北海道乗り鉄旅2019(6日目/道南編)

6泊7日で実施した北海道遠征の6日目です。
なお、1日目2日目3日目4日目5日目をご覧になっていない方はそちらからご覧になることをおすすめします。

本日の行程


6日目となる今日は、昨晩宿泊した札幌からスタートとなります。まずは特急「ニセコ」で函館へ向かい、道南いさりび鉄道に1往復乗ってから特急「スーパー北斗」で札幌へ戻り終了です。
行程の中身としてはシンプルですが、メインは「ニセコ」と道南いさりび鉄道となります。「ニセコ」には実は初日の行程で既に乗っているのですが、どうせならば上下両方向で乗っておきたいというのがあり、初日は運行時間の都合で札幌行きでしか乗れなかったのが、今回はスケジュールに余裕があったこともあり、日程を追加して函館行きでも乗ることにしたのでした。
道南いさりび鉄道は、JR江差線時代には乗ったことがありますが、道南いさりび鉄道転換後には乗れていなかったので改めて乗り直しです。
車窓に変化はないのは重々承知していますが、それでも運営する会社が変わるとまた別の路線になったような気がするんですよねw

朝からおまけ

開始早々ですが、なんとここでおまけが入りますw


というわけで「ニセコ」に乗る前に普通列車で札幌駅を後にします。


降り立ったのは・・・手稲駅!
勘のいい方はもう分かったかもしれませんが、手稲駅から発車するある列車がおまけの正体です。


縦型も


駅取材はメインではないのでざっくりとご紹介しますが、ホームです。
島式2面4線です。


コンコースですが、ここでおまけの正体を種明かしします。
これから乗るのは「ホームライナー」です。

意外な事実かもしれませんが、実はJR北海道もホームライナーを運行しており、朝の手稲→札幌で運転されています。
以前は逆方向の札幌→手稲が夕方に設定されていた他、朝には小樽→札幌という設定もあったのですが、これらは廃止されて、現在は朝の手稲→札幌のみとなっています。
「ホームライナー」というと夕方に運転される郊外向けの列車というイメージですが、実際には朝の都心向けだけの運転というのも面白いですね。

手稲駅近くには札幌運転所があり、ここには札幌発着の特急列車で使われる車両も配置されているため、札幌運転所と札幌駅の間では回送列車が多く設定されているわけですが、これを有効活用して運転されているのがホームライナーというわけですね。
このため、785系789系キハ261系・キハ281系・キハ283系といった特急型車両が充当されます。

手稲を出ると札幌までノンストップという設定で、乗車可能駅は手稲駅だけという思い切った設定ですが、手稲駅って実は札幌駅・新千歳空港駅についで道内で3番目に利用者が多い駅だそうで、それならばこの駅のためだけのライナーが成立しそうなものですね。


発車標です。
面白いのがホームライナーは1日3本が設定されていますが、「ホームライナー◯号」という表記はされず、全て「ホームライナー」とだけ表記されます。発車標のみならず時刻表でも同様であり、乗車可能駅が手稲だけであり、発車時間で区別すればいいということなんでしょうか。


そして、こちらがライナー券の券売機です。他地域のライナー同様に駅の券売機で事前にライナー券を買ってから乗るのですが、こんなシンプルな見た目のライナー券売機は初めて見ましたw
また、驚くべきはその値段であり、なんと100円ぽっきりw
恐らく日本一安いライナー券だと思います。手稲駅も札幌市内ですから同じ市内で完結するライナー列車という意味でもネタですが、その分ライナー券もお手軽な設定にしたのでしょうか。
私も乗車券部分は北海道フリーパスが使えるので、実質100円追加するだけで乗れるならば・・・と乗車を決めました。


ところで、残席数の表示すら付いていませんが、どうやってライナー券の発売数を管理しているのでしょう。
券売機を見ると列車ごとにボタンが分かれており、完売を示すバッテンのランプがありますから、列車ごとに座席数分しかライナー券を券売機に入れないようにして、そのストックがなくなった時点で発売終了という仕組みみたいですね。完全に食券用の券売機の流用ですが、座席どころか号車も指定されず、とにかくその列車の座席数分しか売らないことだけ守ればいいという条件なので特別な券売機を用意する必要はないということなのでしょうw
なお、私が乗る7時24分発のやつは完売になっていますが、これは自分のライナー券を買った後に撮ったやつなのでご安心を。


