撮影などの観光列車らしいサービスも行われていました。
購入したのは晩白柚サイダーという商品で、晩白柚というのは熊本県が名産の柑橘類です。
元々は熊本を走る観光列車ということで熊本の名産を使った商品を扱っているんですね。
爽やかな酸味と甘味が心地いい味でした。
そして、列車は折尾に到着しました。
かつては鹿児島本線と筑豊本線が十の字に立体交差する独特の構造が有名な駅でしたが、高架化事業によりその姿を大きく変えており、私も最初はどこの駅か分からないほどでしたw
続いて黒崎にも停車しますが、ここも停車時間はわずかで2本の列車に抜かれた分を取り戻すかのようにスムーズに走っていきました。
車窓には赤い特徴的な橋が見えてきますが、若戸大橋といい、若松地区と戸畑を結ぶ橋です。
この橋によって奥洞海を隔てた交通もスムーズになりましたが、それでも増大する交通量を捌ききれなくなり、今では新若戸道路という海底トンネルも作られて2ルートの道路が存在するようになりました。
そして、北九州最大のターミナル駅で、山陽新幹線も停車する小倉に到着です。
小倉駅では降りる人もそこそこいましたが、私はもちろん終点の門司港まで乗り通します。
小倉までは1ヶ月前の遠征で「にちりんシーガイア」に乗って乗車したばかりですが、ここから先を乗るのはかなり久々です。
特急列車も走らない区間ですし、門司までは関門トンネルを越えて下関へ向かう列車も通るのでまだ乗車機会がありますが、門司港はわざわざ行こうと思わないと行かない場所になってしまっていますからね。
私も福岡に住んでいた頃は何度か行っていましたが、関東に出てきてからというもの、最後に門司港まで乗ったのはいつだったか思い出せないくらい久々です。
そもため車窓を見るのも久々で懐かしさがこみ上げますが、もうここまで来たらもうすぐ終点なんですよね・・・
1時間半の乗車時間もあっという間に門司港に到着しました。
降りて真っ先にやることはやっぱり撮影ですw
博多駅ではしっかり撮れなかったのでここで挽回しましょう。
あとは回送で引き上げる所を動画で撮ってから駅を出たいと思います。
↑発車シーンです。
少し録画開始が間に合っていませんがご愛嬌w
帰り道も「かわせみ・やませみ」ですが、滞在時間が3時間以上あるので・・・
門司港をぶらぶら
久々にやってきた門司港ですし、駅そのものも含めて色々見つつぶらぶらするとしましょう。
まずはホームです。
今でこそローカルな終着駅という感じの門司港駅ですが、関門トンネルが開通するまでは門司駅を名乗っていて、関門連絡船を介して本州との接続点となっていた場所でした。
関門トンネルの開通は戦時中の話なので、門司港駅が九州の玄関口だった頃を知る方はかなり少ないでしょうけどね。
ちなみに、現在は北海道・本州・四国・九州はすべて鉄道で結ばれているわけですが、北海道~本州間を結ぶ青函トンネルと本州~四国間を結ぶ瀬戸大橋はいずれも1988年に開通しているのに対して、関門トンネルは1942年という非常に早い時期に実現しています。
これは関門海峡が非常に狭い海峡だったことから建設のハードルが低かったというのがありそうですね。
関門トンネルは3.6kmほどの長さで、陸上のトンネルを含めても現代の感覚からすれば特別長いとは感じない長さです。
一方、青函トンネルとなると53.85kmもあり、関門トンネルと比べると15倍ほどの差があります。
門司港地区は門司港レトロと称して観光地化されており、駅も古い雰囲気を残しています。
終着駅ということで車止めが並びます。
昔はここから九州各地へ向かう長距離列車がひしめいていたんでしょうが今は朝夕にわずかに特急がやってくる以外はローカル列車ばかりの駅ですからね・・・
縦型は駅名ナンバリングも付いていて現代風ですが、駅の雰囲気に合わせて落ち着いた色合いですね。
鶴?のオブジェとか庭園みたいな木などがあり、名所案内も並んでいますね。
このあたりは完全に庭園ですね。
右側にあるのは「安全の鐘」というそうで、JR九州が設置したもののようですが、歴史を感じさせる見た目です。
JR九州では「SL人吉」として走る(といっても運休中ですが・・・)ハチロクこと8620形の動輪がありました。
こちらにも鐘がありますが、こちらは「旅立ちの鐘」だそうで、元々は列車の出発時に合図として鳴らしていたそうですが、今はこの駅から旅立っていく人たちを見守る願いを込めて設置されているようです。
そして、奥にあるのは「幸福の泉」とのこと。
起点の駅ということで0哩(マイル)の碑がありました。
キロメートルじゃなくてマイルというのも時代を感じますねぇ。
頭端式ホームの端っこに改札口があるという昔ながらのターミナル駅という感じの構造が残っています。
改札口は流石に自動改札機が並びますが、ラッチも残されていて雰囲気は残っていると思います。
改札を出ました。
改札脇には開業が近づく西九州新幹線を意識してかこんな掲示がありました。
長崎方面もご無沙汰ですが、新幹線関連で無くなる列車もありますし、取材に行かなければ・・・!