ライナー券がこちら
日付と発車時間のみ書かれたシンプルな券面ですが、この感じ・・・どう見ても食券です本当に(ry


それでは発車までの時間で駅前に出るとしましょう。
札幌市内の駅だけあって改札口もさすがの規模ですね。


本数が少ないイメージのある北海道の鉄道ですが、札幌都市圏は例外で朝のラッシュ時ともなるとこの本数!
ライナーの前後は4分間隔ですし、苫小牧行きと岩見沢行きの間も6分しか開いていません。
下手な地方都市よりずっと過密ダイヤだと思います。


いわゆる橋上駅舎となっており、改札を出ると自由通路に直結する都市部にありがちな構造の駅です。


駅前に出ました。建物の密度がすごい・・・


駅舎と駅前ロータリー


駅名部分


続いて北口へ
この案内のデザインは北海道ならではな気がしますが、情報の密度もすごいです。


大きな吹き抜け空間がエントランスになっています。


駅前に西友がありました。これ、夏場だけなら都内の駅の写真と言っても通りそうw


JR北海道バスがいました。
深名線でもお世話になったJR北海道バスですが、JRバス系列としては珍しく札幌都市圏でのローカル路線も手掛けていて、札幌周辺の駅では割とよく見ることが出来る存在です。


こちら側の駅舎も撮ったらそろそろ撤収です。
時間もありますが、朝のラッシュ時のため、続々と通勤・通学の利用者が駅に押し寄せていてのんびり撮影できる雰囲気じゃなかったのもあります。
というか、北海道に来て人が多すぎる理由での撮影断念は今回の遠征では初めてですw


それでは乗車です。既に結構な行列ができていました。
ライナー券を持っている以上乗れるのは確定していますが、札幌地区のライナーも甘く見てはいけませんね。


車両は新塗装のキハ261系でした。道東方面の「スーパーとかち」とかに使われるやつですね。


先頭部にもちゃんとライナーの表示が出ていました。


方向幕も撮ったら乗車です。なお、改札方式は他のライナーと同じでドアを1箇所だけに制限してそこに係員が立ってライナー券を回収するスタイルでした。

乗車しますが窓際は埋まっていて、ほぼ満席状態でした。景色を楽しむ列車ではないのでまあいいですが、早目に並ばないと窓際は厳しそうです。
ただ、ほとんどが通勤客なので車内は静かで録音環境としては素晴らしかったです。
また、自動放送があったのも予想外で、これは収録しがいがありました。
元々が回送列車を流用した運転ですし、この区間の過密ダイヤもあってあまりスピードは出しませんが、たったの100円追加で特急形に乗れるだけでもお得ですよね。

札幌到着時は「札幌到着後は特急列車として引き続き運行しますので、車内にゴミなどを残さないようにお願いします」とアナウンスがありました。
本当にそのまま次の運行に使うみたいですね。車内の環境については利用者を信用するスタンスなんでしょうか。


札幌に到着!


このあとは予想通り「スーパーとかち」になるようです。

というわけで、おまけはこれくらいでいよいよ本題へ進みましょう。

特急「ニセコ」 札幌→函館

それでは本日の目玉の1つ「ニセコ」に乗車します。
既に初日のレポートで解説を済ませているので、そのまま乗車レポートへと進みます。


まずは発車標から


方向幕


それでは乗車です。平日ということもあってか普通に座れました。


ということで朝ごはんの駅弁タイム!


北海道というと海鮮ばかり選びがちですが、たまには鶏もいいですね。

それでは発車です。乗車率はだいたい半分くらいといったところで札幌を後にします。


手稲までは札幌市内ということもあって普通の市街地の景色が続きます。
山側に座ったので余計に車窓が単調・・・w


海側に座ればこんな景色もあります。
え?じゃあなんで海側に座らなかったのかって?
・・・あとで分かりますw

小樽までの区間は列車密度の高さのためかやっぱりあまり飛ばしてくれませんが、気動車で乗れるだけでもレアですしまあいいでしょう。


小樽では停車時間があったのでホームに出て撮影しました。
札幌行きで乗った時は小樽では降りませんでしたしね。


発車標も撮ったら車内へ戻ります。


ここからいよいよ山線区間になり、普段は各駅停車しか走っていない区間に入ります。
「ニセコ」の目玉と言ってもいい区間ですね。


塩谷を過ぎて蘭島に差し掛かりました。この次は余市です。


余市でも停車時間があったので車外から撮影です。


ホーム上ではこんなゆるキャラがお出迎えしてくれました。
余市町の「ソーラン武士」だそうです。有名な民謡「ソーラン節」をもじったネーミングに、地域の名産りんごをモチーフにした頭部というなかなかインパクトのあるルックスですね。


地域の名産品を売るワゴンが出ていました。
函館まで乗り通す人にとってはそこそこの長旅ですし、いい補給ポイントでもありますね。


ちょっと駆け足で反対のホームからも撮影しました。
それでは車内に戻ります。


「ソーラン武士」の見送りで余市駅を後にします。


せっかくなので私も余市特産のりんごを使ったラムネを買い求めました。
ちょうど喉も渇いていたし渡りに船でした。


前にも訪れている駅ですが、そういえば撮っていなかったなと車窓から駅名標だけ撮りましたw


あとはのんびり車窓を眺めつつ過ごします。
山線を特急形車両で通るのも貴重な体験ですし、こういう一見すると単調な景色もぼんやり眺めるのは逆に向いていたりしますよね。


なんてことを考えていたら山線区間最大のハイライトとなる景色がそろそろ近づいてくるようです。


このシルエットから蝦夷富士の異名も持つ羊蹄山です。
かつての青函連絡船の船名「羊蹄丸」にも採用されるほどの北海道を代表する山の1つですが、鉄道の車窓から眺めることが出来るのはこの山線だけなんですよね。
そして、この羊蹄丸が見えるのは函館行きの進行方向を基準にすると左側になり、小樽までの区間で石狩湾が見えるのとは反対側になるのですが、それを承知で羊蹄山目当てでこちら側に座ったのでしたw


あと、倶知安町の観光協会スタッフによる車内販売が倶知安~ニセコ間で実施されており、小腹も空いてきたのでバームクーヘンと飲むヨーグルトを買いました。
他の乗客たちもちょうど小腹の空く時間帯ゆえか次々と買い求めており、まさに飛ぶように売れていました。
今や車内販売自体が珍しい存在になりつつありますからねぇ・・・


列車名にもなっているニセコ駅にて車内販売は終了です。

このあとはのんびりと車窓を眺めたり、時にはウトウトまどろんだししながら過ごします。車内放送で長万部駅の「かなやのかにめし」を予約販売するので希望者は指定時間までに各自電話で申し込むようにという案内がありました。長万部駅のかにめしは有名ですが食べたことがなかったのでちょっと揺れましたが、実は函館到着後に昼食とする予定で行程を組んでいたこともあって今回は見送ることにしました。
それにしても、車掌さんが注文数を集計して発注とかじゃなくて各自で申し込んで下さいというのが斬新ですね。
携帯が普及した時代だからこそ出来ることでしょうか。


長万部に到着
ここでも停車時間があるので一旦外へ出ました。


駅名標と絡めて


乗車位置案内がちゃんとあったのは意外でした。
何だかんだで毎シーズン恒例の臨時列車になりつつありますしね。


側線にいたキハ40

これで車内に戻りますが、おや?発車時間を過ぎているのに動き出さない・・・
そこへアナウンスがあり、この先の区間で線路異常が発見されたため安全が確認されるまで運転を見合わせるとのことでした。

「ニセコ」の長万部駅所定発車時刻が11時35分だったのですが、その17分後の11時52分には「スーパー北斗」があり、運転を見合わせている間に追いついてきてしまいました。
同じ函館行きの特急が2本並ぶというある意味ネタな光景を車外から撮影したくもなりましたが、いつ動き出すとも知れず仕方なく車内で待つことに・・・しばらくして安全の確保ができたという案内がありましたが、結局、本来は後続となる「スーパー北斗」を先発させるという案内があり、この先の駅へ急ぐ人は「スーパー北斗」へ乗り換えるようにとのこと。
私は当然そのまま「ニセコ」で函館まで行きますけどねw
特に新函館北斗で北海道新幹線に乗り継ぐ予定だった人は余裕がないのでみんな乗り換えていきましたが、おかげで「ニセコ」の車内は閑散となりました。