観光地ということで散策に出る前に大荷物を預けられるようにとコインロッカーがありました。
KUROちゃんが描かれているのが可愛らしくていいですね。
実はここ、関門連絡船があった頃に使われていた乗り換え通路だった場所のようです。
終戦前には使われなくなったはずの施設ですがまだ遺構が残っているんですね。
「旧監視孔」だそうです。
説明文によると戦時中にこの中に監視役が入ってこの穴から連絡船を乗り降りする人を監視していたみたいです。
今なら監視カメラで済みそうですが、戦時中だと人間が常駐して監視するしかなかったんでしょうね。
通路も鉄骨むき出しの無骨さが逆に歴史を感じさせていいですね。
観光客に向けたであろうこんなパネルがありました。
シンプルに駅舎の写真というのが潔いです。
これは天井を支える鉄骨の一部でしょうか?
わざわざ展示もしているんですね。
しれっと自動券売機が埋め込まれていましたw
確かに現代の出札窓口は券売機ですねw
こんな展示室のような雰囲気ですが、現役のみどりの窓口となっており、ちゃんと切符が買えます。
こちらはマサコ・ムトーさんという豆紙人形作家が作った作品を展示しているようです。
この方は門司出身ということで、門司港駅に展示されることになったのだとか。
遠目から見るとプラスチックのフィギュアかと思いましたが、紙で出来ていたんですね。よく出来ていると思います。
こちらが門司港駅の駅舎です。
大正時代からの駅舎だそうでこの重厚感ある外観は門司港地区のシンボルの1つとなっています。
国の重要文化財にも選ばれています。
その隣にあるこちらは旧JR九州本社ビルであり、元々は三井物産門司支店の建物だったのが、戦後の財閥解体により国鉄に売却され、国鉄時代は門司鉄道管理局や九州総局といった重要施設が置かれて、九州の鉄道の拠点と言える場所でした。
JR九州に移管後は福岡市にある福岡本社と並んで、この建物が北九州本社として使われ、2箇所の本社という体制でしたが、2001年に北九州本社は閉鎖となり使われなくなるとJR九州はこのビルの解体を表明しました。
しかし、北九州市が市有地との等価交換を条件にビルを譲り受けて耐震工事が行われた後に観光施設として活用されることとなったのです。
こちらは「門司港レトロハイマート」という高層マンションで、あの有名な黒川紀章氏が設計し1999年に竣工しました。
最上階には展望室もあって門司港レトロのランドマーク的な建造物となっています。
レムチャバン港との姉妹港締結記念のモニュメントでした。
とあっさり紹介しましたが、レムチャバン港ってどこ?と思って調べたらタイにあるらしいです。
関門連絡船こそ無くなって久しいですが、今でも下関側へ渡れる渡船が運航されていてここが乗船口です。
現在関門海峡は鉄道だけでも山陽本線と山陽新幹線がそれぞれ関門トンネルと新関門トンネルで横断し、道路では国道2号と関門自動車道がそれぞれ関門トンネルと関門橋で横断するなど、鉄道・道路合わせて4つの交通路があるわけですが、それでも渡船が残っているのがすごいですよね。
また、国道2号のトンネルには歩道も併設されていて歩いて渡ることも出来るため、片道は渡船、片道は徒歩で関門海峡を往復するのも面白そうです。
それから、宮本武蔵と佐々木小次郎の決闘の舞台として有名な巌流島へ向かう航路もあるようですが、現在は観光地となっているのみで定住者がいないこともあって、コロナ禍を受けて運休中のようです。(下関側からの航路は運航しているようなのでどうしても行きたい方は下関側から上陸することになります)
海辺の景色もいいものですね。
ずっと眺めていられる気がしましたが、寒いのでやっぱりやめておきますw
この船が唐戸へ向かうんですかね。
思ったより小さいですが、実用的な移動手段としては鉄道も道路もあるので観光用という意味合いが強いのかもしれません。
国道風景としてもいいですよね。