なお、この「スーパー北斗」は所定ダイヤでは森までは「ニセコ」の後を走っており、新函館北斗までのどこかで「ニセコ」を追い越して新函館北斗・五稜郭・函館へは先着となるダイヤでしたから、通常ダイヤでも「ニセコ」全区間乗車にこだわらず、新函館北斗・五稜郭・函館へ急ぎたい人は「スーパー北斗」に乗り換えるのが最速ルートだったりします。


先に行ってしまった「スーパー北斗」

そして、それに続いて我らが「ニセコ」も長万部駅を後にします。
当然ながら20分以上遅延しての発車になりましたが、その回復運転なのかキハ183系はその性能をフルに活かす全開走行をし始め、スマホのGPSを使ったスピード計測アプリでは120km/hでの巡航を確認しました。
特急「北斗」を彷彿とする走りにちょっとテンションが上りましたw
あと、「スーパー北斗」やかつての寝台特急も必ず停車していた八雲駅を「ニセコ」は通過するんですよね。理由は分かりませんが、「北斗」でもまず体験できなかった八雲通過は動画に収めることにしました。
というわけで、この記事では初の動画は八雲駅通過時の車窓ですw


↑全速力で八雲駅を通過する時の車窓です。
あっという間なのでよく目を凝らしてご覧下さい。


長万部を過ぎると今度は車窓左手に海が広がります。
噴火湾とも呼ばれる内浦湾を見ながらキハ183系の爆走を楽しみます。


森のあたりではこんなに海すれすれを走る場所もあります。

森を過ぎて駒ケ岳の麓を進む山あいの区間に変貌しますが、このあたりから雨脚が一気に強くなり車窓を撮れる状態でなくなったため写真はこれ以降ありません。

「スーパー北斗」の大部分が停車する大沼公園も通過して新函館北斗・五稜郭と停車していきいよいよ終点の函館です。
この遠征の初日でも立ち寄った函館ですが何だか帰ってきた気分になりますw


思わぬハプニングもありましたが、遅れは15分程度まで回復して函館に到着です。


訪れたらとりあえずの駅名標w


通路側から「はこだてライナー」と並べて撮ったり


反対側からも・・・
折返しの「ニセコ」には乗らないのでゆっくり撮影できますね。
ギリギリ折返しの発車には間に合っているのですが、車内の清掃などがあるようで、発車時刻を過ぎてもホームで札幌行きを待っていた乗客はまだ待たされるようです。
まあ、仕方ないですね。


今やすっかり函館を代表する列車になったと言っていい「はこだてライナー」
ちょっと予定より押していますが、せっかくなのでこのまま「ニセコ」の発車を見送ってからお昼ごはんにしましょう。

それでは、そろそろ「ニセコ」が発車するようです。


↑「ニセコ」発車シーン

それに続いて「はこだてライナー」も発車のようなのでそれを撮ってからお昼です。


↑「はこだてライナー」発車シーン

というわけで、いよいよお昼です。


函館駅の近くにある函館朝市で海鮮丼を頂きました。
昨日も稚内で海鮮丼を食べましたが、なんとなく函館といえば海鮮丼というイメージがあり、訪れたからには食べないと・・・という意識がありましたw
おいしい海鮮丼に舌鼓を打ったあとは・・・

道南いさりび鉄道に乗る

ここから乗るのは道南いさりび鉄道です。
これは記事中で触れるのは初めてだと思いますので、まずは解説から入りますと、道南いさりび鉄道は北海道新幹線開業に伴い経営分離された江差線の五稜郭~木古内間を引き継いで発足した第三セクター鉄道であり、社名は運行する地域である道南と、沿線で盛んなイカ釣り船の漁火(いさりび)から取られています。

転換前の江差線についても解説すると、江差線は元々五稜郭から分岐して木古内を経て江差までの79.9kmのローカル線でした。しかし、1988年に青函トンネルが開通すると木古内~五稜郭間は電化や交換設備の増設といった改良がなされ、本州と北海道を結ぶ特急列車や夜行列車、更には旅客のみならず貨物列車の運行ルートとしても重要なルートとなり、津軽海峡線の一部となりました。このように木古内を境に本州~北海道を結ぶ幹線ルートに大出世した区間とローカル線のまま残された区間に極端な形で明暗が別れた江差線ですが、北海道新幹線が開業すると、五稜郭~木古内間は並行在来線としてJRから経営分離されることとなり、これを引き継いだのが冒頭の通り道南いさりび鉄道ということになります。
一方、最後までローカル線のままだった木古内~江差間は新幹線開業に先立つ2014年5月に、五稜郭~木古内間の経営分離でJRの在来線としては孤立してしまうことや元々利用の極端に少ない赤字ローカル線だったこともあって廃止されました。(ちなみに、これの廃止代替バスに乗りに行ったことがあります。)

第三セクター鉄道として再出発を果たした五稜郭~木古内間ですが、新青森~函館間を結んでいた特急「白鳥」「スーパー白鳥」は新幹線に役割を譲る形で廃止になりましたし、この区間を走っていた「北斗星」「カシオペア」「はまなす」「トワイライトエクスプレス」といった名だたる夜行列車群も全て廃止されてしまったため、現在この区間を走るのは道南いさりび鉄道のローカル列車の他には貨物列車、あるいはクルーズトレインの「四季島」や「カシオペア紀行」のみです。
貨物列車のルートとしては北海道と本州を連絡する重要なルートであることに変わりはありませんが、旅客輸送の面からすると一般人が気軽に乗車できる列車は道南いさりび鉄道のローカル列車だけとなり、かつての栄光の時代を知っていると寂しさも禁じえません。

現在の運行形態ですが、起点は五稜郭ではあるものの、JR時代の運行形態を踏襲する形で全ての列車が函館本線に1駅だけ乗り入れて函館駅を起点に運行されており、函館~木古内間の系統の他、函館~上磯間の区間列車も混じり、函館~上磯間はおおむね1時間ヘッド、上磯~木古内間は最大で3時間ほど開く時間があるというダイヤです。
JR時代も特急列車がメインであり、普通列車の本数は少なかったのでそれを踏襲した形とも言えますね。
ちなみに、JR時代にも乗ってはいますが、いずれも特急列車や夜行列車で通過したばかりで、普通列車で乗ったのはほとんどありません。
それもあって余計に乗ってみたかったんですよね。

最後に1つネタと言うか余談ですが、通常、鉄道の上り・下りというのは本線から分岐する支線の場合、本線と接続する駅に向かう方を上り、その反対を下りとすることが一般的で、これを道南いさりび鉄道に当てはめると五稜郭方面が上りで、木古内方面が下りとなるはずですが、実際にはこの逆で五稜郭方面が下り、木古内方面が上りになっています。
これは津軽海峡線の一部として活躍した時代の名残ともいえ、青函トンネルを介して本州へ向かう方向である木古内方面が上りで、北海道へ向かう側になる五稜郭方面が下りとなっているのです。
青函トンネル開業前は北海道から見た本州の玄関口は函館駅であり、江差線も函館へ向かう方向である五稜郭方面が上りでしたが、青函トンネル開業時に上り・下りを逆転させた経緯があるようです。

といったところで本編に戻りますが、ここで1つ問題が・・・
道南いさりび鉄道はJR北海道とは完全に別の鉄道会社という扱いなので当然ながら北海道フリーパスでは乗車できません。そのため別途乗車券を買う必要があるのですが、函館駅の券売機で乗車券を買ってしまうと函館~五稜郭間のJR分の運賃が含まれた切符が発券されてしまうのです・・・
たかだか100円ちょいの差額なのでケチらずJR北海道にお布施としてもよかったのですが、調べると道南いさりび鉄道では運賃の車内精算も認めているようなので、あえてきっぷを買わずに乗ってしまうことにして、木古内駅で下車する時に精算することにしました。


乗り場へ向かうと、いました!
これが道南いさりび鉄道の車両です。
塗装こそJR北海道のものとは全然違いますが、キハ40系をそのまま受け継いで使っていますw
写真は「ながまれ」というイベント用車両であり、土日などにイベント列車に使う他、このように通常のローカル列車で運用することも可能な設計になっています。