ちなみに、国道198号は門司港と国道3号の桟橋通交差点までを結ぶ全長618m(キロメートルの間違いじゃないですよ?w)しかないミニ国道なんだそうです。
このように主要な港湾や空港と主要国道を結ぶ国道のことを通称「港国道」と呼び習わすらしく、海運や航空輸送との連携を意識して設定されている国道というわけですが、その性質上短いものが多く、神戸にある国道174号は全長187mで日本一短い国道になっているんだとか。
ちなみに、国道198号は日本で3番目に短い国道のようです。
あと、門司港といえばバナナの叩き売りが有名ですよね。
元々は輸送途中で傷んでしまうバナナを、早いうちに売り切ってしまう目的で行われるようになったようで、戦時中は日本の領土の一部だった台湾から大量にバナナが本土に入ってくるようになり、門司港がその荷揚げの拠点だったことから、バナナの叩き売りが門司港の名物となったようです。
現在は保存技術が進歩して叩き売りをする本来の意義は薄れましたが、観光資源として今でも行われることがあるようです。
それではそろそろお昼ごはんとしましょう。
門司港の名物グルメと言えば「焼きカレー」ですが、長年福岡に住んでいながら食べたことがなくこれが初の体験となりました。
福岡にいた頃は学生時代ということで限られた予算で乗り鉄を楽しんでいましたから、食事といえば立ち食いのうどんやそばだったり、コンビニのパンやおにぎりだったりで済ませてしまい、訪問した土地の名物を食べようという発想もなかったですからねぇ~。
そんな感傷に耽るのもほどほどに焼きカレーのご説明ですが、昭和30年代に門司港にあった「山田屋」というお店で考案された料理で、土鍋にカレーを入れてドリアのようにオーブンで焼いたものだったようです。
これが美味しかったので店のメニューにしたところ好評だったようで、「山田屋」は今は廃業していますが、今ではすっかり門司港の名物として定着し、30店舗以上で提供されているようです。
寒い中歩き回って冷えた体も温まり美味しく頂きました。
食後は腹ごなしを兼ねて周辺を散策します。
西鉄バスが通りがかったので街の風景と絡めて撮ってみました。
なんと単線非電化の線路が横切ります。
もちろんこれは鹿児島本線の線路ではないのですが、では何の線路かと言うと門司港レトロ観光線(愛称「北九州銀行レトロライン」)という路線の線路であり、平成筑豊鉄道が運営しています。
元々は国鉄の貨物線であり、鹿児島本線の支線として扱われていましたが、2004年に貨物列車の運行がなくなり、2005年には路線としても正式に休止扱いとなりますが、観光地として人気のある門司港レトロ地区を走るという点に着目した北九州市が観光鉄道として活用することを検討し、2009年に平成筑豊鉄道の運営により観光用のトロッコ列車を走らせる形で開業となりました。
全長2kmの間に4つの駅があり、最高時速15km/hでのんびり走る路線で、運行は10時~17時の間に11往復程度、3月中旬~11月下旬の土日祝日と春休み・夏休み期間にのみ運行されており、観光に特化した路線となっています。
実用的な移動手段としては並行して西鉄バスが走っているのでそっちで十分ということなんでしょうね。
前述のように3月中旬~11月下旬の間しか運行していないため、私が訪問した時は運休中でした。
窓のないトロッコ車両なので真冬に走らせても寒くて誰も乗らないだろうということなのかもしれませんw
ちなみに、私は過去に数度この北九州銀行レトロラインに乗車していますが、ブログ開設前のことでありレポートはしていません。
運行していれば乗ることも考えましたが、動いていないものは仕方ないですね。
さて、この先には九州鉄道記念館があり、時間もあったので訪問したのですが、九州鉄道記念館の訪問レポートは単独でも需要がありそうですし、1つの記事にすると長くなり過ぎそうなので別記事としたいと思います。
~追記~
九州鉄道記念館の訪問記はこちら