この社名ですが、独特のフォントですよね。既存でこういうフォントがあるのか、オリジナルのデザインなのか気になりますが私は気に入りました。


「ながまれ」のロゴ部分
なお、「ながまれ」というのは道南の方言で「ゆっくりして」や「のんびりして」という意味だそうで、のんびり走る道南いさりび鉄道にはピッタリの名前ですね。


銘板もJR北海道から道南いさりび鉄道のものに取り替えられていました。


所属表記ももちろん書き換えられています。


デザインはちょっと変えていますが、サボはそのまま使うんですねw

それでは乗車します。意外と混み合っていて驚きましたが、函館市近郊の区間は普通に利用者が多いようです。
これなら上磯行きの区間便があるのも納得です。


函館駅から1駅進んで五稜郭から道南いさりび鉄道の区間となります。
そういえば、アナウンスでも函館発車の時点では「道南いさりび鉄道直通木古内行き」という言い方だったのが、五稜郭を出ると「道南いさりび鉄道木古内行き」と表現を変えていて、五稜郭で会社が変わることをはっきりさせていたのはいいと思いました。


ある程度空いてきたところで車内撮影です。
一見するとJR北海道のキハ40系とそんなに変わらないようにも見えますが・・・


なんか見慣れない物体が・・・
ゴミ箱ではないとわざわざ注意書きまで付いていますが、恐らくはこれ、イベント列車で走らせる時にテーブルを差し込むための金具ですね。
脱着式とすればイベント列車でもローカル列車でもどっちでも使えるわけで考えたものです。


窓枠にはちゃっかり車窓の見どころがPRされていました。
このあたりはJR時代にはなかったことです。


しばらくすると車窓には海が広がります。
特急「白鳥」に乗った時もこの景色は絶景でした。


海越しに見えるのは函館山のようです。ちょっと雲は架かっていますがちゃんと見えました。
函館湾を挟んだ向こう側にあるため海の上に浮かぶように見えますね。


茂辺地駅です。
駅名標も道南いさりび鉄道オリジナルのデザインになっています。


その後も函館山を見つつ進みます。


並行する国道228号(松前国道)


北海道にはいくつも重複例がある「当別」シリーズですが、ここにも「渡島当別」として存在します。


いかにも西洋の教会っぽいデザインの駅舎ですが、近くにトラピスト修道院というカトリックの修道院があり、当駅自体にも道南いさりび鉄道転換時に「トラピスト修道院入口」という副駅名が付きました。


この道路風景もいい!
天気が良ければもっと綺麗だったでしょうね。


その隣の釜谷駅ですが・・・


なんと貨車駅舎が残っています。
う~ん、車窓から見るだけでも魅力的な駅がいくつもあって思わず途中下車したくなりますが今日は乗るだけ・・・


終点の木古内に到着!
これにて”道南いさりび鉄道”としての乗り直しは終わりで改めて完乗を宣言できます。
それにしても、線路は今でも本州へ通じているのに終点みたいな書き方なのが寂しい・・・
まあ、旅客列車で本州へ行けるのは実質新幹線だけなのでこれが正解ではあるんですけどね。


ここでも車両を撮影します。
運賃を精算して下車しますが、すぐに折り返しなのでちょっと慌ただしいです。


そういえば、縦型はJR北海道と同じものでした。
もしかしてJR時代からそのまま?


ホームです。
狭い1面2線の島式ホームがあるだけの簡素な構造ですが、かつては5面3線のもっと大きな駅でした。
JR時代にはあった1~3番線はホームこそ撤去されていますが、線路としては維持されており、通過する貨物列車が使っているようです。
そのため、乗り場は今でも振り直されておらず、現在も使っているホームも4・5番線となっています。

あと、線路の上にも注目してほしいのですが、4・5番線だけ架線が張られていないのにお気づきでしょうか?
道南いさりび鉄道は貨物列車のために電化設備を維持していますが、旅客輸送は全て気動車のキハ40系で運転されるため、道南いさりび鉄道の列車しか乗り入れない4・5番線には電化設備は不要ということですね。
電化されているのにディーゼルカーを使うケースはたまにありますが、ここは本当に貨物列車のためだけの電化なんですね。(類似のケースに「肥薩おれんじ鉄道」や「えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン」もあります)


この信号機の脇にある表示機のようなもの、たまに見かけますけど何なんでしょうか?
調べてもよく分かりませんでした。


木古内駅は道南いさりび鉄道の運行拠点としての役割を持っており社員も配置されていますが、営業上は無人駅扱いなので改札はなく階段を上がるとそのまま北海道新幹線の木古内駅に繋がって外へ出られます。
木古内駅自体は以前にも訪れているのと時間もないので巻きでいきます。


そうそう、コンコースにはJR時代の駅名標が残っているんですよね。


江差線と関係ないもののほうが多いですがサボも展示されています。

これ以外にも色々ありますが、詳しくは前回訪問時の記事をどうぞw

折返しは券売機で五稜郭までのきっぷを買って構内に戻ります。
復路は特に書くことはなく函館に戻ります。


函館に戻ってきました。


違う色のキハ40系もいました。
道南いさりび鉄道では車両ごとに塗装を変えていて、これは濃赤色[豊穣]というやつです。


並べて撮ったら道南いさりび鉄道編は終了!

あとは札幌へ引き返す

函館での活動も終えてあとはホテルへ向かうだけですが、今晩も宿泊するのは札幌です。実は4日目の夜から今晩まで同じホテルに連泊しており、3泊も同じホテルで過ごすのは今回が初めてのことでした。
明日はどうしても札幌に泊まらないといけない行程というわけではなかったのですが、札幌にいたほうが色々効率はいいのも確かですし、格安な連泊プランもあったのでこのようにしました。
なので、函館から札幌まで夜の大移動が始まります。


乗車するのは「スーパー北斗」です。
そういえば、スーパーじゃない方の「北斗」には2度ほど函館→札幌で全区間乗車したことがありましたが、「スーパー北斗」だと全区間通しで乗ったことはほとんどなく、細切れの区間で乗ったりしたことばかりでした。


やってきたのは新塗装のキハ261系でした。
「スーパー北斗」というと、キハ281系というイメージがありそれを期待していましたが、キハ183系の「北斗」を置き換える目的などでキハ261系が増備されており、これに当たる機会も増えました。


先頭部のマーク


行先表示を撮ったら乗り込みます。

今回は移動で使うだけなのであまり深追いはしませんが、意外だったのが函館・五稜郭から森までは高校生の利用が目立ったことです。どうやら特急も使える定期券を発売しているらしく、普通列車の本数が少ない中、森町から函館市内へ通学する高校生を中心に特急通学が広まっているみたいです。
特急で通学なんて羨ましい限りですが、それだけ普通列車が少ないせいでもありますからねぇ・・・

森を出ると空気輸送と言っても過言ではないほどスカスカの状態になりましたが、それも東室蘭あたりまでで、そこからは再度乗車してくる人が見受けられました。
苫小牧や南千歳でも若干の乗り降りがあって新札幌、そして終点の札幌となります。
結果的には山線と海線の乗り比べみたいになりましたが、函館を出た時点で車窓は暗かったのであまり実感はありませんw
ただ、朝から乗ってばっかりの1日で、疲労も若干見えていましたが、それも明日で終わりと思うと急に寂しくなってしまいました。
長丁場の遠征が終盤を迎えるといつもこんな気分になります。


札幌に到着!

このあとは札幌駅周辺で夕飯としたのですが、今宵が北海道で過ごす最後の夜であり、いわば最後の晩餐はちゃんとした食事を取りたいと思い、ホテルへ入るのが遅くなるのを承知で札幌駅周辺でお店を探して入りました。
更には普段はあまりしない旅先での飲酒という行為にも及び、サッポロビールまで注文し、ラム肉を揚げた「ジンギスカンザンギ」なるメニューをつまみに一杯引っ掛けたのですが、いい感じでほろ酔い気分になり写真を撮り忘れましたw
まあ、見た目は普通の唐揚げにしか見えなかったのでいいでしょうw

というわけで、6日目は以上となります。最終日となる7日目は追ってレポートしますのでしばらくお待ち下さい。
~追記~
7日目も公開しました。

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