「かわせみ・やませみ」で博多へ戻る
というわけで九州鉄道記念館は別記事としますので、あとは「かわせみ・やませみ」に乗って博多へ戻って活動終了となります。
まずは発車標の表示を押さえましょう。
今度は「かわせみ・やませみ」と「いさぶろう」の表記になっているので、やはり上り列車は「しんぺい」、下り列車は「いさぶろう」が列車名ということにしているんでしょうね。
ホームへ向かうともう入線していました。
入線の動画を撮ろうと思っていたのですが、案外早く入線していて撮り損ねましたw
それでは乗車です。
車内の紹介は往路で済ませているのであまり書くことがないのですが、門司港から乗って小倉で降りる人がいたのには驚きました。
何かの用事で門司港へ来て帰りにちょうどあったから乗ってみたという感じですかね。
筑豊本線の新ルート用に掘られたトンネルも見えました。
まだ高架化工事は完成ではないようですが、もはや全く別の駅ですね。
ここで車内販売がやってきたのでアイスクリームを購入しました。
今や車内販売自体が絶滅危惧種になりつつありますから、来るだけでつい買いたくなってしまいますw
購入したのは栗のアイスというちょっと変わったフレーバーです。
素朴な甘さが美味しかったです。
遠賀川駅では運転停車があり、後続のソニックに追い抜かれていきました。
往路でも後続に抜かれていましたから復路もそうだろうとは思っていましたが、やっぱりキハ40系の性能じゃ俊足のソニックからは逃げ切れないですよねw
遠賀川駅付近にあるこの廃鉄橋ですが、実は大昔に廃線になった国鉄室木線の鉄橋なんです。
遠賀川駅から分岐し室木までの11.2kmを結ぶローカル線でしたが、特定地方交通線の指定を受けて1985年に廃止になりました。
元々石炭輸送のために建設された経緯があり、筑豊地域には多くある廃線の1つと言えますが、沿線に山陽新幹線が通ったことからその建設時には工事用資材の運搬に貢献した歴史もあるようです。
赤間・福間と通過していって福岡都市圏に入っていきます。
あとはこのまま香椎までノンストップかと思ったら香椎の2駅手前の福工大前駅にて2度目の運転停車がありました。
ここでもソニックに追い抜かれていました。
ソニックは一時期減便されて1時間に1本になっていたこともありましたが、今は本数が戻っておおむね30分ヘッドで走るようになりましたが、コロナ前は更に「きらめき」もあって博多~小倉間は毎時3本体制になってました。
そんな「きらめき」も今は朝夕だけの運行になってしまいだいぶ規模を縮小した感があります。
待避が終わって福工大前駅を出ると香椎に到着です。
香椎線の分岐駅であり、福岡市の副都心の一部としても位置づけられる香椎は特急列車も一部が停車駅都市としており、「かわせみ・やませみ」もそれにならって停車としたのでしょう。
香椎を出るとあとは特段イベント的なこともなく終点の博多に到着です。
博多で最後の撮影をします。
肥薩線の復旧の目処は未だ立っていませんから、この博多~門司港間の運行はもうしばらく続きそうな気配もありますが、それでも鉄道趣味の基本は「走っているうちに撮れ・乗れ」ですからねw
↑最後に回送シーンを動画で撮って終了です。
あとは実家に戻り活動終了ですが・・・
小腹がすいたのでホーム上にある立ち食いラーメンのお店でとんこつラーメンを頂きます。
全国各地のいろんなご当地ラーメンを食べてきましたが、やっぱり豚骨が一番しっくり来るのは九州人の佐賀・・・もとい、サガなんですかねw
最後に博多駅前でやっていたイルミネーションを貼って終わりにします。
今回乗車した「かわせみ・やませみ」は今回が初めての乗車でしたが、願わくばまた本来の活躍の場である肥薩線で乗車できることを祈っています。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
~追記~
九州鉄道記念館の訪問記も公開しました。